青葉城西 練習試合
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「―で、練習試合のポジションだけど―…コレでいこうと思う」
次の日、練習を開始する前に大地先輩は次の練習試合のポジションを部員に見せる。ポジションはS(セッター):飛雄君、MB(ミドルブロッカー):日向君、月島君、WS(ウィングスパイカー):大地先輩、龍、力。 一瞬、みんな動揺していた。まあ、動揺して当然だろうな。
「影山と日向はセットで使いたいし…月島は烏野では数少ない長身選手だ。青城相手にどのくらい戦えるのか見たい」
「はぁ〜い」
大地先輩に〝セットで〟と一括りにされて嫌そうに顔を見合わせる飛雄君と日向君。軽く返事をする月島君。そして一年生で一人だけスタメンから外れたことに落ち込んでいる山口君。
「ていうかデカさが重要なポジションに日向スか!?」
「MBってノッポヤロー月島と同じポジション!?」
ノッポヤローって酷い事言うな日向君。いや、月島君の方が酷いのか。そう思っていると武田先生は「ポジションのおさらいしていい!?」と言ってバレーボールの本を開く。
「S(セッター)、スパイクの為のトスを上げ攻撃を組み立てる司令塔。WS(ウィングスパイカー)、攻撃の中核を担う攻守のバランスがとれたオールラウンダー。MB(ミドルブロッカー)ブロックで相手の攻撃を阻み主に速攻で得点。更に囮として敵のブロックを引きつける。…こんな感じでOK?」
「他にも守備専門とかもあるんですが今回はそれでOKですよ。てか、完璧です」
私が先生にそう言えば先生は少し照れたように笑った。武田先生ホントにいい先生だ。練習試合とかの話も頑張ってつけてくれてるし。すると飛雄君が日向君に向かって指をさし「お前は最強の囮だ!!」と言った。日向君も一瞬、感激して「おおお!?」と声を漏らしたが段々その言葉の意味を理解したのか「なんかパッとしねえぇ…」と体育館の床に膝をつき項垂れた。
「そうか?わかりやすいだろ」
私がそう言えば日向君は顔を上げて私の顔を見て首をかしげた。あ、この子。言ってる意味わかってないな。
「だから、君に速攻決めてもらって、相手の注意を君に集める。で、君にマークがつけば他のスパイカーたちが活きて来る…で、あってるな?飛雄君」
「はい。月島みたいなデカい奴が何人も、お前の動きにアホみたいに引っ掛かったら、気持ちイイだろ!」
「うおおおおっ!!!いい!ソレいい!!!」
飛雄君との説明のお陰で日向君は元気にはしゃぎ始めた。すると山口君は「オイ!アホってツッキーの事じゃないだろうな!」と二人に突っかかり始め、月島君は山口君に「黙れよ山口…」と言い、山口君は「ゴメンツッキー!」と月島君に謝る。1年生は微笑ましいなぁと思いながら、ただ一つだけ心配な事があった。
「……………逆に…、お前が機能しなきゃ他の攻撃も総崩れになると思え」
「!!?」
はい、飛雄君が一言一句間違いなく言ってくれました。日向君は飛雄君の言葉に驚いて固まったが、それは飛雄君に同意する。今の烏野は日向君の囮でうまく回る。日向君が使えなくなったら烏野の終わりということだ。すると大地先輩が飛雄君に「ちょっと!あんまりプレッシャーかけんなよ!」と言うが飛雄君はわかってない。
「大地先輩。既に遅いみたいですよ」
「え?」
大地先輩にそう言えば日向君は「総崩れ…そうくずれ…SOUKUZURE…」と顔を青くしてブツブツと呪文の様に呟いている。あーあ、こりゃダメだ。まさか、あれだけでここまでプレッシャー感じてくれるとはな。緋蜂さんびっくり。
「んでもよ、肝心なブロックはどーすんだよ?いくら高く跳べても元々デカい奴と比べたらジャンプのMAXに到達するまでの時間がかかるだろ。その分、ジャンプの完成が遅くなる」
「…ハイ。だから日向がブロックで重点を置くのは相手の攻撃をたたき落とすよりも〝触る〟こと」
「なるほど。日向君のバカみたいな反射速度を活かして敵の攻撃にとにかく触って勢いを弱め、確実に拾ってカウンターをしかけるんだな」
飛雄君の考えを理解し私は飛雄君の言葉に続けて、聞くと飛雄君は頷いてくれた。すると龍に「そんないきなりうまくいくか!」と言われる。
「いかないだろうな!少なくとも、最初は。うまくいくか確証は無いし、相手チームには馬鹿にされたりするかもなあ。でもやってみれば何かしらわかることがあるよ!〝練習〟試合なんだしさ!」
大地先輩のその言葉に私は感動し、「流石、我が部が誇る主将」と声を漏らした。大地は武田先生みたいに困りながら笑い「いやいや」と謙遜してから日向君に話を振った。
「……なにより空中戦で日向の高さに適うやつ、ウチのチームじゃ月島と影山くらいだ。だから日向、自信持って行、」
「ハイ! おれ! がんばります!!高校で初めて6人でやる試合だしっ!いっぱい点とって!囮もやって!」
「!?」
あ、これマジでやばいやつだ。日向君めちゃくちゃプレッシャー感じてる。何でこんなにプレッシャー感じてんのかと考えれば彼は6人全員で練習試合とか初めてだった。で、攻撃も日向君が機能しなきゃ他の攻撃も総崩れってのが一番効いてんだろうな。
「サーブも!ブロックも!クイックも!」
「ちょちょちょ落ち着け!」
「全部っ…」
大地先輩が落ち着かせようとするが結局、日向君はぼんっ!!という音と共に、容量オーバーでショートしてしまった。
「うわぁっ!?」
「ショートした!!日向がショートしたーっ!!」
「リアルでショートしてる子初めて見た」
「蜜景ちゃん!そんな悠長な事言ってる場合じゃないよ!!」