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「あれ?竜崎と月くんはどうしたんですかー?」
松田さんがキョロキョロしてる。
私はオーブンを稼働させながら答える。
「あ、デートですよ。ミサの部屋で。」
「あ、なーる…3人で、ね…ゆづきちゃん行かないの?」
「誘われましたが…ちょっと手が離せない過程だったので…断りました」
「あらら。竜崎すねてないといいけど」
「それに、ミサの部屋はいつもいってるし…」
最近、仕事を上がった後はミサの部屋へいくのが習慣となっていた。二人でお茶したり、テレビを見たりして寛いでいる。
本当に普通の、「友達」として。
「ゆづきちゃんミサミサと仲いいよねぇー。全然タイプ違うように思うけど…」
「違いますね、確かに。クラスにいたら一番遠い存在だと思います」
「違いすぎて、惹かれるのかもね?」
「なんにしろ、まさかこの年で仲いい友達ができると思ってなかったから嬉しいです」
私は動き出したオーブンを見て満足すると、ふと松田さんを見た。
「何か、食べます?プリンあるんですけど、どうですか?」
「えっ、じゃあ貰おうかなぁ」
「はい、待っててくださいね」
私は冷蔵庫からあらかじめ作っておいたプリンを取り出す。スプーンを添えて、松田さんへ手渡す。
「ありがとう、僕プリン好きなんだよね〜!」
「よかったです。」
松田さんがその場ですぐ封を開けて一口食べる。
顔をとろけそうにさせながら、優しい笑顔を見せる。
「ん〜おいしいね!」
「ふふ…松田さんっていつも、本当に美味しそうに食べてくれるから嬉しいです。作り甲斐がありますよ」
私もつられて顔を綻ばせた。
「ええ?そうかなぁ?またゆづきちゃんの料理食べに来てんのかって相沢さんに言われちゃうや…僕大して仕事もできないのに」
「そんな…」
松田さんはまた一口食べると、やや視線を落とした。
「他の人はみーんな優秀で仕事できる人たちだからさ〜どうしても…」
劣等感が、か。
私はその先の言葉を口の中で呟いた。
松田さんの言うことはなんとなく気付いていた。
夜神さんは言わずもがなベテランだし、模木さんや相沢さんも年上で仕事ができる感じする。
確かによく松田さんは叱られているけど…
「私、思うんですよ。キラという凶悪犯に命をかけて挑んでる時点で、みんなものすごい勇気だって。その決断は誰にでも出来ることじゃない」
亡くなった宇生田さん。
それを含めて、みんな正義感の塊。
一体誰が、自らの命をかけてその正義感を貫けるだろう。
「それに…これは気休めじゃなく言うんですけどね。松田さんみたいに元気で明るい人、組織には絶対必要ですよ。場を和ます力って、先天的なもので真似できないから。私、何度も助けられてますよ?」
微笑んだ。
気兼ねなく話しかけて笑ってくれる。
固くなった肩を撫で下させるような笑顔。
そう、まるで…子供みたい。
松田さんがふっと目を細めて、笑顔のような、泣き出しそうな、難しい表情をした。
「…ありがとう……あの、僕…」
松田さんが何かを言いかけたところで、捜査室に声が響く。
「お疲れ様です…」
相沢さんだった。
私はぱっとそちらへ視線をずらす。
松田さんもそれに釣られたのか、私からすっと離れた。
…何か言いかけたけど、よかったのかな。
私はまあいいかと特に問い詰めることはせず、再びお菓子作りに目を落とす。
相沢さん、夜神さん、松田さんが話しているのを耳で聞く。
「竜崎は?」
相沢さんが尋ねると、松田さんが答えた。
「デートですよ!
ミサミサの部屋で月くんと三人で。観ますか?」
「えっ、観れるのか?」
「一応この建物の中は死角がない様に監視カメラが付いてるんですよ。
もちろん部屋の中まではミサミサの部屋しか普段は見ませんけどね」
「まあ弥が第二のキラと関わっていたと考えれば竜崎ならそうするだろうが…。しかし松田
『ミサミサ』って呼ぶのは止めろ」
「あっはい」
「ゆづきさんはいいのか?」
私に声をかけてくれる。微笑んで答えた。
「竜崎に誘われたんですけどね…ちょっときりの良いところまでやりたかったので」
「そうか」
相沢さんがモニターに目をうつす。松田さんが何か操作している。ミサの部屋をうつしだす手技だろう。
『ねー…
これデートって気になれないんだけど…………』
『私の事は気にしないでいいです』
機械から通されるミサと竜崎の声。
私はそれだけでついふふっと笑う。
私、ミサと竜崎のコンビ、結構好きなんだよな。
早く終わらせて合流できそうならしようかな…
私はそう考えながら手を動かす。
そういえば以前、好みの異性の話をしていたとき、ミサのことを可愛らしいと言っていたっけ。
それに対してなんの嫉妬もしない私に竜崎は不満げだったけど…
あれだけ月くんにベタ惚れなミサに嫉妬なんかできないよなあ。
ふと、手を止めた。
…もし、ミサが本当に第二のキラだったら、私、どうするんだろう。
疑惑は簡単にははれない。だからこうして監視されている。
第二のキラは、宇生田さんを殺した相手。
今ようやく友達になれたミサが第二のキラだったら…?
…ミサであってほしくない。
彼女は、両親を殺されて命の重みも分かってるはずだ。
ミサがあんなことできっこない。
…でも。あれほど好きな月くんが、あれほど崇拝しているキラだったら…彼女は…