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第二のキラから、意味深な日記のようなものがとどいた。
「5月22日 友人と青山で待合せ。ノートを見せ合う。」「5月24日 友人と渋谷で待合せ。今年の夏用の服を数点買う。」「30日、東京ドームの巨人戦にて、死神を確認する」
これをみた竜崎や月くんはため息をついた。
「どう思います? ライト君」
「今のところ、バカだとしか言いようがないな」
「正直バカっぽいだけに、どう対処すればいいのかわからなくなりました」
このメッセージをテレビで流してしまうと、30日の試合自体を中止せざるを得なくなる。
だがメッセージを放映しないと、第二のキラも動かない。
竜崎は考えつつ、この日記をテレビ放送するとともに試合を中止するのを発表することを決めた。
30日は球場周辺の道路封鎖・検問を実施することにした。
「そして我々が作った本物のキラから『了解した、会おう』という内容の放送も行います。本物のキラが来ることは考えられませんが、第二のキラが来るかもしれない…」
竜崎は紅茶をゆっくり飲みながら考える。
「どこまでバカなのか見えませんから...
それと、そこまでバカじゃないと考え、この日記に他のメッセージが隠されてないか考えてみます。
もし死神という力を持った者同士にしかわからない暗号が隠されていたら、私には解読できません。
だが、この日記に記されている場所は徹底的にマークしておくべきです。」
日記に書かれたのは青山と渋谷。
「青山でノートを持つ者に、渋谷では洋品店に注意を向けるしかありません」
それから捜査員はみな私服で、当日青山と渋谷に潜入することが決まった。
月くんは松田さんと、青山に行くらしかった。
着々と進む捜査の中で、私は一人、他のことを考えていた。
宇生田さんが死んで、もう20日以上。
私はある自分の変化に気づいていた。
予知が、見えない。
あの日を最後に、私は予知を何も見ていなかった。
確かに私の予知は見える頻度がバラバラだ。
1週間音沙汰がないことは多々あった。
が、…これほど長時間、一つも予知を見ないことは今までなかったのだ。
今までは、予知が見えるたびうんざりした。
こんな力なくなればいいと。普通の女の子になりたいと願ってた。
しかし今は違う。
Lを救うためには、私にはこの力しかないのだ。
その上ようやく、月くんとも接触できたのに…
なぜ今になってなの?なぜそんなに私を苦しめる?
もどかしくてもどかしくて、死んでしまいそうだった。
Lにはまだ話せていない。
第二のキラ出現以降、二人の時間がとりにくいというのもあった。
けれど数回、夜お茶する機会もあったのだが…
言い出せなかった。
彼は優しいから、そんなの問題ない、というのは分かってる。
ただ私がどうしても。受け入れられていなかった。
ー私の、存在意義
5月も後半。
今日は第二のキラの日記で青山でノートを見せ合う、と表記した日だ。
青山には私服の警官を配備し、監視カメラも多く設置した。
松田さんと月くんも私服で青山へ行った。
とうとう予知を見なくなって1カ月が経ってしまい、そろそろLに打ち明けなければならないと思っていた。
月くんがいるときに話すのは気後した。一応彼はキラ容疑者だから。
Lを呼び出しても怪しまれるかもしれないし。
だから今日、Lに話すには絶好のチャンスだった。
Lはいつも通りソファに座って、紅茶とチョコレートタルトを食べていた。
昼休憩。ちょうど他の捜査員の方達は警視庁に行ったり、昼食を外へとりに行ってたまたまいなかった。
私はそこへ近づき、声をかける。
「竜崎、お話したいことがあります」
竜崎が私を見上げる。
「はいなんですか」
「…私の部屋でも、いいですか」
私が問うと、竜崎は無言で立ち上がった。
「行きましょう」
途中で誰かが帰ってきてしまっても気まずいので、私は自室へ彼を導いた。
竜崎は私の部屋に入るなり、またドレッサーの椅子を回転させて座った。
「珍しいですね。何かありましたか」
「…あの、予知なのですが」
「何か見えましたか?」
「見えなくなりました」
私がいう。竜崎はあまり表情を変えることなく、私を見ていた。
私は竜崎から視線を外し話す。
「私の予知は頻度がバラバラですが、1カ月以上も見えなくなったのは初めてなのです。一時的に見えなくなってるのか、急に予知能力がなくなったのかはわかりません…」
「なるほど、それでここ最近あなたは落ち込んでたんですね。宇生田さんの件でそうなのかと思ってましたが」
竜崎は私の変化に気づいていたらしい。
いつも通り振る舞ってたつもりだけど、彼にはお見通しだったか…
「宇生田さんの予知が最後ですか?」
「そうなります。あれ以降一つも見ていません」
竜崎は親指の爪を噛みながら天井を見上げる。
「…宇生田さんの死が原因かもしれませんね」
「え…」
「あなたの能力はお父様が目の前で亡くなられたのがきっかけで目覚めた。宇生田さんの死を目撃した事で、今度は逆の事が起こったのです。お母様も看取られたとは思いますが、ご病気との事なので、突然亡くなられたわけではない。目の前で知り合いが突然死するというショックからの現れの可能性があります」
「確かに…辻褄があいますね…」
父を目の前で亡くしたショックで芽生え、
仲間を亡くしたショックで消え失せた、と。
「まあまだ完全に消えてしまったとはかぎりませんので、ふとした時にまた浮かぶかもしれません」
「こんな大事な時に…あの…」
「また謝るんですか。やはり趣味ですか。私がなんて言うか分かってるでしょう?光さんにチカラが無くなっても関係ありません。自分の力でキラを捕まえて見せます。」
Lはそう言って椅子から降りると、私をそっと抱きしめた。
「今私にとって重要なのはあなたとの時間が減ってる事です…私の推理力が40%減ですよ…」
「大げさですよ、竜崎…」
「そんなことありません。予知なんてどうでもいいです。あなたとまた眠りたい…」
私を離す。
「…とにかく、今は気にしないことです。」
「あの…捜査員の方達に言ってもいいでしょうか…私としては伝えておきたいけど、月くんがいるから…」
「別に構いませんよ。予知力がなくなったと彼がしれば、むしろあなたが狙われなくて済むので安心です」
「では…また後ほど、私の口から伝えます」
竜崎が軽く、頬にキスをした。
「さ、ここにいてはいつ私の理性がなくなるか分かりません。戻りましょう。」
竜崎はそう言って、私の手を握りながら部屋を出たのだった。