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「…呆れましたか」
「え?」
「相沢さんのこと。」
心なしか、竜崎の表情が硬い気がする。
私が…怒ると思ってるんだろうか。
私はそっと、口角を緩めた。
「ああ…そうですね、あえて言うなら、試してた、なんて聞こえの悪い言い方をした事には」
「…事実です」
竜崎は私から視線をそらし、まっすぐ前を向いた。そんな竜崎を横目で見て、私はなぜか微笑ましく思う。
「…あなたは相変わらず、不器用ですね…」
出会った頃から変わらない。私にはあんなにストレートに愛を言ってくれるのに、なぜなの?
「試した、というのも嘘ではないですけど…竜崎は相沢さんに、選択肢をあげたかったんではないですか?」
竜崎がこちらを見る。
「キラを追うには…自らの命だけでなく、家族の人生も巻き込む可能性があること。特に相沢さんのような、小さなお子さんがいる人に、それを今一度見つめさせてあげたかったんでしょう?それぐらいの意思がなければ捜査は危険だから…」
試してたのは確か。
でもそれは、決して竜崎自身のためでなくて、
相沢さん自身のために。
「…あなたにかかると世の中の悪人はいなくなりそうですね。私を買いかぶりすぎです」
「竜崎こそいつも私を買いかぶってるでしょう?お互い様ですよ?」
「…敵いませんね」
ふっと竜崎は笑うと、私に向き直り、ぎゅっと強く抱きしめた。
「あなたに…失望されたかと。この捜査本部を家族だと言っていたのに」
「いつでもどこでも一緒なのが家族じゃないですよ。相沢さんとも、いつかまた笑って会えますよ」
「…ゆづき。あなたは本当に…私には眩しすぎるほどの人です」
しんとした広い捜査本部に、竜崎の声だけが響く。
反響するその声が、どこか寂しげに聞こえた。
竜崎は私を離し、また正面を向く。
「私のやり方は誰からも反感を買うやり方だと自覚してます。それでも今までは他人の評価や目を気にしたことはなかった。でも、あなたにどう思われているかは怖かった…」
「竜崎…」
「あなただけは失いたくない。失望されたくない…こんな風に思ったのは、生まれて初めてなのです」
いつにも増して、膝を強く抱え込み小さくなっている。
「先日、弥との会話の様子を見てました。あなたをどこにも連れ出せてないことを彼女は怒っていた…確かに、普通の女性のように外を出歩いてデートなど出来ていません。あなたに…申し訳なくて」
普段自信家な竜崎が小さくなっているのを見て、私は酷く愛おしく思えた。
胸が締め付けられた。
弱音なんて吐かないし、自分のすることは間違いではないのだと常にまっすぐなのに。
私は膝を抱える竜崎を、そっと抱きしめた。
「…馬鹿ですね、竜崎。確かに私もデートはしたいけど…デートとは、どこに行きたい、じゃない。誰と行きたいか、でしょう?」
そう、そりゃあ人並みに街を歩いたり、映画を見たり、食事したりしたい。
私たちの愛は普通じゃないのかもしれない。
でもそれは、全てあなたがすきだからこそ出てくる要望なのに。
それが出来ないからと言って、竜崎に失望なんてしない。
「それに。もし竜崎が本当に間違えた事をしそうなら、私は失望するのではなくて止めるんです。そう簡単に嫌いになったりしない。人を好きになるって、そういう事かと思ってますよ。」
腕から伝わる竜崎のぬくもりが心地よい。
竜崎がゆっくりをこちらを見る。
月くんがキラじゃないと分かったことで落ち込んでたのもあるんだろうか。
「…キラ事件が片付いたら、ゆっくり出かけましょう」
「約束ですよ、竜崎。美味しいケーキを食べに行きましょう。出会ったホテルのカフェとかどうですか」
「いいですね。…あなたとなら、どこへ行っても楽しいでしょう」
優しく笑った竜崎の顔が、そっと近づいてくる。
はっとして、私は彼の口に手を当て、キスを止めた。
「…なぜ止めるんですか」
不服そうに、彼は言った。
「いや、この捜査室も監視カメラで録画してたでしょう…?もしかしたら誰かに見られるかも…」
「見られてもいいではないですか。アメリカでは挨拶がわりですよ」
「ここは日本です」
「私は日本人ではありません」
「私は日本人です」
「私たちの関係はみんな知ってることです。キスくらいなんともないですよ」
「いや、私が気にします。」
竜崎は前のめりになっていた体をしぶしぶ戻す。
ほっとして私ももう一度座り直した。
「早くヨツバにいるキラを捕まえてください。月くんとの鎖が取れればいいんですから」
「そのことですが…協力者を2名呼ぼうと思っています」
「え?」
「アイバーとウェディです。私が極秘で捕まえた、詐欺師と泥棒です」
「ええ?!」
「彼らはプロなので、ヨツバの内部を調べるのに適役かと」
犯罪者にプロも素人もあるのだろうか…
だが、これまた竜崎が考えたこと。私がとやかく言えることではない。
そうか、相沢さんがいなくなって穴が空いたと思ったけど、協力者を呼ぶのか。
「すぐこちらに来ますので、あなたにも紹介しますね」
「ええ、お願いします。あ、日本語しゃべれますよね…?」
「大丈夫です」
ほっと胸を撫で下ろす。英語、ぜーんぜんしゃべれないからね。
「一刻も早く、確実にキラを捕まえなくては。あなたに思い切り触れることもできない。」
「日中抱きしめてるじゃないですか…」
「あんなもので私が満足するとでも?そもそも、ゆづきは私と2人きりになれなくて平気なのですか?」
「えっ…」
「私はまたあなたの隣で眠りたい。結局夜を共にすることもできな」
「竜崎黙ってもらえますか」
「…とにかく、私はゆづき不足です。」
竜崎は私の手を取り、ぎゅっと握る。竜崎の手はいつもひんやり冷たい。
「…私だけですか。こんなに思うのは」
竜崎は膝を抱え、私を見つめたまま顔を膝に置いた。
…上目遣いで、私をみる。
ちょ、ちょっと…
なんか今日の竜崎、ほんといじけてて、
可愛いんですけど…
私は高鳴る心臓を抑えるように、ゆっくり深呼吸をする。
「…竜崎、私は…その、人目につくのが苦手です。今は月くんも常にそばにいるし、だから…私も我慢してるんです。早く、キラを、捕まえてください…」
竜崎の顔を見れない。そんな上目遣いで見てくる竜崎の目が恐ろしい。
顔が熱い。熱いよ、竜崎。
「…それを聞いて安心しました。私は1人ヤキモキしてるのかと」
…そう、か。
竜崎の愛情表現はいつもストレートだ。人目も気にせず抱きしめてくるし、愛のセリフも恥ずかしげもなく言う。
私はそれを恥ずかしがってたけど、日本人じゃない彼からすればそれが普通なのか。
むしろ、私は彼に対する表現が少ないから、竜崎を不安にさせてたのかなー…
そういえば一度だけした私からのキスも(しかも頬にしただけの)凄く喜んでたっけ…
ミサに嫉妬してほしそうにしたり…
私は少し反省すると、体をしっかり竜崎の方に向けた。
「あの竜崎、私日本人だから普段からあまり言えてないけど、それに恥ずかしいからなかなか勇気が出ないですけど、あなたのこと好きでたまらないんです。」
竜崎の黒目が大きく見開かれる。
「私の恋愛スキルが低くて申し訳ないけど、私はあなたを本当に大事に思ってる。…いつも上手く表現できなくて、ごめんなさい…その私、初めてだから…好きになった人に、好きになってもらえるの」
片思いばかり。
竜崎も、片思いで終わると思ってたから。
「手を繋ぐのも、抱きしめてもらうのも、はじめてだから、慣れなく…」
「それ以上言わないでください」
「え?」
竜崎は私の手をさらに強く握りしめる。
顔をすっかり、膝に埋まらせていた。
表情が見えない。
「ありがとうございます。でも、もう十分です」
「え?」
「…ちょっと、落ち着かせてください」
竜崎の表情は完全に見えない。
「え?」
「相沢さんのこと。」
心なしか、竜崎の表情が硬い気がする。
私が…怒ると思ってるんだろうか。
私はそっと、口角を緩めた。
「ああ…そうですね、あえて言うなら、試してた、なんて聞こえの悪い言い方をした事には」
「…事実です」
竜崎は私から視線をそらし、まっすぐ前を向いた。そんな竜崎を横目で見て、私はなぜか微笑ましく思う。
「…あなたは相変わらず、不器用ですね…」
出会った頃から変わらない。私にはあんなにストレートに愛を言ってくれるのに、なぜなの?
「試した、というのも嘘ではないですけど…竜崎は相沢さんに、選択肢をあげたかったんではないですか?」
竜崎がこちらを見る。
「キラを追うには…自らの命だけでなく、家族の人生も巻き込む可能性があること。特に相沢さんのような、小さなお子さんがいる人に、それを今一度見つめさせてあげたかったんでしょう?それぐらいの意思がなければ捜査は危険だから…」
試してたのは確か。
でもそれは、決して竜崎自身のためでなくて、
相沢さん自身のために。
「…あなたにかかると世の中の悪人はいなくなりそうですね。私を買いかぶりすぎです」
「竜崎こそいつも私を買いかぶってるでしょう?お互い様ですよ?」
「…敵いませんね」
ふっと竜崎は笑うと、私に向き直り、ぎゅっと強く抱きしめた。
「あなたに…失望されたかと。この捜査本部を家族だと言っていたのに」
「いつでもどこでも一緒なのが家族じゃないですよ。相沢さんとも、いつかまた笑って会えますよ」
「…ゆづき。あなたは本当に…私には眩しすぎるほどの人です」
しんとした広い捜査本部に、竜崎の声だけが響く。
反響するその声が、どこか寂しげに聞こえた。
竜崎は私を離し、また正面を向く。
「私のやり方は誰からも反感を買うやり方だと自覚してます。それでも今までは他人の評価や目を気にしたことはなかった。でも、あなたにどう思われているかは怖かった…」
「竜崎…」
「あなただけは失いたくない。失望されたくない…こんな風に思ったのは、生まれて初めてなのです」
いつにも増して、膝を強く抱え込み小さくなっている。
「先日、弥との会話の様子を見てました。あなたをどこにも連れ出せてないことを彼女は怒っていた…確かに、普通の女性のように外を出歩いてデートなど出来ていません。あなたに…申し訳なくて」
普段自信家な竜崎が小さくなっているのを見て、私は酷く愛おしく思えた。
胸が締め付けられた。
弱音なんて吐かないし、自分のすることは間違いではないのだと常にまっすぐなのに。
私は膝を抱える竜崎を、そっと抱きしめた。
「…馬鹿ですね、竜崎。確かに私もデートはしたいけど…デートとは、どこに行きたい、じゃない。誰と行きたいか、でしょう?」
そう、そりゃあ人並みに街を歩いたり、映画を見たり、食事したりしたい。
私たちの愛は普通じゃないのかもしれない。
でもそれは、全てあなたがすきだからこそ出てくる要望なのに。
それが出来ないからと言って、竜崎に失望なんてしない。
「それに。もし竜崎が本当に間違えた事をしそうなら、私は失望するのではなくて止めるんです。そう簡単に嫌いになったりしない。人を好きになるって、そういう事かと思ってますよ。」
腕から伝わる竜崎のぬくもりが心地よい。
竜崎がゆっくりをこちらを見る。
月くんがキラじゃないと分かったことで落ち込んでたのもあるんだろうか。
「…キラ事件が片付いたら、ゆっくり出かけましょう」
「約束ですよ、竜崎。美味しいケーキを食べに行きましょう。出会ったホテルのカフェとかどうですか」
「いいですね。…あなたとなら、どこへ行っても楽しいでしょう」
優しく笑った竜崎の顔が、そっと近づいてくる。
はっとして、私は彼の口に手を当て、キスを止めた。
「…なぜ止めるんですか」
不服そうに、彼は言った。
「いや、この捜査室も監視カメラで録画してたでしょう…?もしかしたら誰かに見られるかも…」
「見られてもいいではないですか。アメリカでは挨拶がわりですよ」
「ここは日本です」
「私は日本人ではありません」
「私は日本人です」
「私たちの関係はみんな知ってることです。キスくらいなんともないですよ」
「いや、私が気にします。」
竜崎は前のめりになっていた体をしぶしぶ戻す。
ほっとして私ももう一度座り直した。
「早くヨツバにいるキラを捕まえてください。月くんとの鎖が取れればいいんですから」
「そのことですが…協力者を2名呼ぼうと思っています」
「え?」
「アイバーとウェディです。私が極秘で捕まえた、詐欺師と泥棒です」
「ええ?!」
「彼らはプロなので、ヨツバの内部を調べるのに適役かと」
犯罪者にプロも素人もあるのだろうか…
だが、これまた竜崎が考えたこと。私がとやかく言えることではない。
そうか、相沢さんがいなくなって穴が空いたと思ったけど、協力者を呼ぶのか。
「すぐこちらに来ますので、あなたにも紹介しますね」
「ええ、お願いします。あ、日本語しゃべれますよね…?」
「大丈夫です」
ほっと胸を撫で下ろす。英語、ぜーんぜんしゃべれないからね。
「一刻も早く、確実にキラを捕まえなくては。あなたに思い切り触れることもできない。」
「日中抱きしめてるじゃないですか…」
「あんなもので私が満足するとでも?そもそも、ゆづきは私と2人きりになれなくて平気なのですか?」
「えっ…」
「私はまたあなたの隣で眠りたい。結局夜を共にすることもできな」
「竜崎黙ってもらえますか」
「…とにかく、私はゆづき不足です。」
竜崎は私の手を取り、ぎゅっと握る。竜崎の手はいつもひんやり冷たい。
「…私だけですか。こんなに思うのは」
竜崎は膝を抱え、私を見つめたまま顔を膝に置いた。
…上目遣いで、私をみる。
ちょ、ちょっと…
なんか今日の竜崎、ほんといじけてて、
可愛いんですけど…
私は高鳴る心臓を抑えるように、ゆっくり深呼吸をする。
「…竜崎、私は…その、人目につくのが苦手です。今は月くんも常にそばにいるし、だから…私も我慢してるんです。早く、キラを、捕まえてください…」
竜崎の顔を見れない。そんな上目遣いで見てくる竜崎の目が恐ろしい。
顔が熱い。熱いよ、竜崎。
「…それを聞いて安心しました。私は1人ヤキモキしてるのかと」
…そう、か。
竜崎の愛情表現はいつもストレートだ。人目も気にせず抱きしめてくるし、愛のセリフも恥ずかしげもなく言う。
私はそれを恥ずかしがってたけど、日本人じゃない彼からすればそれが普通なのか。
むしろ、私は彼に対する表現が少ないから、竜崎を不安にさせてたのかなー…
そういえば一度だけした私からのキスも(しかも頬にしただけの)凄く喜んでたっけ…
ミサに嫉妬してほしそうにしたり…
私は少し反省すると、体をしっかり竜崎の方に向けた。
「あの竜崎、私日本人だから普段からあまり言えてないけど、それに恥ずかしいからなかなか勇気が出ないですけど、あなたのこと好きでたまらないんです。」
竜崎の黒目が大きく見開かれる。
「私の恋愛スキルが低くて申し訳ないけど、私はあなたを本当に大事に思ってる。…いつも上手く表現できなくて、ごめんなさい…その私、初めてだから…好きになった人に、好きになってもらえるの」
片思いばかり。
竜崎も、片思いで終わると思ってたから。
「手を繋ぐのも、抱きしめてもらうのも、はじめてだから、慣れなく…」
「それ以上言わないでください」
「え?」
竜崎は私の手をさらに強く握りしめる。
顔をすっかり、膝に埋まらせていた。
表情が見えない。
「ありがとうございます。でも、もう十分です」
「え?」
「…ちょっと、落ち着かせてください」
竜崎の表情は完全に見えない。