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「い…や…」
喉から声を絞り出す。
「いや、L!そんなの、絶対いや!許さない!!」
勝つと言ったじゃない。死なないと言ったじゃない。
私のそばにずっといるって…いったじゃない
「…私の最大の失敗は、火口確保の際、夜神月にノートを触らせたことです」
ノートに触らなくては死神は見れない。
捜査員なら普通、触らせてくれ、と自ら触りにいくだろう。
「あなたの予知があったのに…火口を捕らえることに必死だった。恐らくですがあのノートに触れると、失っていた記憶が蘇るのでしょう。夜神月は、キラだった夜神月に戻っている。そして…火口を殺した」
「火口を殺したのが…月くん?」
「そうでなければ火口の死に説明がつかない。火口が死んだ時、私は自分の愚かさに呆れました…」
でも、まさか殺人ノートが存在して。
それに触ったら死神が見えた。
それに触ったら失われた記憶が蘇るなんて…
そんなこと、さすがのLでも想像もつかなくて当然だろう…
「でも、月くんがキラなら、13日ルールは?ミサも月くんも、監禁されていた」
「あれはきっと、夜神月が書き込んだ偽ルールです」
「…偽!?」
いってしまえば単純な答え。でも、私には考え付かなかった。
「ほかのルールは恐らく本物…私はルールを、死刑囚を使って検証しようと思ってます」
「あっ…!それで嘘だとバレたら、月くんの疑惑はまた上がる!早く検証しましょう!」
私は声を上ずらせて言った。しかし、Lの表情は固いままだった。
「そこが、1番のポイントです」
「え…」
Lはゆっくり外を見る。
「それはきっと…夜神月の仕掛けたトラップ…」
「…どういうこと?」
理解が追いつかない。私の頭じゃ、全然わからない。
「考えても見てください。夜神月の無罪を証明するルール、私が検証しようとするのは目に見えてませんか?月くんどころか、松田ですら思いつくでしょう。私の性格と、やり方を知っていれば」
…確かに。
元々リンド・L・テイラーという死刑囚をおとりにしてキラとの戦いを挑んだL。
そのやり方は非難を食うやり方だろうが、これがLのやり方だ。
デスノートの効力の検証は、Lがやりそうなことだ。
「…ということは。私が検証しようとした時に、私を殺す策がある」
「…」
「13日ルールのせいで明日弥を解放せねばならなくなりました。今、まだ弥は記憶を戻してない。解放された後、もう一冊のノートを、夜神月に誘導されて取りに行くのだと思います」
「それで、第二のキラだったミサに殺されるってこと?」
「…弥が私の名前を見たのは監禁より前。私の名前を覚えているとは思えないのですが…」
Lは天井を見上げる。
「な、なんとか理由をつけてミサの解放を伸ばしましょう!私も協力…」
「弥を解放せねば、もう一冊のノートの行方がわかりません」
「…」
「こんな恐ろしいノートを確保できる絶好のチャンスです。放っておけば、それこそまた夜神月がいつか利用するだけ。弥を泳がせるのが一番です」
「でも…ノートをミサが手に取った時、あなたの名前を書くのに少し時間がかかるはず。ミサがLの名前を書く前にミサの確保はそう難しくないのでは?」
どこにあるかは分からないが、もう一冊のノート。
それを手に取り、記憶を取り戻し、ペンを取り、名前を書く。
それなりに時間を要すると思うが…
「…夜神月の計画にしては…リスクが大きい」
「…え?」
Lは眉を潜めた。
「先ほども言ったように、弥が私の名前を忘れてる可能性は高い。彼女は私がLとは知らずに監禁されたのでね。つまり夜神月が私を殺す方法は弥を使うのではなく…もう一つ、策がある…」
「策って…?!」
私が食い入るようにLを見ると、彼はふっと苦笑した。
「それが、分かりません。一番大事な要なのに…夜神月はどうやって私を殺すのか」
「……」
「私はこのトラップに乗るしか、ない。13日ルールを検証しなくては二人を捕まえられない。」
「…それで、先に、名前を書いて、デスノートを無効にさせる…」
Lは再び私に向き直る。
「…こんな形になって、申し訳ないです」
「…いやです、L…絶対、いや…」
「あなたのおかげで、私は23日間得られる。キラ事件を終わらせられる。…あなたのおかげです」
「私は!こんな結末を見るために…あなたのそばにいたわけじゃない!!」
目から溢れ出る涙。
彼の顔がぼやけて見える。
分かってる。こんな風に責めても何もならない。あのLが考え抜いた結論、覆せない。
それでも肯定できない。
あなたが私の前からいなくなること。
私の隣にいられなくなること。
私は…認められない
受け入れられない
「あなたと出会えたことが、私の一生の財産です。私を愛してくれて、ありがとうございました」
「…L…!」
私は彼の胸へ飛び込む。
Lの見慣れた白いセーターを握りしめ、溢れ出る涙を染みつけた。
「L…」
「はい」
「私の名前も、書いてください」
私がいうと、Lはそっと私を引き離した。
「…それは出来ません」
「何故!?あなたは知ってるはず…Lとであった日、私は死のうとしてた。あなたがいたから生きながらえてる。Lがいなくなったら私は…!」
生きる意味が、ない。
Lは私の流れる涙をそっと指先で拭く。
「…この計画の1番の心配はそれでした…
光さん。私はあなたに生きていて欲しい。わがままだけど、生きていて欲しい。
あなたが私と出会った頃とは違う。夜神さんや模木さん、相沢さん、松田さん、ワタリ。
あなたの能力を知りながらもあなたを愛してる人が沢山います。」
「でも…」
「出来ることなら私のことは忘れ、少々しゃくですが他の男性を見つけ、一人の女性として幸せになってほしい。
約束してください。生きてくれると。でなければ…私はノートに名前を書けない…」
「〜っ…ふざけないで!!」
私は荒々しく叫ぶ。
「忘れて他の男見つけろなんて…私の気持ちをそんな程度だと思ってるの!?そんな戯言いらない!」
Lはまた私を強く抱きしめる。
「…あなたはそう、怒るだろうなと思ってました」
「分かってるくせに…!あなたを失ったら、私は生きる意味がないのに!!」
「わがままで、すみません…光さん。あなたがこれほど私を想ってくれるのが…今たまらなく嬉しい。
でも、やはりあなたを連れてはいけない
あなたを愛しているので」
Lの、揺るぎない決心が、
私を打ち砕く
私は、なぜ生まれてきたのだろう
こんな力を、神はなぜ私に与えたのだろう
私を、母をさんざん苦しめて、その母すら救えず。
ようやく出会えた愛しい人も、結局救えず。
私はまた一人ぼっちになる。
こんな苦しい思いをするために、私は彼と出会ったのだろうか。
見たい。
未来を、見たい。
忌まわしきこの力がひどくほしい。
この人を愛し、自分を赦し、前を向いた。
人を愛することは、自分を愛することだと知った。
じゃあ…私はこれから先
何を 糧に 生きればいい
今感じるLのぬくもりが、匂いが、
息が、声が、手の届かないところへ行く
「…いや、L」
私は首を縦にふれない。受け入れない。
誰か助けて
光を、見せて