魔法はいらないから
about you
主人公設定白鳥さんの部下(室長補佐)だったり
カップルだったり夫婦だったり……
作品によって変えます
完璧に見えてスポーツ苦手な傾向にあり
大体168cmぐらい
今のところ年齢や身長以外の見た目は指定なしです
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淡いブルーのパーティードレスを着た
私は、この場では浮いているんだろう。
なんでこんなところ来たのよ、私。
しかも上司と一緒なんて……
ため息を吐きながら、近くにあった席に座る。
室長と逸れるし……最悪。
「ため息をつくと幸せが逃げちゃいますよ」
「……え?」
「すみません。いきなり声を掛けてしまって。
貴方があまりにも綺麗だから……」
見た目も中身も、王子様って感じの人。
こんな人はモテるんだろうな。
私の上司もモテるっちゃモテるけど、
王子様タイプって感じじゃないし。
「綺麗だなんて、そんな……」
「否定しなくてもいいんですよ。事実ですから。今日は御一人ですか?……美人だから、
きっと恋人と来てるのかも」
「今日は、上司に連れられて……でも、
どこか行ってしまいました」
ホント、どこへ行ったんだあの人。
人が多くて、見つからない。
背が高いから見つけやすいと思うんだけど。
「酷いなぁ、可愛い部下を放って、
1人でどこか行ってしまうなんて」
「室長にとって、私は生意気な部下ですから」
「謙虚な方なんですね。そういう人は好きです」
社交辞令だ。
女性慣れしているが故の、社交辞令。
きっとそうだ。
変な意味なんてない。
「まるで……シンデレラみたいですね」
「いやいや、私はシンデレラじゃないですよ!」
「君の王子様になりたいな……なんて、
ちょっとカッコつけ過ぎですね」
ちょっと今、かっこいいな、なんて思った。
いや、いや、でも、言い慣れてるに決まってる。
「今から抜け出しませんか?こんなに人が
いるんですからバレないですよ」
「え……」
この手を取れば、私はどうなるんだろう。
幸せになれる?
何だか、魔法みたいだ。
幸せになれる可能性があって、でもリスクが高い。
「良いの?黒鳥はそれで」
「白鳥室長……?」
「はい、ストップストップ〜」
「どこ行ってたんですか」
「貴方、誰なんですか」
「僕?厚生労働省大臣官房秘書課付……」
長い肩書きを言いそうになっていたので、遮る。
「私の上司の、白鳥さんです」
「……僕と彼女に何の用ですか?」
「あのね、うちの黒鳥はシンデレラじゃないの」
そんなにハッキリ言わなくても……
でも、白鳥室長の言うことは事実。
私はシンデレラじゃない。
「だから……」
「だから、魔法も王子様もいりません」
「魔法……王子様……?」
「黒鳥の言う通り!彼女には僕がいれば
それだけでいいんだから、君は1人で抜けてね」
さっきまで話していた彼は、
諦めて別の場所へ移動した。
「白鳥室長、その……」
「お礼も謝罪もいらないからね、僕は」
「違います!……その、私には白鳥室長だけ
いればいいのは……間違ってないかも、ですね」
「当然でしょ」
魔法も王子もいらない。
「今から抜け出しちゃう?」
「冗談キツいですよ」
「黒鳥、好きだよ」
「……私も好きです」
今はただ、隣にいてほしい。
それだけでいいから。