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夜神さんが回収してきたビデオの内容は、警察がキラの協力にイエスと答えたら③のビデオの放映を、ノーなら④を放映しろとのことだった。
③には犯罪者をより多く報道する事などを指示。さらに、警察が協力する事の証として警察幹部と―
Lがテレビに出演し『キラに協力する』と発表するよう指示されていた。
無論、竜崎はノーである④の放映を数日後にさせた。
その後、各国首脳会議がされ、Lを…偽物など使わずに、テレビ出演させろと要求があったのだ。
竜崎はその要求は最もだと言った。
しかし、テレビ出演などすれば確実に竜崎は殺される。キラは顔だけで人を殺せるのだ。
が、竜崎は言った。
「キラに殺されるよりキラに便乗した者に殺されるのはより不愉快です」
と。
彼の推理では、今回の件はキラではなく、
第二のキラである、というのだ。
…私は頭がクラクラしそうだった。
これまでみんなで必死に追ってきたキラではなく。もう一人のキラ?
一体、何がどうなっているのか?
混乱する周りをよそに、とうとう竜崎は、夜神月くんをここへ呼び捜査要請することを決めた。
ーついに、彼がキラだと疑ってる彼を。
そして言った。このビデオを見て、月くんは一体どんな推理をするか。
竜崎と同じように、第二のキラの可能性を指摘してきた場合、月くんは『ほぼ』シロと言える、と。
殺伐としている捜査室。
みんなずっとピリピリしていた。少し前まで笑顔も見れたが、それも最近では皆無。
私は自分にできる事を、と、ただひたすら今までのように、いや今まで以上に気を遣って動いた。
竜崎にスイーツを作るのは変わらないけど…
頭を使うには糖分が必要、という彼の持論どおりなのか、最近今まで以上にスイーツをよく食べた。
私はひたすら、竜崎にお菓子を提供し続けた。
そこへ、新たな風が吹いた。
夜神月くんが、この部屋に初めて入ってきたのだ。
竜崎が立ち上がる。
そして月くんの前に立つといった。
「ありがとう夜神くん」
「いや、キラを捕まえたい気持ちは一緒だよ流河」
流河、とは、竜崎が大学入学のために使っていた偽名だ。
「ここでは『竜崎』と呼んでください」
「松井です」
「相原です」
「そして私は朝日だ」
それぞれが偽名を名乗る。瞬時にその理由を察したのか、
「なるほど。じゃあ僕は『朝日 月』でいいかな?」
そう、爽やかに笑った。
彼を見るのは二度目だ。しかし、前回はスモークガラス越し。
正面から見ると、更にかっこいいのがわかった。
「それでお願いします。
私もここでは『月くん』と呼ぶ事にします。」
月くんが、私を見て不思議そうにする。
私はキッチンから出て、頭を下げた。
「はじめまして。ゆづきと言います。よろしくお願いします」
「はじめまして、ゆづきさん。…君も捜査員?」
スーツを着てる周りの人たちに比べ、私はシンプルなワンピース。一人、浮いていた。
「彼女は仲間ですが捜査員ではありません。情報提供者です」
「情報提供?」
「その話はまた後ほど説明します」
竜崎はテレビの前のソファに飛び乗る。
「では早速ですが今までのキラに関する捜査資料と
このテレビ局に送られてきた一般には未公開のビデオを観てください。すべての資料等の持ち出しやメモを取る事は禁止です」
月くんは竜崎の隣に座ると、じっと画面を見る。
私はキッチンに入り、月くんの分のお茶とお菓子を用意し始める。
真剣な眼差し。綺麗な横顔に、つい見惚れた。
本当にモテそうな子だなあ…
竜崎はテレビを見る月くんをじっと見つめた後、
「どうですか月くん。何かわかりましたか?」
「…キラの能力を持った人間は一人じゃないかもしれない」
「キ、キラの能力?どういう事だ月!」
緊張した面持ちで月くんを見ていた夜神さんが叫ぶ。
「少なくともこいつは今までのキラじゃない可能性が高い。今までのキラなら殺人予告にこんな容疑者を使ったりはしない」
「お…同じだ……」
「竜崎の推理とまったく同じ…」
松田さんと相沢さんが驚いたように呟く。
でも、私はあまり驚かなかった。
なぜかは分からないが、彼はそう推理する気がしてたから。
「それにキラの殺人に顔と名前が必要とするなら
テレビ局に偶然駆けつけた刑事や警官を殺せたのもおかしいじゃないか」
月くんの鋭い推理に、周りは感嘆の息を漏らす。
「その通りです月くん。私達も第二のキラだと見ています」
竜崎が言う。
月くんは少し不愉快そうに眉を潜めた。
「わかってたのか流河…いや竜崎。わかっていて僕を試したのか?」
「試したのではありません。私一人が第二のキラ説を考えても説得力がない。月くんが同じ推理をした事でより有力な説となります。ライトくんは本当に力になる
助かります」
月くんは、それ以上は何も言わなかった。
竜崎は何も気にしてないように続ける。
「決まりですね」
さらに彼は続ける。
「まず第二のキラを止めねばなりません。奴は明らかにキラを共鳴しているし、そんなに賢くはない。
本物の呼びかけには応じるかもしれない…もし第二のキラなど存在しなければ無意味ですが、やる価値はあります。
同時に本物への対処も必要ですが今はこっちを優先すべきです」
「流石だな竜崎。僕もそれがいい手だと思っていた所だ…」
関心するように月くんが呟く。
「そこで月くんに…本物の方のキラを演じて欲しいんです」
「!ぼ…僕が?」
「はい、月くんくらいの才能があればこなせるはずです。とにかく時間がない。夜のニュースで流せる様
キラからの呼びかけの原稿を作ってもらえますか?」
竜崎はそう言うと、紙とペンを指差し、もう決定したとばかりにお茶を飲んだ。
月くんは困ったように小さくため息をついたが、すぐに紙とペンを持ってダイニングテーブルへ移動した。
私はちょうど入れ終わったお茶とケーキを、月くんの近くに置く。
「ああ、ありがとうございます、えっと、ゆづきさん」
「いいえ」
彼は少し私に気になるような視線を送ったが、すぐに集中して原稿を作る。
私はすぐにキッチンへ引き返す。
彼の予知が、何かきますように。
それがキラと決定的なものでも、逆にキラではないと決定的なのでもいい。
捜査が進むような…そんな予知を。
しばらくして月くんは原稿を書き上げた。
竜崎はチェックし、それを相沢さんに渡す。それを今日、テレビに流すのだ。
相沢さんが走って捜査室から去った後。
月くんがふうと一度息を吐いて、ようやく私が入れたお茶とケーキを口に入れた。
「凄く美味しいですね。もしかしてこれ手作りですか?」
「ありがとうございます。竜崎が甘いもの好きなので、趣味程度に作ってるだけですが…」
「へえ、すごい。とても美味しい。こんな美味しい物が食べれるなら来るのが楽しみになるな。」
月くんがそう言いながら笑顔で食べてくれる。
屈託のない笑顔。
やはり彼がキラだなんて、思えないなぁ…
「そういえば…ゆづきさん捜査員じゃないんでしょう?」
月くんが聞いてくる。
「ええ、私は主に雑用です。何かあれば言ってくださいね」
微笑んで、少し話題を逸らした。
私の能力について、聞きたいんだと分かったから。
それでも彼は諦めず聞いてくる。
「さっき竜崎がー」
「ゆづき私の分のケーキもおかわりください」
気づけば、竜崎が近くに立っている。
私は離れて冷蔵庫を開けた。
月くんは、もう竜崎に直接聞くことにしたようだ。
「で?竜崎。ゆづきさんがまさか本当に雑用するだけの人じゃないだろう?こんな危険な場所にそんな存在を入れる必要はない」
「そうですね、まだ話してませんでした」
竜崎は私の手からケーキを受け取る。なんとその場で立ったままフォークを使いながら食べはじめる。
「彼女には、予知能力があります」
「……え」
月くんが、目を見開く。
「彼女の予知能力については私が保証します、実力は確かです。ただ、キラに無関係なものも多々見えますがね。おいしいです、ゆづき」
こんな状況でも感想を言ってくれた。
私は苦笑しつつもお礼を言う。
「そばにいれば月くんの未来も彼女に見えますが、よろしいですね?」
竜崎は、どこか試すような言い方で聞いた。
一瞬、月くんの表情が固まったように見える。
が、すぐに微笑んだ。
「大丈夫だよ、僕は…
見られて困るような事はしてないからね」
その言葉が、何故か私は引っかかった。
いや、変な事は言ってない。
けど、なんだろう…どこか、悪意の感じる声色に思えた…
「その能力を目にするの、楽しみにしてますよ」
ニッコリ笑う。
…気のせいか。
「ええ、見えたときは教えますね」
一度あなたの予知を見たことがあります、とは言わなかった。
黒いノートに、ヒトの名前をひたすら書いてる予知なんてー