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夢小説設定
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「あ、ゆづきさん、お願いします」
模木さんが言う。私が来たのを見て、くるりとモニターから背を向けた。
「はい、変わりますね」
私は二人に変わり、ソファに座りモニターを眺める。
うーん、いい気はしない。当然だが。心が痛む。
だが、ここで目を離しては、監視してる意味がなくなる。私はしっかりと画面を見つめた。
こちらに背を向けたまま、相沢さんたちは伸びをして話しかけてくる。
「局長たちのところ行きました?」
「ええ、差し入れを入れに…ちょっとギスギスしてて、いたたまれなかったです」
「そうか…いや、そうなっても仕方ない」
ふうと、相沢さんがため息をつく。
ふと思い出したように、相沢さんが言った。
「今もしゆづきさんが予知を見るとしたら、俺たち二人の予知って事になるのか?」
「ああ…そうですね。今のところ何も見えませんが…」
捜査員の方々と一緒に仕事をするようになってから、私は中々予知を見れていなかった。さっき見えた竜崎の予知が久々に見えた映像になる。
彼らはまだ、私の力に疑心暗鬼かもしれない。普通、こういう力はそうすぐには受け入れられないものだ。
「生まれた時から、あるのか?」
模木さんが恐る恐る尋ねてくる。
私はモニターを見つめたまま答える。
「いえ…5歳の頃、父が目の前で車に轢かれたのを見た後、気づいたら身についてました」
二人が息を飲むのがわかる。
「…すまない、辛いことを…」
「全然構いませんよ。もう昔の話です。」
私はそっと微笑んで答える。
「母と二人で慎ましく生きてきましたが…そんな母も、半年前に病に倒れて、私は一人になったところ、竜崎と出会いました」
「…そうだったのか」
「あ、ごめんなさい、暗い話ばかり。」
「いや」
「まだ二人の予知は何も見えません。見えても、どうでもいいことだったりするの多いんです…私が最初に見た竜崎の予知なんて、次の日何のお菓子を食べ尽くすか、なんてことでしたよ」
二人が小さく笑ってくれる。
「あ…さっき久しぶりに未来を見ましたが…ちょっと意味不明なものでした」
「意味不明とは?」
相沢さんが興味ありそうな声で聞いてくる。
私は腕を組んで考える。
「竜崎が…沢山の若い子たちに混じり、テストのようなもの?を受けてるんです…なんだと思います?これ」
「「なんだ、それは?」」
模木さんと相沢さん二人の声が重なる。
だよねえ。その反応が正しい。
「まだ竜崎には言ってないんですけどね…まあ、緊急性のあるものじゃなさそうだから」
「竜崎は突拍子もないことを思いついたりするからな。何かあるのかもしれない」
模木さんが考えながら言った。
「あ、入浴終わりました」
「ありがとう。変わろう」
私は立ち上がり、二人が入れ替わりにまたソファに腰掛ける。
しかし、長時間ずっと監視してるというのも辛いだろうなぁ…
「何か飲み物や食べ物はいかがですか?」
「コーヒーをお願いできるかな」
「俺も」
「わかりました」
私は二人のコーヒーを入れに、またキッチンは向かったのだった。
夜。
夕食として夜神さんや竜崎に差し入れをしている時。
ワタリさんが来て、告げた。
「先ほど今日9時のニュースで初めて報道された、横領容疑の銀行員が取り調べ中、ひったくり犯が留置場で
二人共心臓麻痺で亡くなりました」
「キラだ!!」
夜神さんがばっと振り向く。
「北村家では、次長の奥さんと長女がそのニュースを見ています」
「……………」
「夜神さん宅はその時間、奥さんと娘さんはドラマを見ていた。ドラマが終わるとテレビを消し、その後は一切見ていない。息子さんは7時半過ぎから11時現在まで勉強しかしていない…」
モニターには、ただひたすら机に向かい勉強をする月くんが映っていた。怪しい動きは何もないように見える。
竜崎は考えるように言う。
「両家共、テレビを受信できる携帯を持っている者はいない。携帯やパソコンでのメール等のやりとりすらしていない…
キラは殺人に顔と名前が必要。そのニュースを見てなかった者はキラではない…か…」
それを聞き、夜神さんの顔がみるみる笑顔になる。
そして嬉しそうに言った。
「うちの家族はこれで潔白ですね!」
しかし、竜崎はうんとは言わなかった。
考えるように少し間を置いた後、言う。
「今日のキラはずいぶん罪の軽い者を報道されてすぐに殺しましたね…」
ぐっと、夜神さんが押し黙る。
「そしてカメラを付けて初日だというのに、夜神家は面白いほどすんなり白だ…」
言われてみれば、出来過ぎのような気もする。
夜神さんは反論することもなく、押し黙ったままだ。
喜ぶはずのニュースが、そうでもなくなったか。
しかし、見ている限り彼をキラと決定づける行動は何もない。
竜崎はただひたすら、勉強をする月くんを見つめていた。