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「…ゆづきちゃん、この前僕に言ってくれた言葉、そんまんっまゆづきちゃんに返すからね!」
松田さんは真っ直ぐな目で私を見、肩にぽんと手を置いた。
「ゆづきちゃんがいなくなったら…竜崎死んじゃうよ!」
「さ、さすがにそれは…」
「確実にキラ捜査どころではなくなるな」
後ろにいた夜神さんまで言ってくれる。
「ゆづきがいません、私の愛するゆづき、どこへ行ったんでしょうか私の推理量は100%減です…」
松田さんがボソボソと言う。
「ぶっ…それ、竜崎の真似ですか?ちょっと似てる…!」
「ははっ、でしょう!?僕結構上手いんだよね!」
「似てます、凄いですね」
「絶対こうなるからさ〜ほんと、ゆづきちゃんの存在だけでありがたいよ」
ニコニコと松田さんは、私に眩しい笑顔をみせてくれた。
後ろにいた夜神さんも私の隣に立ち、優しく笑ってくれている。
…すごいなあ、この人たち…
命をかけて正義を貫いて、こんな私にもいつでも優しい。
本当に、私の家族みたいに。
私はふっと微笑んだ。
「ありがとうございます、お父さん、お兄ちゃん」
「え?なんて?」
「夜神さんは勝手に私の第二のお父さんにしてますので。松田さんはお兄ちゃんです。」
「こ、こんな素敵な妹出来たら僕…!」
なぜか感激してる松田さんをみて、珍しく夜神さんがはははと声を上げて笑った。
やはり想像通り、ミサは月くんの力になりたいと計画に乗った。
竜崎はうまくミサの月くんへの恋心を掻き立て、ミサの気合を引き出した。
ミサに潜入させるのは、正直私はあまりいい気はしていなかった。
今までは大概、竜崎の決めたことは…と多少強引でもついて行ったが、友達であるミサに危険が及ぶかもしれないと思うと気が気ではなかった。
が、ミサがやる気になればもう止められない。あの子はそういう子だ。
それに、以前松田さんを救うために開いたパーティーも、ヨツバたちを上手く乗せ度胸のあるもてなしを見せていた。
…実は、モデルより女優の方が向いていたのかもしれない。
ミサはアイバーに演技指導を受け、新しくマネージャーとなった模木さんとヨツバの面接を受けに行ったのだった。
「竜崎、ヨツバはミサさんの各方面での広告採用を決めました」
ミサと共に帰ってきた模木さんが言う。竜崎の予定通りだ。
ミサは疲れているのか、どこか浮かない顔をしていた。
私はそっと近づいて声をかける。
「おかえりミサ。お疲れ様。緊張した?」
「ゆづきちゃん…!うん、ちょっと疲れただけ!大丈夫!」
ミサはすぐ笑顔になる。いつもより活気がないのは、やはりミサとは言え潜入に疲れたのだろう。
私なら絶対出来ないなぁ…ミサ凄い。
松田さんが近づき、ミサに聞いた。
「どうだった?ミサミサ」
「どうって?」
「だから、何を聞かれたとか!誰が怪しいとか」
「そういう報告は月と竜崎さんとゆづきちゃんにしかいたしません〜!捜査チームが違いますから」
「いや、たった今竜崎中心で協力していく事になったんだ」
一時期分かれた捜査方針。夜神さんが折れ、竜崎の捜査方針でいこうと意見は固まった。
ミサは携帯を取り出してみせる。
「携帯番号やメルアド教えたら、あの7人のうちの3人が、もうプライベートの誘いをしてきたよ。
この誘いに乗っていって、探っていけばいいのね? まさに計算通り!」
ミサは得意げに今日の収穫を見せてみせる。
しかし、竜崎が言った。
「その作戦は中止になりました」
「…えっ!?ここまできて、ふざけないでよ!!」
怒るミサに、月くんが制止をかけた。
「このやり方ではミサが危ないんだ。CMに出るなとは言わないが、これからは第二のキラ容疑やLに拘束されたかもしれないという事は否定していく。
ミサは模木さんにガードしてもらいタレントとしてだけ動くんだ」
「…………………月がそうしろっていうならそうする」
いささか不満そうなミサだが、なんとか納得した。
「ミサ疲れたから寝る!…その前に、ゆづきちゃん、ちょっと話せないかな?」
「え?あ、うんいいよ」
ミサは私の手をぎゅっと握りしめて、ミサの部屋へと向かって行った。
なんだかいつもと違う表情な気がして、私は不思議に思った。
「あのねゆづきちゃん。もしも、もしもの話なんだけどね?」
「…うんどうしたの」
ミサの部屋に着き、彼女はソファに座ると、俯きながら切り出した。
「もし…ミサが知らない間に第二のキラだったら…ゆづきちゃん、ミサのこと嫌いになる?」
「…へ」
急に、なんのことだろう。
ヨツバで何かあったのだろうか。
「どうしたの、何かあった?」
「う、ううん!なんかあったわけじゃないの!ほら、ヨツバの面接のために練習してたらふとそう思って。竜崎さんはミサと月をキラだと疑ってるでしょ?だから監禁されてたわけで…
もし、万が一、ミサの記憶のないところで第二のキラだったりしたらどうするのかなぁー…なんて」
その案は、実は考えたことがある。
竜崎も考えているはず。
二人がキラであった事を忘れ、今を過ごしているのでは…
私が以前唱えた、「死神が乗り移ってキラとなりまた他のものに乗り移った」説。馬鹿馬鹿しいけどまだ正直捨て切れてない。
「今のミサはキラだった記憶ないけど、過去に本当にキラだったら…ってことよね」
「…うん」
「…私は、第二のキラに、大事な人を殺されてるの」
私が言うと、ミサは目を丸くしてこちらを見る。
宇生田さん。
「何も悪いことしてないのに…簡単に殺されて、私はそれを見てた…」
「ゆづきちゃん…」
「でも、もし本当に今ここにいるミサが、それを覚えてなくて、他の人格がやっとしたら…私はもう一人のミサを恨んでも、ここにいるミサは恨まない」
私はしっかりとミサの目を見た。
「今私の目の前にいるミサは真っ直ぐで可愛くて、大好きな友達だから。もう一人のミサのことは凄く恨むけど、あなたは変わらず私の大事な人だよ」
私はにこりと笑う。
そう、今共に過ごしてるミサや月くんは本当に素敵な人たち。人を殺すなんて想像もつかない。
私は今自分が見ている二人を信じる。
「…ありがと、ゆづきちゃん。うん、よし!ごめんね変なこと聞いて!ミサ、頑張る!」
「え?もうヨツバには近づかないんじゃ…」
「あ、うん、cmをね!大きな仕事だから!」
「そっか、そうだよね。cmなんて凄いね。応援してるよ」
ミサは立ち上がり、私にぎゅっと抱きついた。
「ミサゆづきちゃん大好き!」
翌日。
『すいません、弥に東応女子医大病院で騙され、見失いました』
模木さんからそう連絡が来たのは、私が竜崎に久しぶりに作ったぜんざいを渡してる時だった。
…ミサが??
私は昨日の様子のミサを思い出す。
そうだ、何か普段と様子が違うと思ったけれど…
竜崎は意外にもまるで焦った様子もなく、言った。
「…まあ遊びたいさかりにずっと監視では気持ちはわかりますが」
「それだけならいいが…」
月くんが携帯を取り出し、ミサにかける。
「僕にはいつでも連絡つくように約束しておいた携帯を切っている…」
「え!」
私は声を上げる。
あのミサが月くんの連絡を断つなんて…
遊んでるわけじゃない。
「彼女は…昨日中止になったヨツバとの接触をしてるのでは…?」
私が言うと、月くんがため息をついた。
「…ミサならやりかねない」
「今は連絡もつかない。ここで私たちが下手に動いて、ヨツバにこちらが探ってることをバレたらそれこそミサさんの身が心配です。歯痒いですが少しこのまま泳がせましょう」
「ただどこかで遊んでるだけならいいが…」
月くんが呟くけど、私はそれはあり得ないと思った。
ミサにとっては遊ぶより月くんとの電話の方が大事だろうし…
(ミサ…どこで何やってるの?危険なことしないで…)
ミサはその夜遅くに帰宅した。
なぜかナース服だった彼女は、特に怪我もなく無事だった。
それどころか。
『わかった! オレはキラだから、海砂ちゃんに信用してもらうために、今から犯罪者裁きを止める!
そして、オレがキラだとわかってもらえたら、結婚だ!!』
なんていう、自白の録音つきで。