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翌日。
キラと思しき犯罪者の裁きがまた始まった。
みんなが頭を抱える。
竜崎は、ミサが解放された途端だと発言するも、13日ルールがあるのだからと否定された。
…そしてそんな中。
竜崎は、このデスノートを死刑に使用しようと提案したのだ。
夜神さんをはじめ捜査員は必死に止めたが、竜崎は譲らなかった。
デスノートの効力、そして、13日ルールも共に検証する、と。
頑なになる竜崎に、夜神さんが折れる。月くんは咎めるが、竜崎はすぐに司法取引の手続きを行った。
アメリカへ行くのは、夜神さんを中心に、月くん以外の捜査員も付き添うこととなった。
重要な兵器を持ち運びするのだ、当たり前といえば当たり前だった。
夜神さんは黒いノートをアタッシュケースに入れ、しっかり鍵をかけた。それを手に持ち、更に自身の手とケースを手錠で繋いだ。
心配そうに見る私に、彼は力なく微笑んだ。
「じゃあ、行ってくる」
そうして、夜神さんたちは、捜査ビルから出て行ったのだった。
あまり広くない一室。
そこには沢山のモニターと、椅子が一脚置いてある。
このビルにある数多い監視カメラを全てみれるほどの数のモニターだった。
私はその中で、立っていた。
「ここであなたは待っていてください。私が出たら必ず鍵をかけ、全てが終わるまで絶対に出てこないで下さい」
竜崎が背後で言う。
私は小さく頷いた。
竜崎はそっと、私を後ろから抱きしめる。
「辛いでしょうが…見ていてください。」
「分かってます、…目を逸らさず見てます。どんな結果になろうとも」
私は目の前にあるその腕を力強く抱く。
そう、必ず見てます。
これが私の選んだ道。この事件の結末を、この目で見届けると決めたんだから。
あなたと過ごして、後もうすこしで1年が経つ。
あっというまだった。
私の人生において、これほど早く、濃い時間は二度とないだろう。
嬉しいこと、悲しいこと、たくさんあった。
でもどんな時も…隣にいたのは、
L、あなただった。
「…光さん。私のために、色々…ありがとうございました」
「…お礼を言うのは私の方です…あなたは私に、沢山の喜びと愛をくれた…」
「…愛しています」
竜崎の低い声。目の前がつい潤む。
まだ。まだ泣く時じゃない。
決戦の舞台は出来上がっている。
「…そろそろ行きます。」
Lは私を離し、ポケットに手を入れる。いつもの、格好だ。
私はそんないつも通りのLをしっかり見つめた。その姿を、目に焼き付けた。
そして、彼に一歩近づいた。
背伸びをして、そっと彼の頬を両手で包むと、その唇にキスを落とした。
顔が離れると、Lはいつかのように笑って言った。
「これで私は無敵です」
「いってらっしゃい、L…待ってます」
あなたを。
Lはゆっくり背を向けると、部屋から出て行った。
ガタンとしまったのを聞いて、私は言われた通り鍵をしっかりかける。
…L。
言いたいのはひとつだけ。
1年前から変わらない。
死なないで。
数ある監視カメラのモニターを前に、月くんとLがいる。背後には、レムが立っていた。
戻ってきたLを、月くんはジロリと睨みつけた。
「どこ行ってたんだ」
「トイレです。」
「ゆづきさんの所じゃないのか」
「言ってませんでしたか。彼女は今日休暇をとっています」
「休暇…?」
「私と月くん以外捜査員はいないですし。たまにはゆっくりしてもらおうと。彼女が好きなホラー映画のチケットを渡しました。朝早く出かけて行きました」
月くんはふうとため息をついた。
「…何を考えている?捜査員みな出払わらせて」
「…間も無くここに、弥海砂がやってきます。ワタリが連れてきます」
「…まだミサを疑ってるのか」
トゲのある月くんの声。Lは平然としている。
「私は弥海砂が第二のキラであることを確信している。今の犯罪者裁きは、2冊目のデスノートを使用した彼女の仕業だと。ここにおびき出し、また尋問します。今度は物証があるので確実に吐かせられます」
「…ミサがキラなら、解放されてすぐ竜崎の名前を書くはずじゃないのか」
「私の本名は恐らく、長い監禁の間に忘れてしまったんでしょう。」
「ノートを持ってくるとも限らない…」
「必ず持ってきます。私を殺す、大チャンスですから。」
全く引かないLに、月くんが少したじろいだ。
「…だから父さんたちを出ていかせたのか。今度ミサを監禁すれば今度こそ…死ぬかもしれない」
そう言った月くんの視線は、ちらりとレムを見たように思えた。
Lは自身の指先に、機械を取り付ける。
一つのモニターから、心拍音が規則正しく流れた。
「私はこの尋問に命を掛けている。私の生死はアメリカに渡った夜神さんに伝わるようになっています。私が死んだら、その場でノートは消却処分するよう指示してあります」
月くんはふうと息を吐き、空を仰いだ。
「…竜崎、君がそこまで言うなら僕も命をかける。ミサを…第二のキラを捕まえよう」
そう言った月くんは、今度はしっかりと、レムを見た。
レムは無言だ。
そして、何も言わないままゆっくりと、その部屋から離れた。
残念ながら、レムはどこへ移動したのかわからなかった。いくつものモニターを見るが見つけられない。監視カメラのない部屋にはいったのかもしれなかった。
彼女が今、何をしているのかーーー私には分からない。
(…レム…)
私はぎゅっと、両手を重ねて祈る。
神に祈ったことはあっても、死神に祈ったのは生まれてはじめてのことだった。
全ては、この瞬間。
この瞬間のための、今までだった。
お願い、
Lの名前を書かないでーーーーー…!