花吐き乙女
about you
主人公設定白鳥さんの部下(室長補佐)だったり
カップルだったり夫婦だったり……
作品によって変えます
完璧に見えてスポーツ苦手な傾向にあり
大体168cmぐらい
今のところ年齢や身長以外の見た目は指定なしです
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最近、花を吐くようになった。
朝、1度吐く。
白い洗面台に映える赤い花びら。
怖くなってネットで調べると、
片想いを拗らせると発症する「花吐き病」らしい。
片想い……相手は、1人しか思い浮かばなかった。
病院での目まぐるしい忙しさの中では、
花びらは口から出なかった。
その代わり、休憩や家に帰ると花びらを沢山吐く。
「どうしたの?黒鳥先生」
「……いえ、何でもありません」
花びらを吐きたい衝動に駆られながら、
何とか飲み込んで対応する。
貴方のせいでこんなことになったのよ、
なんて到底言えなかったし、好きとも言えない。
この病を治すには、両想いになるしかないのに。
いっそ、この人も感染してしまえばいいのに。
そうなれば、どんなに楽なんだろう。
ふらり、と倒れそうになる。
「ちょっと、大丈夫?」
「大丈夫、です」
「とりあえず、先生の部屋でいい?」
触れられた部分が熱くなる。
もういっそ、花びらを吐いた方が楽になれる。
気が付けば自室のソファの上で横になっていた。
「大丈夫?顔色悪いけど……」
手で口を抑えながら、何とか頷く。
我慢の限界かもしれない。
「……吐きそう?ビニール袋でも持ってこようか?」
また、白鳥さんが優しい言葉をかけると、
抑えきれなくなった花びらが零れ落ちた。
「……黒鳥先生、もしかして」
「触っちゃダメです、触ったら……感染します」
何とか白鳥さんを静止しながら、花びらを集める。
見られちゃった。
気持ち悪いとか思われてたりして。
こんなの、珍しくないのにいざ見ると怖いから。
「……黒鳥先生、僕さ」
私の手を取る白鳥さん。
「先生のこと、好きだよ。一生懸命頑張って、
闘って、1人でなんでも背負っちゃって。
だから、先生を傍で守りたいって思った」
さっきまで吐き出す量が多かった花びらが、
今はポロポロと落ちていくだけになった。
「僕と、付き合ってくれませんか」
そう言った白鳥さんの目は真剣だった。
YESの代わり、私は白鳥さんの頬にキスをした。
「……やった」
白鳥さんが小さく呟いた後、私は
再び、花を吐きたい衝動に襲われた。
「大丈夫だよ、吐いて」
白鳥さんは私の背中を優しく摩った。
抑えていた手を離すと、
「ほら、もう治ったでしょ」
白い百合が、落ちていた。
「……はい。私も好きです、白鳥さん!」
「恋人同士じゃ、名前で呼ばないとね?」
その一言で、今まで吐いていた
花びら色に頬が染まった。