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夜神さんが入院してしばらく。
私はお見舞いに行くこともできずヤキモキしていたが、他の方の話によるとそこそこ顔色もいいらしい。
私達は以前行方不明になっていたミソラナオミについて話していた。
彼女は相変わらず行方が分からず情報が掴めていなかった。
私はチラリと時計を見る。
もうすぐ18時。そろそろLが上がってください、と言ってくる頃だ。
私は周辺の片付けを始めていた。
するとそこへ、珍しく慌てた様子のワタリさんが部屋に入ってきた。
入ってくる時は必ずノックをする紳士が、それすらしなかった。
「竜崎!」
その様子に竜崎もすぐに反応する。
「どうした」
「さくらテレビを…大変なことに」
その言葉をきいて、みなが一斉にテレビに注目した。ワタリさんがすぐにつける。
「つまり私達はキラの人質であると共に、報道人の使命を受けこの報道をするものであり、
決して嘘や興味本位でこのテープを放映するものではないという事をご理解ください」
キャスターが話している。
なんだ、これは?口々にみんなが呟く。
「四日前、当番組ディレクターに送られてきた4本のテープそれは間違いなくキラから送られてきたものでした。一本目のテープには先日逮捕された、町葉青一・青次両容疑者の死亡日時予告が入っていました。そしてその予告通り昨日19時にこの二人が心臓麻痺で亡くなったのです。こんなことはキラにしかできない。これはキラから送られてきた物だと私達は判断しました。」
キャスターの声。
「ヤラセじゃないのか?」
「いくらなんでもこんな悪質なヤラセは…」
戸惑い、誰も一歩も動けない。
竜崎はテレビの前に椅子を移動し、食い入るように見ていた。
「では5時59分です。ご覧ください。」
キャスターの声が響終えた瞬間、
KIRA、とのみ書かれた画面に切り替わる。そして変成器を使用した独特の声が響いた。
「私はキラです」
息を飲む。
なに?何が起こっているの?
「このビデオが4月18日午後5時59分ちょうどに流されれば、今は午後5時59分38、39、40秒。チャンネルを太陽テレビに替えてください。メインキャスターの日々間数彦氏が6時ちょうどに心臓麻痺で死にます。」
きくやいなや、竜崎が替えて!と叫ぶ。
チャンネルが変わった瞬間、私は小さく悲鳴を上げた。
そこにはすでに亡くなっているキャスターが映し出されていた。
「…チャンネルを戻してください。ワタリ、テレビをここへもう一台…いや二台」
なおもキラは続ける。
「日々間氏はキラを悪だと主張し、報道し続けてきました。その報いです。
一人では証明になりません。もう一人犠牲になってもらいます。
ターゲットは同じく今生出演の予定にある私を否定してきたコメンテイター………」
「チャンネル24に!」
なおも叫ぶ竜崎。かえられたチャンネルではやはり男性が事切れていた。
竜崎は怒りを押し殺すように親指を噛んだ。
「…………キラが世界の人々に向けメッセージを流すと言っていたな…。この放送、止めさせないとまずい事になる!」
その言葉にはっとした皆さんが一気に動き始める。
電話を手に松田さんや相沢さんが動く。しかしすぐに悔しそうに叫んだ。
「だ…駄目だ!局のどこにかけても電話中…」
「局内の知り合いの携帯は電源が入ってない!」
苛立ちが抑えらない。
背後では、キラの言葉が続いている。
「皆さんよく聞いてください。私は罪のない人を殺したくはありません。悪を憎み、正義を愛します。
警察も私の敵ではなく、味方だと考えています」
宇生田さんが声を上げた。
「俺が直接局に行って止めさせてやる!」
ばっと走り出す。制止する松田さんのことも聞かない。
その瞬間、私の目の前に映像が降りてきた。
こ、れは…
はっと、振り返る。
宇生田さんはもう部屋を出るところだ。
「だめ!宇生田さん、行かないで!!」
私が叫ぶも、同時に部屋の扉が閉まる音がした。
私は走り出す。
見えた。間違いなかった。
宇生田さんが、死ぬ
私は部屋を出ようと扉に手を掛けた。
その瞬間、私の手を誰かが掴んだ。
相沢さんだった。
「ゆづきさん、どうしたんだ!」
「相沢さん…!予知が来ました、宇生田さんが死んでしまう!!」
はっと彼の表情が引きつる。
背後で息を飲む音が聞こえた気がした。
「〜すぐに連絡する!」
相沢さんは電話を取り出す。
ワタリさんが用意したもう一台のテレビに、さくらテレビを中継している様子がうつる。
イライラしたように相沢さんが電話を掛けるが、相手が電話に出る様子がない。
お願い、お願い、間に合って!
やがてテレビに、さくらTV前でガラスを叩く宇生田さんが映り出される。
ここを開けろ!と叫んでる。
「だ…め…」
この映像は
この背景は
このままでは
あなたはーーー
強行突破しようと拳銃を取り出した宇生田さん。
しかし、その動作が止まる。
左胸を苦しそうに掴む。そして、
体がゆっくり
床に打ち付けられた
『うん、美味しい。ゆづきさん、いつも美味しいものありがとうございます』
いつだったか、私のお菓子を食べながら笑顔で言ってくれた顔が浮かぶ
「宇生田!!!」
相沢さんが叫んだ。
私は声もあげられず、その場でへたりこむ。
間に合わなかった。
あと5分、いや1分でも早く予知が見えてたら、
彼は死ななかったのに
「くそ…キラか!?」
走り出す相沢さん。
「相沢さん駄目ですよどこに行く気ですか?」
竜崎の声が響く。
「宇生田の所に決まってるだろ!そしてビデオもオレが回収してくる」
「今あそこに行くと殺されますよ」
相沢さんは怒りに体を震わせる。
「り…竜崎…!ここで黙ってテレビを見てろっ言うのか!?」
「冷静になってくださいと言ってるんです。
私だってあのビデオの放映は止めたい。
それにビデオを送ってきたままの形で全部押収できれば、そこからキラの手掛かりをつかめる可能性も高い…」
キラは未だ放送を続けている。
「しかし、宇生田さんがキラにやられたのだとしたら
あそこに行けば同じ目に遭います」
「つまり偽造の警察手帳も役に立たなかった!!
俺達の名前はキラにバレてるって事じゃないのか!?」
「あるいはそうかもしれません。
しかしそれだとキラは捜査の人間を全員殺しておいて動く方が楽なはず…………
『キラは殺人に顔と名前が必要』というのが私の推理でしたが、これを観ている限り『顔だけでも殺せる』可能性も0ではないとしか…。今の時点で確実に言えるのは…」
竜崎は親指を強く噛む。
「宇生田さんはあそこに行ったからやられたという事です。他局にさくらTV前が映される前にです。」
テレビにうつる、横たわる宇生田さん。
私は涙を流しながら、ぼやける目でそれを眺めていた。
「つまりキラはあのテレビ局内、もしくは局に入る者を監視できる所に居るという事になります。
自分でどこかに監視カメラを付けているのかもしれません」
「キラがあの周辺に居ると思うなら余計行くべきじゃないか!!」
「のこのこ出て行けば殺されると言ってるんです。わかってください」
相沢さんは歯を食いしばる。
「わからねーよ…」
相沢さんは竜崎の肩を両手で力強く掴み、叫んだ。
「宇生田は殺されたかもしれないんだぞ!あんただってキラ逮捕に命懸けてんだろ!?」
「い…命を懸ける事と命をやすやす奪われる可能性がある事をするのは正反対の事です」
相沢さんは押し黙る。
…なぜ、こんなことに。
松田さんはどうしていいか分からないというように戸惑っている。
どうすればいいのかー
その時だった。
大きな音を立てて、さくらTVに車が突入したのだった。
唖然とする私達。
テレビからキャスターの驚いた声が入る。
「と…突入です!!さくらTVに車が突入しました!!
警察車両の様です!護送車でしょうか…!」
竜崎は親指を口元に置いたまま言う。
「あれなら外からは姿を見られずにテレビ局内に入れますね…
しかし宇生田さんがキラにやられたのだとしたら、キラが局内から見ていた可能性も高い。危険な賭けかも…」
「そ、それより誰が?我々の味方なのか?」
中の人は見えない。
少しして車から一人の男性と思わしき人が降りてきたが、上着を被って顔を隠している。
やはり誰かはわからないままだ。
私達はただそれを茫然と見ることしか出来ない。
そこへ更に、一台のパトカーがやってきた。
松田さんが呟く。
「我々だけじゃない…。まだ警察の中にも立ち上がる者はいるんだ…」
そう、この事態を重く受け止めて腰を上げてくれた警官が他にもいる。
それはこの少人数で闘ってきた私たちには、それがたった一つの希望に思えた。
「相沢さん、北村次長の携帯番号知ってましたよね?」
「あ、はい」
「電話して繋がったら私にください」
Lはそう言って画面を注視する。
相沢さんは電話を取り出し操作する。
「竜崎、繋がりました」
「ありがとうございます…」
Lは電話を受け取り、Lだと名乗りなにかを話し始めた。
その時画面では、パトカーから降りてきた警官二人が胸を押さえて倒れ込む場面が流れた。
これも、キラの仕業か…
私は口に手を押し当てて、なんとか叫ばないようにするのに必死だった。
目の前で、こうも簡単に、
人が…
子供の頃に見た 父が車に轢かれる瞬間がフラッシュバックする