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それから私は毎日ではないが、ミサの世話をしに通った。
はじめは月くんの話題しかなかった仲が、
回数を重ねるにつれて彼女のプライベートな話にまで発展するようになった。
強盗に両親を殺された話も、ポツリポツリと話してくれたこともあった。
つい、聞いてるこちらが泣いてしまったほど…悲しい声だった。
確実に、ミサと私は距離を詰め、友人のような関係を築き上げてきていた。
しかし、一向に第二のキラについては証言もなにも得られず。
月くんも同様で、無罪を主張して続けた。
そしてー
ついに、監禁は50日を超えた。
ミサはここ最近、あまり話さなくなった。
話す気力がなかった。
月くんは未だ竜崎から、キラによる裁きが再開されていることは知らされておらず、こちらも床に寝転がってぐったりしている。
夜神さんは随分痩せた。
2人が知らない犯罪者、つまり監禁中に起こった事件の犯人も裁かれており、2人がこの裁きには無関係であることが分かる。
それでも監禁を辞めようとしない竜崎に、捜査員は不信感を抱いていた。
竜崎の葛藤もよくわかる。
ミサに至っては物証がいくつもあったし、はじめは完全黙秘。
月くんも今までの疑惑の積み重ねがあり、監禁してすぐはキラの裁きがやんだ。
完全にシロ、と呼ぶに二人とも様々な問題がありすぎた。
でも、今、事実キラの裁きは起きている…
中々この監禁を終えるのに決断ができないのだ。
しかし、弱まっていく3人の体力も限りがあり…
黙って竜崎のやることを見ていた相沢さんが、とうとう口を開いた。
「…竜崎。もうこれ以上の監禁は意味がない。2人が知らない犯罪者までも殺されているんだ。もう監禁を終わりにすべきだ」
竜崎は親指の爪を噛みながら、ぐったりしてる3人の映像を見ていた。
「分かったのは弥の異常なまでの夜神月への愛くらいです…」
「悪いが竜崎…私には月くんがキラだと言う推理が外れたのを認めたくないからこうしているとしか思えない」
キッパリと、相沢さんが言う。
松田さんが深刻そうな顔をして、私を見た。
「ゆづきさん、どう思いますか!?」
うっと、言葉に詰まった。
聞かれるかもしれないとは思っていた。やはり、来たか。
私はじっくり考える。相沢さんも松田さんも、私を見ていた。
私は竜崎に近づき、彼に話しかける。
「竜崎…確かに、ミサに関しては物証もあり、2人とも途中から態度が急変したりと、気掛かりが多いのは事実です。
しかし、監禁してる今も犯罪者がキラによって裁かれているのも事実です。
2人は衰弱してる…これ以上このまま続けても、自白するとは考えにくい…。監視を続けるにしても、せめて拘束は外してはどうでしょうか」
竜崎は考えるように爪を噛んだ。
「…わかりました。」
そう一言いった。
ほっとしたような相沢さんと松田さんの顔が目に入る。
しかしどうも竜崎は、どこか納得しきれていないような表情だった。
こうして、3人の監禁は終わりを告げたのである。
しばらくたち、ホテルにミサと月くんがやってきた。
私は丁度お手洗いに行っていた時で、何やら外が騒がしいことだけに気づいていた。
特にミサの声は高くて響いている。
私はトイレから出て、捜査本部への扉を開けた。
ミサの驚いたような声が耳に入る。
「えっ…24時間行動を共にするってこういう事!?
男同士でキモイよ…!
竜崎さんってこっち系?大学でも月と一緒にいたし…」
しかし私が驚いたのは、そこに立ってる竜崎と月くんの姿。
2人は鎖の長い手錠で繋がれていた。
…どゆことこれ。
私がぽかんとしていると、突然ミサの甲高い悲鳴が上がった。
「きゃーー!ゆづきちゃーーん!」
聞こえたかと思うと、ミサは強い勢いで私に抱きついてきた。
「わっ…!」
「ゆづきちゃんでしょう!?見てすぐ分かった!イメージ通りの綺麗なお姉さんだった〜!」
力強くぎゅっと抱きしめてくれる。私は拘束されていないミサを初めて正面から見た。
「ミサ、よかったね。」
「ゆづきちゃんが励ましてくれたから…辛かったけど、月にもゆづきちゃんにも会えたしミサ幸せ!」
素直にニコニコと言ってくれる。
私も釣られて顔を綻ばせた。
同じ女性から見ても、可愛いなぁ…
「ゆづきさん、久しぶり」
月くんと、夜神さんが微笑んだ。
久々にみた2人の姿に、私はほっと息をついた。
「お久しぶりです2人とも…痩せましたね…」
でも夜神さんは、とても穏やかな表情だった。息子の疑惑が晴れたのが彼にとっては一番重要なのだろう。
…ところで。
「竜崎、その手錠は何事ですか」
私は問う。
竜崎より先にミサが答えた。
「これから24時間月と一緒にいるんだって!あんまりでしょ〜!?ミサと月いつデートするの!?」
「デートするときは必然的に3人でとなります…」
竜崎が答える。
私も驚きで目を丸くした。
…てことは…私ももう、竜崎と2人きりにはなれないのね…!?
「はぁ!?あなたの前でキスとか…しろって言うの?」
ミサが不満そうに言う。
「それも監視することになります」
「えええ!?なにそれ!やっぱりあなた変態じゃない!!」
ミサが顔を青くする。
竜崎が考えるように少し上をむいたあと、私を見た。
「それかダブルデートですね。それなら変態ではないですか」
「えええ?竜崎さんにそんな相手いるのー?」
疑惑の視線を向けてるミサ。
竜崎は私を見ている。
それに気づいたミサは、あははと笑った。
「えーゆづきちゃん?ありえないでしょ〜」
私はなにも答えない。なにをどう答えていいか、わからなかったから。
それを見てかもしくは何かに気づいたのか、ミサがハッとした顔になる。
そして恐る恐るきいた。
「ねえ…竜崎さんって、甘党だったりする?」
「ええ。かなりの。」
平然と答えた竜崎をみて、ミサは目を丸くした。
以前私が言った言葉を思い出したようだ。
「え…えええー!?ゆづきちゃん、嘘でしょー!?」
大きな口を開けて仰天している。
私は苦笑する。