青葉城西 練習試合
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ちょくちょく問題を起こしながらも烏野は選手一人一人が自分に出来ることをした結果、第2セットを取ることができた。ベンチに戻って来た選手にドリンクとタオルを渡す。飛雄君と月島君には軽いチョップ付きで。
「全く、君らいい加減にしろよ。喧嘩してて自滅とか洒落になんないからな」
私がそう言えば不服そうにしているも、反省はしているようだった。すると大地先輩と孝支先輩が「青城に影山みたいなサーブ打つ奴がいなくて良かったな」と話していて、龍と日向君が「逆転勝利!ショーリ!」と二人で言っていた。
「油断ダメです」
「?」
イケイケムードな空気に飛雄君の言葉が響いた。それは私も同感だ。私はここの体育館に入ってから、あの人がここに居ないことがずっと気になってた。別に好きとかそういうのではない、決して。あんな性格悪い人はこちらからお断りだ。
「向こうのセッター…多分正セッターじゃないです」
「えっ!?」
「私も飛雄君と同意見です。本当なら人間の中で最も最悪の性格の持ち主が正セッター…」
そう喋っている最中に体育館に女の子の大きな悲鳴とある人物の名前がが響いた。その瞬間、私はただ落胆するしかない。悲鳴というのは怖いものに向ける物じゃなくて、芸能人等に向ける所謂語尾に〝ハート〟がつく黄色い奴だ。みんなそっちに視線を向ける。
「ああ…最悪だ…」
「蜜景さん…ドンマイです…」
「ありがとう…飛雄君…」
「影山くん、緋蜂さん。あの優男誰ですか。僕とても不愉快です」
私と飛雄君の会話に周りは疑問符を頭に浮かべていたが、龍が私と飛雄君に女子の悲鳴と共に登場した所謂イケメソ人物のことを聞いてきた。龍、顔が怖いぞ。
「 ...〝及川先輩〟...超攻撃的セッターで攻撃もチームでトップクラスだ」
「あと凄く性格が...悪い」
私が二階でキャーキャー言っている女の子達に笑顔で手を振っている及川先輩について軽く説明すると飛雄君が重要な所を言ってくれたので「補足ありがとう」と伝える。
「お前が言うほどに!?」
「月島君以上だよ、な?飛雄君」
「はい」
私の言葉に頷く飛雄君は返事をすると、龍が「それはひどいな!」と声を上げた。そうでしょうとも。私も初めて月島君と話した時に思ったよ。この子もなかなか性格悪いけど及川先輩と比べたら断然マシだって。「だから、月島君の方がまだ可愛気があるよ」と本人の月島君に言うと、彼は少し嫌そうな顔をして「嬉しくないです」と言う。私はそれを聞いてそれもそうかと口にした。
「…俺…サーブとブロックはあの人見て覚えました。あと蜜景さんにも教えてもらいましたが」
「!…」
飛雄君がそう言った瞬間、日向君の顔が怯えた顔になっていた。多分あの子、及川先輩のこと「殺人サーブの師匠!?」とか思ったんだろうな。
「実力は相当です」
「やっほー、飛雄ちゃん〜。育ったね〜。元気に王様やって...……ああああああっ!!!」
「!?」
一人、思いふけていると飛雄君に話しかけている及川先輩が急に叫んだ。何事かと思い及川先輩を見ると私の方を見ていた。え、何ですか。
「蜜景、ちゃん?...」
「......はい」
「何でっ...何で髪切っちゃったのぉおおっ!!?」
「.........、は?」
この人のせいで間抜けな声が出てしまった。なんで今、その話になるんだ。本当に面倒くさいな、この人。騒いでいる及川先輩に呆れながらどうしようかと悩んでいると一先輩が及川先輩を「クソ及川!!後輩に絡んでないで早くアップして来い!!」と言いながら引っ張って行ってくれた。ありがたい。彼は中学の時から私にやたら絡んでくる及川先輩を止めてくれる唯一の先輩である。本当に感謝します、一先輩。
「とりあえず…龍、威嚇やめろ。気持ちは分かるが」
試合に集中しようとしている飛雄君と日向君は大丈夫だろうから置いておき、問題は龍だ。こいつ、いつまで威嚇するつもりだ。
次のセットも始まり、烏野は順調に点を重ねていくが、青城もまだ食いついて来ている。あの人が出てくるまでにセット獲ればラッキー。だが、そう上手く行くものでもなく24-20の烏野マッチポイントで青城はピンチサーバーで及川先輩を送って来た。
「いくら攻撃力が高くてもさ……その攻撃まで繋げなきゃ意味ないんだよ?」
彼はそう言うと月島君を指差してボールを高く上げ、強烈なジャンプサーブを打って来た。そのボールは月島君の方に向かっていく。及川先輩の打ったサーブは月島君の腕に当たるも弾いて二階観覧通路の柵に飛んで行った。
「…やっぱり、月島君狙いだった」
あの短時間で月島君がレシーブ苦手なことを見抜くとは、及川先輩はやっぱり侮れない。あ、月島君がレシーブ苦手なことがバレてるなら、多分、日向君がレシーブ苦手なこともバレてる。及川先輩はまた同じ様に月島君に向かってジャンプサーブを打ってくる。それはまた月島君の腕を弾き後方に飛んで行った。及川先輩は本当にエグいサーブを打ってくる。その時、ある人物の姿を思い出した。いない人間のことを言ってもしょうがないけど、あいつが居てくれたらあのサーブもとってくれるのにな。と思ってしまった。
「ネットの〝こっちっ側〟に居る全員!もれなく〝味方〟なんだぞ!!」
考え事をしていたけど、日向君の大きな声で現実に引き戻された。何のことだと見ていたが、多方、月島君が日向君に何か言ったんだろう。ただ日向君が言った今のセリフはどこかできいたことあるなと思ったら先程、1セット目が終わった直ぐに龍が日向君に言っていたセリフだった。そのセリフを日向君が言ってくれて龍は一人「なんてすばらしい名言!!」と感動している。それ言わなかったらかっこよかったけどな。
「…よし、全体的に後ろに下がれ。月島は少しサイドラインに寄れ」
「ハイ」
大地先輩の指示で月島君はサイドライン際に寄る。レシーブの上手い大地先輩が守備範囲を広げるという事だ。これなら捕れる可能性も上がるだろう。けど、簡単に上手くいくとは思わない。
「……でもさ一人で全部は、守れないよ!!」
そう言って及川先輩のサーブはまた月島君に飛んで行った。けど、コントロール重視の分、威力はさっきより弱い。横で山口君の悲鳴が聞こえる。君は落ち着いて見れないのか。と、思っていると月島君が及川先輩のサーブを上げることができていた。だが、そのボールは青城側に入る。向こうのチャンスボールだ。
「ホラ、おいしいおいしいチャンスボールだ。きっちり決めろよ、お前ら」
及川先輩のレシーブから5番のセッターにボールが上がる。こっちは今、高さのないローテーション。非常にまずい状態だ。5番のセッターがトスを上げた先は金田一だった。完全にブロックを振り切っている金田一。だけど、烏野には一人忘れてはいけない奴がいるのを私は忘れていた。
「日向君!!」
「よしっ」
「ナイスワンタッチ日向!!」
日向君はいつの間にか金田一に追い付き、腕を伸ばして跳んで、ボールに触れていた。勢いが死んだボールは大地先輩がレシーブし、そのボールの行く先はセッターの飛雄君。そして飛雄君があげたボールはいち早く逆サイドに走って行った日向君の手に当たり青城側のコートに打ち落とされた。これで試合終了。セットカウント2-1で烏野が勝った。
ただ、驚きが隠せないのが先程のプレー。3対3の練習試合で日向君と飛雄君の速攻はちゃんと目に焼き付けてる。でも、今のブロックから速攻の流れには言葉を失う。あれはわかってても止められない。武田先生も腰を抜かして「すんごい」という感想を出していた。本当に今年はとんでもない子達が入って来たな。これからの成長が楽しみでそんなことを考えていると選手たちが武田先生の元に集まって来た。
「お願いしアース!!」
「!?」
「先生、なんか講評とか」
「あっ、そっそうか!」
周りに集まってきた選手たちに戸惑っていた武田先生は孝支先輩にそう言われポツポツと言葉を紡いだ。
「えーと…僕はまだバレーボールに関して素人だけど…なにか、なにか凄いことが起こってるんだってことはわかったよ」
武田先生の言葉を聞いて大地先輩と孝支先輩は不思議そうに顔を見合わせた。
「…新年度になって…凄い一年生が入ってきて…でも一筋縄ではいかなくて……だけど。澤村君がそんな風に言っててその時はよくわからなかったけど、今日わかった気がする。バラバラだったらなんてことない一人と、一人が出会うことで化学変化を起こす」
「!…」
「今この瞬間もどこかで世界を変えるような出会いが生まれていて、それは遠い遠い国のどこかかもしれない。地球の反対側かもしれない。もしかしたら…東の小さな島の北の片田舎の、ごく普通の高校のごく普通のバレーボール部かもしれない。そんな出会いがここで…烏野であったんだと、思った」
私は武田先生のその言葉に酷く同感する。私もそうなのだ。今まで出会ってきた人達と関わって今の自分がある。確かに啀み合って、互いによく思わなかった人もいる。でもその人達の出会いも全て含めて自分に化学変化が起こっていたんだと思った。
「大袈裟とかオメデタイとか言われるかもしれない。でも信じないよりはずっといい。根拠なんてないけどきっと、これから、君らは強く、強くなるんだな」
全て話し終わった武田先生だけど、飛雄君や日向君たちの様子を見る限り、内容の半分も理解していないだろう。でも武田先生の言葉は私にはわかった。言いたいことも含めて。
「!!はっ、ごめんっ!ちょっとポエミーだった!?引いた!?」
「いやいやいや!そんなことないです!あざす!!」
「アザース!!」
大地先輩がもう一度集合をかけ、先生から離れて行く時、武田先生は選手たちの姿を見ていた。きっと、先生の想いはみんなに届いてる。先生の姿も含めて私も頑張らないと、そう思った。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
青葉城西との試合も無事に勝利で終わり、私は片付けを終わらせて体育館の廊下を歩いていた。すると、らっきょうの大きな声が聞こえてきた。あのらっきょう、うるせえなと思いながら声のした方を見るとそこには飛雄君も居た。行儀が悪いと自分でも思ったが、この空気を壊して二人の前に現れる方がまずい。だから私は死角に隠れてそのまま二人の会話を聞くことにした。
「お前は俺ん中ではこれからも横暴な王様でムカつく奴で最高にぶっ倒したい相手だ!」
「…おう」
「だから謝んな!」
「おう」
「〝ナカナオリ〟なんかしねえ!別に元々仲良くねえしな!」
「おう」
「そんで次は絶対に俺達が勝つ!!」
「……………次も」
「♪フンフンフ〜ン♪」
「!?」
「フンフフ〜ン♪」
飛雄君が話を始めようとした時、誰かの歌う声が私の後方から聞こえて来た。振り返って確認するとそれは日向君だった。
「べんべんじょべーんべんじょべーんおれはっだぁれ〜エースッになる男〜。あ!緋蜂せんぱっふぐっ!!」
私は急いで日向君を捕まえて口を抑えた。全くナイスタイミングすぎるだろ君は。頼むからちょっと黙ってような。という意味も込めて、空いている方の手で人差し指を自分の口に当ててしーっというポーズを日向君にして見せる。日向君は何度も頷いたのでとりあえず離してあげた。てか今、日向君が私の名前出したからあの子ら私がいる事もバレてるじゃないかよ。まあ、いいか。
「…………金田一」
「?」
「次、戦う時も勝つのは〝俺達〟だ」
「!」
やっぱりみんな成長するんだ。あの飛雄君が〝俺〟じゃなくて〝俺達〟と言った。これは大きな成長だ。武田先生の言う通りだ。みんなこれからもっと、もっと強くなる。
「あと、蜜景さんはお前らが思ってるみたいな人じゃないぞ」
「!!」
「んなの、知ってる…」
飛雄君の言葉にも金田一の言葉にも私は驚きを隠せなかった。飛雄君の言葉に驚いたのは何で私の話を出したのかということ。そして金田一の言葉は当然、金田一の口からそんなことを聞けるとは思っていなかったからだ。
「俺達はお前が羨ましかった…。常に壁を作ってるあの人にお前は関係なしに話しかけて、いつの間にか仲良くなってて…俺達だってあの人に練習見てもらいたかったよ!」
なんだよそれ。それしか出てこなかった。私は金田一の言葉を聞いていられなくなり、日向君にここでいるように言い、構わず二人の前に出た。二人は私の名前を口にし、驚いていた。飛雄君はいい。問題はらっきょうだ。
「ふざけんなよ、このらっきょう」
「!」
「お前は餓鬼か。ああ?仲良くなりたいなら、練習見て欲しかったなら…普通に!堂々と!ボクにそう言えばいいだろ!!」
なんで、それが出来ないんだよ。こいつの口から出ること全部、ただの言い訳にしか聞こえない。しかも、これじゃ飛雄君が悪いみたいな言い方じゃないか。
「蜜景さん…」
「金田一。ボクも謝らないし、お前も謝らなくていい。ボクを悪く言うのは構わない。ボクは元々性格が悪いからな。けど、飛雄君の悪口を言ったお前たちはボクは絶対に許さない。」
そう言い残して私はその場から離れた。なんだよそれ。何なんだよ。意味わからん。クソらっきょうが。飛雄君の所為みたいな言い方しやがって。
「蜜景さん!!」
「ん?…」
そう呟くと飛雄君が後ろから私を呼んだ。あ、飛雄君も置いてきたんだ私。飛雄君を忘れる程、怒ってたのか。
「大丈夫ですか…」
「?」
大丈夫?何が?と言う意味を込めて首をかしげると、飛雄君は私に手を伸ばし、私の頬を手で触れた。
「泣いてたみたいでしたので…」
「え?」
そう言われてみればなんか頬が冷たい。自分の手で触って気がついた。うわ、私泣いてたのか。くそ恥ずかしい。
「蜜景さんは…金田一たちのこと…」
「嫌いだよ」
「…」
「君の事を悪く言った。だから絶対に許さない。」
「蜜景さん…」
「蜜景ー!!影山ー!!」
先輩たちに呼ばれて、私は返事をすると、「……まぁ、根は悪い奴らじゃないのもわかってるんだけどな」と呟いた。すると飛雄君は一瞬驚いたような顔になり、いつもの顔に戻ると「そうっスか」と言った。
ーーーーーーーーーーーーーーー
青城の体育館の外で両校挨拶を済まして、武田先生と私と潔子先輩は先にバスの方に向かった。その時にそう言えば日向君はちゃんとトイレに行って先輩達のところに戻れたのだろうかと思い出す。帰る準備をしながらまあ、その時はその時かと思いながら、選手たちが来るのを待つ。待つだけなんだけだがなかなか来ない。武田先生に大地先輩たちを呼んできて欲しいと言われ、私は校門の方へ足を進めた。嫌なことが起きる前に早くここを出たかった私は急いで大地先輩たちを呼びに来た。が、嫌なことが起きてしまった。
「やっほー、蜜景ちゃん!及川さん、蜜景ちゃんに会いに来たんだー!」
そう、一番恐れていた人物が向こうから歩いてくるじゃないか。だがその向こうには大地先輩たちもいる。よかった。見つけた。
「俺、早く蜜景ちゃんに会いたくて会いたくて…」
「大地先輩、武田先生がバスの方で待ってます。急いで行きましょう」
「お、おお…わかった」
とりあえず何も見なかったことにして及川先輩の横を通り過ぎてみんながいる前まで足を進めた。この人と絡むのなんて面倒くさい。話すだけ時間と労力の無駄。だがこの人は「ちょっとー!!なんで無視すんのー!?蜜景ちゃんの大好きな及川さんだよー!?」とか後ろで騒いでいる。
「………チッ」
「あ!今、舌打ちしたー!蜜景ちゃん酷い!!」
本当に面倒臭い人だ。これだからこの人には会いたくない。いつも訳のわからない言葉を発しながら私に絡んでくる。
「中学の時は俺のこと〝徹先輩!〟って呼んでくれてたのに!!」
「〝及川先輩〟としか呼んだことないです。」
一先輩は中学の時から〝一先輩〟って呼んでましたけど。と言えば及川先輩は「なんで岩ちゃんは下の名前で呼んでるのに俺は下の名前で呼んでくれないのっ!?」と言いはじめた。
「一先輩の方が先輩らしいからです。」
「なんで!?及川さんだって先輩らしいじゃん!!」
「そういうところが先輩らしくないんです。」
そう言えば及川先輩はつまらなさそうな顔になる。だが、何を思ったのか直ぐに機嫌のよさそうな顔になり、急に口を開いた。
「でも、まさか蜜景ちゃんがまだマネージャー続けてくれてるなんてね。俺はてっきり中学でやめると思ったんだけどなあ」
「……」
「まあ、続けて当たり前か。俺が教えてあげたもんね。そうやっていれば逃げたことにはならない、ってサ」
「え?…」
及川先輩の発言でみんな何のことだと分かっていない。当然だ。みんなには怪我したから私がマネージャーしてるとしか教えてないから。ニヤニヤと笑いながら私を見るこの人を睨む。ああ、ムカつく顔をしている、殴ってやりたい。
「………やっぱり、ボクはあんたが大嫌いだ…」
「ははは!俺は蜜景ちゃん好きだよ。あと…言葉使い、戻っちゃってるよ?」
「!!」
及川先輩は「それじゃぁ、インハイ予選楽しみにしてるよ?精々、頑張ってねー」っと言いながら去っていった。本当に腹の立つ人だ。あの人は私を怒らせるのが得意らしい。そして私の反応を見て楽しんでる。やっぱり最低の男だ。
「蜜景さん…」
「…ふぅ……大丈夫だよ」
てか危ない。他校と問題起こすなよって飛雄君たちに言ったのに自分が問題起こしそうになってしまった。とりあえず見苦しいところを見せたことには変わりないから先輩たちに謝っておいた。
「…き、気にしないで下さい。あの人、ああやって人を引っかき回すのが好きなだけなんです」
「ホントにいい性格してるよな、あの人」
飛雄君の言った言葉のあとに続いて私も喋る。人を引っかき回すのが好きなだけとかどんな趣味してるんだよ。やっぱりあの人と同じ学校じゃなくてよかった。
「ふふっ…」
「!?」
「主将!?」
「大地さん!?」
突然の大地先輩が不気味な笑いをし始めるものだからみんなびくっと肩を震わせ、驚く。え、大地先輩どうしたの。ちょっと怖いんですけど。
「…確かにインターハイ予選まで時間は無い………けど、そろそろ戻ってくる頃なんだ」
「あっ」
大地先輩の戻つてくる頃と言う言葉に私と龍が声を漏らした。日向君は疑問符を浮かべて何がですか?と言っている。そうだ、もうあいつが帰ってくるんだ。
「烏野の〝守護神〟」
「しゅ…守護神…!?」