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その後ワタリさんの迎えを待ち、私は彼の運転する車にのり、弥が監禁されている場所へむかった。
ワタリさんはやや心配そうに、気をつけて、と私に忠告した。
私は緊張する心を沈めながら、自分を奮い立たせた。
自分で望んだ仕事だ。
厳重に閉ざされたセキュリティを抜けて、私は弥がいる場へと近づく。
ワタリさんに用意してもらったパイプ椅子を、片手に持った。
重い扉を開けて、その部屋はあった。
弥は目隠しをされている。
私はゆっくり近づく。
寝てるのだろうか。それすら、分からない。
物音は聞こえているはずだけど、彼女は何も反応しなかった。
私は少し離れたところにを、パイプ椅子を組み立てた。
その音を聞いて、ようやく弥が反応する。
ゆっくり椅子に座る。
「はじめまして、弥海砂さん」
自分の声が響く。
「…あれぇ、誰…?女の子…?」
顔をこちらに向ける。
「今日からあなたのお世話の手伝いをすることになりました、ゆづき、と言います」
「ミサの世話…?ミサを閉じ込めてるの、女の子だったの?」
「違いますよ。私は使いの者です」
弥は小柄で細い。目隠ししてても、可愛らしい顔立ちと言うことがわかる。現役モデルって凄い。
「じゃあ、頼んでよ!ミサのこれ、外してって!」
手を動かし、嫌そうな素振りを見せる。
「ごめんなさい、それはまだ出来ないの。あなたは今、第二のキラと疑われてること聞いたでしょう?」
「だからーそんなのミサ知らないよ〜…」
「そっか…ただ今はすぐ解放は難しいんです…もう少し、我慢ですよ」
「もう我慢無理ー!ここからだしてぇー!」
弥の高い声が響き渡る。
当然の反応だな…さて、ここからどう話を膨らまそうか…
私は何も言わず、椅子に座ったまま足を組んだ。
今まで友達という友達も作ってこなかった私は、コミュニケーション能力低いんだよなぁ…
「月に会いたいー…月…」
寂しそうに呟いた。私はふとそれに食いつく。
「そっかぁ弥さん…月くんと付き合ってるんでしたね」
「そうだよー!月カッコいいんだから!ミサの一目惚れなの!」
「私、少しだけ月くん知ってるんです。わかりますよ、かっこいいですよね」
軽いきもちでそう言ったが、思った以上に弥は食いついた。
体も前のめりになるようにし、反応する。
「え、月知ってるの??」
「知ってますよ。少しですけど…」
「えー。元カノとか!?」
「ま、まさか!ええと…彼のお父様と一緒に仕事してて、それでちょっと会ったことあります」
「えー!そうだったのぉー!?」
思った以上に食いついてきてちょっと驚いた。確かに、月くんにぞっこんな感じは分かってたけど…
「月くん素敵だし、弥さんは可愛いし、すごくお似合いだと思ってますよ」
「え!え!ほんと!?本当にそう思う!?」
「うん、ほんとに。」
ぱああっと笑顔が広がった。
「嬉しいっ!ゆづきちゃん、だっけ!ありがとうー!ミサって呼んでね!タメ口でいいんだよ〜年近いでしょ?」
あまりの態度の豹変ぶりに、ちょっとずっこけそうになった。
本当に夢中なんだな、月くんに…
なんというか、素直で単純で、警戒心がない。
これが第二のキラ…?
「じゃあ、ミサって呼ぶね。二人は青山で出会ったんだっけ?」
「そうなの!ひと目見て恋に落ちたんだあ!その後名前をネットで検索して色々調べて〜…」
「凄い、行動派なんだね!名前は、どうやって知ったんだっけ?」
「うーん覚えてないんだよねぇ。」
以前、竜崎ともこういう会話はしていた。同じ答えが返ってきた。
凄く不自然だ。
一目惚れした相手の名前をどう知ったのか忘れる?もし第二のキラなら、青山ではない場所で一目惚れし、直接声を掛けた、という作り話で十分ではないか?
なんでこんな不自然な話を堂々としてるんだろう…
「普段よく青山行くの?」
「うーん頻繁にはいかないかなー」
「当日は、特に理由もなくふらーっと青山に行ったんだっけ?」
「そう!運命感じるよねー!」
まるで私に警戒心を抱かず、月くんへの恋心を話し続けるミサ。
物証がいくつもあるから、ミサは第二のキラであることはほぼ間違いない。
でも…この状態、演技とは到底思えないんだけど…
もしかして、死神が乗り移ってた説、意外と正しいんじゃないかな…
彼女にも月くんにも、キラだった自覚がない。