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「初めまして、レディ。私はアイバー。」
「ウェディよ。よろしく。」
竜崎が言った通り、すぐに私はアイバーとウェディと会うことになった。
私は動かしていた手を止め、キッチンから出る。
スラリとした美男と美女。それがアイバーとウェディだった。
ウェディは私は到底かけられないお洒落なサングラスをしている。
「初めまして。ゆづきです。よろしくお願いします。」
「あなたのような綺麗な女性がいて安心しました。ここはむさ苦しい男ばかりかと」
「ふふ、さすが詐欺師さん、口が上手いんですね」
私は微笑んで答える。アイバーは肩をすくめる。
「お世辞ではありません。可憐な女性がいると心にゆとりが…」
「アイバー、ゆづきを口説こうとしないでください。」
竜崎の不機嫌そうな声が響く。彼はポケットに手を入れたまま私の隣に立った。
「大丈夫ですよ竜崎…さすがに私も詐欺師の上手い口は本気にしません」
「おいおい、酷いな」
アイバーは困ったように頬を掻いた。
「アイバー、ウェディ、ゆづきは私の恋人です。」
竜崎がサラリと言うと、2人はぎょっとしたようにたじろいだ。
「L…!あなた生きてる女性に興味あったの?」
「ここ数年で一番驚いた言葉だ…」
「どういう意味ですか2人とも」
2人の反応に、私はつい笑ってしまう。
「ゆづきも何故笑うんですか…」
「いえ、すみません、つい…」
竜崎の昔からの知り合いに会うのはワタリさん以外初めてのこと。
私はなぜだかそれが嬉しかった。
「聞いてるとは思うけど、アイバーは詐欺師、私はドロボウ。今はあなたたちの仲間よ、安心してね」
ウェディさんがにこりと笑う。
うわー…外人さんってやっぱりすごい。足長い。肌綺麗、白い。テレビみたーい…
うっとりと見惚れる。新しい仲間が外人なんてなんだか恐縮しちゃうな。
「アイバーはあらゆる社交に必要なものを身に着け、必ずターゲットと親密な関係になる詐欺師。潜入捜査に使えます。
ウェディはどんなカギやセキュリティでも破れる泥棒です。 その証拠に、こうして我々に気付かれることなくここまで入ってきました」
「すごいんですね…映画みたい!」
私はつい目を輝かせた。いや、犯罪なんだけど。なんだか本当に、映画の中の世界みたいでワクワクしてしまう。
「二人の力があれば、ヨツバへの潜入も楽だな。」
月くんも唸るようにして言う。気合が入ってるのが、声色からして分かる。
「では、アイバーたちも含めて作戦会議を行います。会議室に入りましょう」
竜崎が声をかけ、捜査員みんなが立ち上がる。
「では、お茶の準備をしていきます」
時々、作戦会議といってみんなで会議室に籠ることがあった。よくテレビで見るような、大きな机に並べた椅子。みんなで顔を見ながら話ができる。
まあ、普段はほとんど移動せずこの捜査室でそのまま話してるんだけど。
私はそこに座ることはなかった。お茶や差し入れを入れるため足は踏み入れるが、捜査員でもないため正直聞いてても分からないことも多いし、その時間お菓子を作ってる方がよっぽど有意義だから。
「さーて…今日は他に何作ろうかなー」
アイバーとウェディの分も増えたしな。ちょっと洋風のお菓子がいいだろうか。
私は腕まくりをし、再びキッチンへと入ったのだった。
『探偵エラルド=コイルの所に『Lの正体を明かして欲しい』という依頼が…』
竜崎の腕の中で、通称「充電タイム」をしていた時のこと。ワタリさんから、通信が来た。
私はもう動けない状態にぐったりしていた時で、思わぬ言葉に跳ね起きた。
それぞれ離れて仕事をしていた捜査員たちも、瞬時にあつまる。
…人が来たので、この体制、離してほしいんですが…
と、言おうとしたタイミングは完全に失われた。
夜神さんが焦ったようにいう。
「エラルド=コイルといえばLに次ぐ名探偵といわれてる者じゃないか!金で動く事でも有名だが、人を探し出す事にかけては断トツ…一体誰が…」
そう、一般人の私ですら聞いたことはある名前。
夜神さんの言葉を聞いていたのか、ワタリさんが続けた。
『それなりのエージェントを二人通して依頼人がわからない様工作してありますが、依頼主はヨツバグループ東京本社ライツ企画部長、樹多 正彦と突き止めました。前金で10万ドル、成功報酬140万ドル』
「よく調べてくれましたワタリ」
「!!やはりヨツバか………っ」
「ヨツバはキラと繋がってる。Lの正体を欲しがってるとすれば、エルを殺すつもりってことだろうね…」
月くんが考えながら言う。
夜神さんは焦ったように頭を掻いた。
「まずいな…人手がないのにコイルの方にも気を配らないと駄目という事か…!
コイルも顔を隠してるだけに厄介だ…」
「大丈夫ですよ。エラルド=コイルという探偵も
私ですから」
竜崎は私を抱きしめたまま、淡々と言った。
私はぎょっとして竜崎を見る。
「えっ!?竜崎がコイル!??」
「今、世界の三大探偵といわれているL、コイル、ドヌーヴ、皆私です。秘密にしておいてください。
私を探そうと考える者は結構これに引っ掛かります。
コイルもドヌーヴもワタリが仲介に入りますからバレバレです」
ま、まさか三大探偵が竜崎一人だったなんて…
それって、それだけの依頼を受けて解決してるってことよね?
もしかして今も、キラ以外の事件を抱えてるのか…
改めて、私の恋人はとんでもない人なのだと気付かされた。
「さすがだな、竜崎」
感心しながらも、月くんはパソコンを素早く打つ。
「樹多 正彦。ちゃんとヨツバの社員リストに入っている」
月くんが調べたデータを見ながら言う。
夜神さんもじっとそれを見ながら唸る。
「しかしいくらヨツバとはいえ企画部長なんてポストで、一億五千万なんて金右から左へ動かせるはずがない…こいつがキラって事か?」
「そうとは限らないと思うよ。僕は」
「そうか?
キラならいくらでも金を得る手段はあるだろうし
いや自分がキラだというだけでヨツバから金が取れるのでは?」
「それだとキラはヨツバの利益を上げ、そこから金をもらったって事になる。
父さんの言う様に金を得る方法は他にいくらでもある
突き詰めれば、ヨツバの社長に『金を出さなければ殺す』と言えば良いだけだ」
「そうですね。依頼主だからといって樹多がキラという考えは安易過ぎますね」
月くんの意見に同調する竜崎。
「ここまできたら、もうアイバーとウエディに動いてもらっていいでしょう。作戦を立てます」
みんながキリッと背筋を伸ばす、いよいよヨツバに潜入していくのだ。
…その前に、
私はこっそり竜崎に声を掛けた。