ONE PIECE
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戻るときは体の負担はほとんどないに等しかった。
ただ流れてくる映像を見ているだけ。
今度は順番どおりに。
数日か数ヶ月かは分からないが家族が穏やかに過ごしているのが見られた。
しかし突如、屋敷が襲撃される。
前回見た民衆とは別に、見覚えがない傭兵や海賊の姿が見える。電伝虫を手に取り、誰かの指示を仰いでいるのが見て取れる。
火が放たれたがすでに用意していたのが功を奏し、家族が無事に脱出している。
逃亡後もいくつか用意していた拠点で穏やかな時間もあったようには見受けられた。
しかし毎回それは何か組織的なものに密告され、民衆が煽られ、その地を追われる。
奥方様は病院のベッドに横たわり、旦那様とドフィとロシーは泣き崩れている。
埋葬してしばらくすると資金が尽きたようで
ドフィとロシーが残飯を漁り、大人に殴られている。
また、あの場面だ。
目をそらすことは許されない。
高い城壁のようなところに磔にされているドフィとロシー、そして旦那様。
火が燃え盛り、遠くから多くの群集が罵声を浴びせ、矢を射掛けている。そして誰かが民衆を的確に煽っている。いったい何者なのか。
自分のものではない苦しみと悲しみ、そしてすさまじい怒りの感情が体の中を駆け巡る。
これは、これは、ドフィの。
[#dc=1#]は慟哭した。
守れなかった!守れなかった!
若様、コラさん、ごめんなさい、ごめんなさい。
再び目を開けたときには良く知っているベッドの上だった。
目の前には大きくなったドフィ、若様とやっぱり大きくなったロシー、コラさんがこちらを見つめていた。
2人と目が合った。
息を呑んでコラさんが足を滑らせ、ベッドに横たわる[#dc=1#]の上にぽすんと乗っかる。
若様は苦笑してコラさんの手を軽く引き戻す。
それから2人とも両側からゆっくりと[#dc=1#]を抱きしめた。
「おかえり」『おかえり』
[#dc=1#]が口にしたのはリグリグの実というものだった。
ひどく後悔をしたときに原因と思われる、または解決できる「人間」がいる時間と場所に飛ぶと言われている。
過去に飛んでも記憶は残る。
未来に飛ぶことも出来るようだが記録が残っていないのでわからない。
実際には体の負担が大きいので人を介した移動手段として使われることが多いようだ。
2人の腕の中で[#dc=1#]が叫ぶ。
「でも、でも私、みんなを助けられなかった!」
「それはお前のせいじゃねェ。」
ドフラミンゴは[#dc=1#]の流れる涙に唇を寄せて拭い取っていく。
それを見てロシナンテも反対側の目からこぼれる涙を舐め取っていった。
それはまるで獣の親子が傷を舐めて治しているようであった。
涙がある程度収まった頃、ドフラミンゴはようやく[#dc=1#]の頬から唇を離し、こう告げた。
「オレはあの時、お前が過去に飛ぶまでは父親がすべての原因だと思っていた。
本当に父親が原因だったら、お前が現れて父親を説得し、オレたちの意識を変えた時点であんなことは起きず、過去は完全に書き換わったはずだ。」
ロシナンテは涙が止まった後も[#dc=1#]の頬に口づけを繰り返していたがそれを聞いて目を見開いた。
[#dc=1#]も同じように目を見開き、そのまま2人ともじっとドフラミンゴを見つめている。
ドフラミンゴはそれを見て満足そうに頷き、話を続ける。
「俺が考えていたのは2つ。
①天竜人をやめない。
しかしこれは力があり、青海人からの人望も厚い父親を煙たく思っていた連中がいたことがわかっている。これは止めることはできなかっただろう。
もう1つは
②天竜人をやめて地上に降りても天竜人であったことを明かさない。
これは[#dc=1#]のおかげで実現した。
それでもあの惨劇は起きた。
なぜか。
お前も見ただろう。
裏で誰かが、糸を引いている。
これが分かっただけでも十分だ。」
[#dc=1#]はほんの少し、落ち着いた顔になり、そのまま崩れるように眠りに落ちた。
[#dc=1#]が完全に眠ったのを確認して、傍らのロシナンテに話を続ける。
「もう1つ、オレたち兄弟にとっては特に、もしかしたらロシーにとっては一番救われた部分かもしれないことがある。」
ロシナンテは曖昧に頷いた。
「オレは1度目は父親を殺した。
しかし2度目はオレたちを救うために父親が自殺した。
それでもマリージョアに戻れはしなかったが。」
ドフラミンゴは悔しそうに歯噛みする。
ロシナンテは無表情にそれを見つめている。
「[#dc=1#]は1度目も2度目も父親が死ぬところを見ていないようだ。
これからも見ることはないだろうし、オレたちが言うこともないだろう。もう、あの過去に飛ばすことはさせない。」
ロシナンテは力強く頷いた。
リグリグの実はドフラミンゴが闇取引で手に入れたものだが誰に食べさせるのかは決めかねていた。
過去の記憶からすれば[#dc=1#]が食べたであろうものがこの実であることは推測できた。
現時点で[#dc=1#]は悪魔の能力者ではなかったので今からこれを食べさせて、あの過去に繋がるのだろうと思われた。
しかし、ドフラミンゴは躊躇ったのだ。
この実であれば今後[#dc=1#]は人を思い浮かべさえすればいつでも何処にでも行ける。
それは不本意な状況で[#dc=1#]がさらわれたとしてもいつでもドフラミンゴの元に帰ってくるということでもあるが、同時にいつでも別の誰かのところに行ってしまえるということでもある。
[#dc=1#]を完全に閉じ込めることがもう出来ない。
ほかの誰かは言うまでもなく、過去の自分にさえも奪われるのはいやだった。
しかしあの時、部屋に戻ってリグリグの実をテーブルに置き、部屋に備え付けの水差しの水を飲んだ後、強烈な抗いがたい眠気に襲われた。悪夢に魘されていたオレに近づいた[#dc=1#]の気配に気付いたときには[#dc=1#]はリグリグの実を口にしていてオレを媒[#dc=1#]の部屋の水差しに?何のために?
しかし気付いたときには空になっていてもう調べることは出来ない。
ドフラミンゴは苛立ちを隠せなかった。
それにしてもこの能力がファミリーに、特にトレーボル辺りに知られれば限界まで利用されるだろう。
なんせ彼は付きっ切りで面倒を見ると言うことをしない代わりにドフラミンゴに何かあれば、たとえば道が悪くて転んだだけで、その道がある街ごとすべて焼き払った男なのだ。
ずっと秘密にしておくのは困難だ。
しばらく[#dc=1#]を静養させ、回復を待つ間に対策を取らねばならない。
ロシナンテは問題ない。オレと同様に[#dc=1#]を守るだろう。
他に誰を味方につけたらいい?
ただ流れてくる映像を見ているだけ。
今度は順番どおりに。
数日か数ヶ月かは分からないが家族が穏やかに過ごしているのが見られた。
しかし突如、屋敷が襲撃される。
前回見た民衆とは別に、見覚えがない傭兵や海賊の姿が見える。電伝虫を手に取り、誰かの指示を仰いでいるのが見て取れる。
火が放たれたがすでに用意していたのが功を奏し、家族が無事に脱出している。
逃亡後もいくつか用意していた拠点で穏やかな時間もあったようには見受けられた。
しかし毎回それは何か組織的なものに密告され、民衆が煽られ、その地を追われる。
奥方様は病院のベッドに横たわり、旦那様とドフィとロシーは泣き崩れている。
埋葬してしばらくすると資金が尽きたようで
ドフィとロシーが残飯を漁り、大人に殴られている。
また、あの場面だ。
目をそらすことは許されない。
高い城壁のようなところに磔にされているドフィとロシー、そして旦那様。
火が燃え盛り、遠くから多くの群集が罵声を浴びせ、矢を射掛けている。そして誰かが民衆を的確に煽っている。いったい何者なのか。
自分のものではない苦しみと悲しみ、そしてすさまじい怒りの感情が体の中を駆け巡る。
これは、これは、ドフィの。
[#dc=1#]は慟哭した。
守れなかった!守れなかった!
若様、コラさん、ごめんなさい、ごめんなさい。
再び目を開けたときには良く知っているベッドの上だった。
目の前には大きくなったドフィ、若様とやっぱり大きくなったロシー、コラさんがこちらを見つめていた。
2人と目が合った。
息を呑んでコラさんが足を滑らせ、ベッドに横たわる[#dc=1#]の上にぽすんと乗っかる。
若様は苦笑してコラさんの手を軽く引き戻す。
それから2人とも両側からゆっくりと[#dc=1#]を抱きしめた。
「おかえり」『おかえり』
[#dc=1#]が口にしたのはリグリグの実というものだった。
ひどく後悔をしたときに原因と思われる、または解決できる「人間」がいる時間と場所に飛ぶと言われている。
過去に飛んでも記憶は残る。
未来に飛ぶことも出来るようだが記録が残っていないのでわからない。
実際には体の負担が大きいので人を介した移動手段として使われることが多いようだ。
2人の腕の中で[#dc=1#]が叫ぶ。
「でも、でも私、みんなを助けられなかった!」
「それはお前のせいじゃねェ。」
ドフラミンゴは[#dc=1#]の流れる涙に唇を寄せて拭い取っていく。
それを見てロシナンテも反対側の目からこぼれる涙を舐め取っていった。
それはまるで獣の親子が傷を舐めて治しているようであった。
涙がある程度収まった頃、ドフラミンゴはようやく[#dc=1#]の頬から唇を離し、こう告げた。
「オレはあの時、お前が過去に飛ぶまでは父親がすべての原因だと思っていた。
本当に父親が原因だったら、お前が現れて父親を説得し、オレたちの意識を変えた時点であんなことは起きず、過去は完全に書き換わったはずだ。」
ロシナンテは涙が止まった後も[#dc=1#]の頬に口づけを繰り返していたがそれを聞いて目を見開いた。
[#dc=1#]も同じように目を見開き、そのまま2人ともじっとドフラミンゴを見つめている。
ドフラミンゴはそれを見て満足そうに頷き、話を続ける。
「俺が考えていたのは2つ。
①天竜人をやめない。
しかしこれは力があり、青海人からの人望も厚い父親を煙たく思っていた連中がいたことがわかっている。これは止めることはできなかっただろう。
もう1つは
②天竜人をやめて地上に降りても天竜人であったことを明かさない。
これは[#dc=1#]のおかげで実現した。
それでもあの惨劇は起きた。
なぜか。
お前も見ただろう。
裏で誰かが、糸を引いている。
これが分かっただけでも十分だ。」
[#dc=1#]はほんの少し、落ち着いた顔になり、そのまま崩れるように眠りに落ちた。
[#dc=1#]が完全に眠ったのを確認して、傍らのロシナンテに話を続ける。
「もう1つ、オレたち兄弟にとっては特に、もしかしたらロシーにとっては一番救われた部分かもしれないことがある。」
ロシナンテは曖昧に頷いた。
「オレは1度目は父親を殺した。
しかし2度目はオレたちを救うために父親が自殺した。
それでもマリージョアに戻れはしなかったが。」
ドフラミンゴは悔しそうに歯噛みする。
ロシナンテは無表情にそれを見つめている。
「[#dc=1#]は1度目も2度目も父親が死ぬところを見ていないようだ。
これからも見ることはないだろうし、オレたちが言うこともないだろう。もう、あの過去に飛ばすことはさせない。」
ロシナンテは力強く頷いた。
リグリグの実はドフラミンゴが闇取引で手に入れたものだが誰に食べさせるのかは決めかねていた。
過去の記憶からすれば[#dc=1#]が食べたであろうものがこの実であることは推測できた。
現時点で[#dc=1#]は悪魔の能力者ではなかったので今からこれを食べさせて、あの過去に繋がるのだろうと思われた。
しかし、ドフラミンゴは躊躇ったのだ。
この実であれば今後[#dc=1#]は人を思い浮かべさえすればいつでも何処にでも行ける。
それは不本意な状況で[#dc=1#]がさらわれたとしてもいつでもドフラミンゴの元に帰ってくるということでもあるが、同時にいつでも別の誰かのところに行ってしまえるということでもある。
[#dc=1#]を完全に閉じ込めることがもう出来ない。
ほかの誰かは言うまでもなく、過去の自分にさえも奪われるのはいやだった。
しかしあの時、部屋に戻ってリグリグの実をテーブルに置き、部屋に備え付けの水差しの水を飲んだ後、強烈な抗いがたい眠気に襲われた。悪夢に魘されていたオレに近づいた[#dc=1#]の気配に気付いたときには[#dc=1#]はリグリグの実を口にしていてオレを媒[#dc=1#]の部屋の水差しに?何のために?
しかし気付いたときには空になっていてもう調べることは出来ない。
ドフラミンゴは苛立ちを隠せなかった。
それにしてもこの能力がファミリーに、特にトレーボル辺りに知られれば限界まで利用されるだろう。
なんせ彼は付きっ切りで面倒を見ると言うことをしない代わりにドフラミンゴに何かあれば、たとえば道が悪くて転んだだけで、その道がある街ごとすべて焼き払った男なのだ。
ずっと秘密にしておくのは困難だ。
しばらく[#dc=1#]を静養させ、回復を待つ間に対策を取らねばならない。
ロシナンテは問題ない。オレと同様に[#dc=1#]を守るだろう。
他に誰を味方につけたらいい?