6
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「試してました。どっちを取るか。みてました。」
竜崎の抑揚のない声。みながハッとして息をのんだ。
私は何も言えずただその場に立ちすくんだ。
「わかった…俺はここを辞めて警察に戻る」
「相沢さん…!」
私と松田さんの声が重なった。夜神さんも目を見開く。
「俺は局長達の様にすぐに決断できなかったし、警察に戻る方に傾いていた…」
「そんな意固地にならずに…」
松田さんが慌ててフォローに入るも相沢さんの耳には届かない。
「いや辞める!今またはっきりわかったが、俺は竜崎が嫌いだ。竜崎のやり方全てがな!!」
「それが普通です、相沢さん」
竜崎は表情を変えないままパソコンを眺めている。
「私は相沢さんみたいな人、好きですけどね」
ぐっと言葉を飲んだ。
「こ…こういう事を白々しく言う所がまたどうしようもなく嫌いなんだ!!
俺はここを辞める!」
「お疲れ様でした」
竜崎が言い終わるのが先か否や、相沢さんは動き出し、手早く荷物をまとめる。
竜崎は引き止めるわけもなく…
そのまま相沢さんは荷物を持ち、捜査室の扉を開けた。
ちらり、と私の方を見た。
しかし言葉もなく、相沢さんは外へと飛び出していく。
私は慌てて彼の背を追った。
廊下に出ると足早の相沢さんの背はすでに遠くに見えた。
「…相沢さん!」
声をかける。相沢さんはピタリと足を止めゆっくりと振り返った。
その顔は切なく、どこか罪悪感があるような、寂しげな表情をしていた。
「…すまん、ゆづきさん」
それだけ言うとまた前を向いて歩き出す。私は足を止めたままもう一度相沢さんと声をかけた。
「…私は竜崎の擁護するつもりも、相沢さんが選んだ道を責めるつもりもありません。あなたが選んだ道はあなたにしか選べないもの。…家族を大事にしてください。」
相沢さんがこちらを見る。
微笑んでいた。
「優しい言葉ありがとう…君の存在が、捜査本部を何度も助けてくれたよ。あとは、頼むな」
「お元気で相沢さん…寂しいけど私も何度もあなたに助けられました。あなたを応援しています」
真っ直ぐで熱いひと。
正義感の塊。仲間思い。
そんなあなたが、すごく眩しかった。
私の力を恐れず可愛がってくれた。感謝してもしきれない。
相沢さんは軽く頭を下げると、そのまま歩き去っていったのだった。
夜。
私は再び、捜査室へと向かっていた。
相沢さんが去って、どうしても竜崎と話しがしたくなった。
彼がいなくなった穴は大きい。これで模木さんに夜神さん、松田さんしかいなくなってしまった。
あとは、月くんもいるけど…手錠されてるし。
ヨツバという大きな会社に挑むのに、この少人数で大丈夫なのか不安がよぎっていく。
私は竜崎に会うため、夜中、長い廊下を突っ切ってゆく。
「…こんばんは…」
この前は月くんのみが起きていたけれど、まさか連続でそうはなるまい。元々竜崎はあまり寝ないのだし。
捜査室の扉を開けると、想定通り、今日は竜崎は座ってパソコンを眺めていた。
月くんは…ソファから足が見えてる。寝てるのかな。
私はゆっくり竜崎の元へと近づく。
「こんばんはゆづき」
「こんばんは…起きてましたか」
「この前は私が寝てる時に来てくれたようですね。月君から聞きました。」
私がふと横になっているライト君を見ると、彼の耳にはイヤホンが、目にはアイマスクがつけてある。
…?
私が不思議に思っていると、竜崎が説明してくれた。
「おそらくゆづきが来るだろうと月くんが気を遣ってくれました。」
…なるほど。気がきくひとだ。隣にいるには変わりないが、これで幾分か話しやすくなる。
「どうぞ」
竜崎に言われ、私は彼の隣に腰掛けた。
「久しぶりですね、ゆづきとゆっくり2人で話すのは」
「そうですね、引っ越しもあってバタバタして…」
今も2人ではないのだが。隣で規則的に息を繰り返す月くんを横目で見る。
竜崎が、こちらをじっと見つめた。