ONE PIECE
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瞬く間に船の、ドフラミンゴの部屋に辿り着くとドフラミンゴはコートを広げ、サクラの身をそっとベッドに横たえた。
サクラがむくりと起き上がると同時にドフラミンゴはベッドの上に上がって正面に膝をつき、彼女の顎を持ち上げた。
「わかっていたんだろう。」
唐突にドフラミンゴは尋ねた。
サングラスの奥の瞳はサクラをまっすぐに射抜いている。
「怖い顔。」
ピキっとドフラミンゴの顔に青筋が走るのを見て、サクラはやれやれと首を振り、口を開いた。
「わかっていたわ。大丈夫だって。」
「そうじゃねえ。」
ドフラミンゴは大げさにため息を付いて見せ、先ほどより幾分力を抜いて今度は親指でサクラの唇の輪郭をそっとなぞる。
殴られたのだろう、少し唇が切れている。
サクラはそれを意に介さず小首を傾げたが、そのままドフラミンゴの言葉を待っている。
「もし……服を仕立てなかったら。」
「ベビー5が壊れちゃう。」
まるで何を聞かれるのかわかっているかのように間髪入れずにサクラが答えた。
ピクリとドフラミンゴは片眉を上げる。
問答は続く。
「ローを拘束前に、最初に逃がしたら。」
「その場で殺された。」
ふるり、ドフラミンゴの身体が揺れる。
「ローが最初に別のファミリーに報告し、おれに……気付かれなかったら。」
声が震えている。
「あなたはこの世を手に入れていたかもしれないのに、それは少し残念だったわね。」
サクラはコロコロと笑った。
ドフラミンゴはハッと息を呑む。
サクラはゆったりと言葉を続けた。
「大丈夫、最初でなければいいの。」
違う、そうじゃねェ、今そんなことを聞きたいわけじゃねェ。
お前は、お前はどうなっていた?
そしてお前は何回、この運命を、
繰り返した?
しかしそれは言葉にならない。
もの言いたげなドフラミンゴを見て、まるで歌うようにサクラが言葉を紡ぐ。
その男が何をしようとしているのかはわからなかったがベビーが泣くのが嫌だった
その男が何をしようがどうでもよかったがバッファローの手がちぎれるのが嫌だった
だから間に合ってよかったわ
サクラは自分の身に何が起こり、どうなってしまうのかなどまるで知らぬと言わんばかりに花が綻ぶように笑った。
それにしても、とそこで初めて眉を顰め、口元を手の甲で覆う。
よその人間はひどい悪臭がするものね
うちのファミリーは皆いい匂いがするのに
これは2度とごめんだわ
その身から甘い香りを漂わせ、変わらずに微笑むサクラ、おれの、おれだけの綺麗な綺麗なサクラ。
お前はわかっていない。
お前のような子どもに対してさえその悪臭よりもひどい行為を思い描くものがいることを。
それを実行しようとする輩がいることを。
ああ、でもそれが何かお前にはわからないんだな。
ドクン
ドフラミンゴの中で目まぐるしく血が蠢く。
ドクン
やがて中心に集まっていく。
ドクン
ずきずきと痛むように、ドクドクと流れるように。
ならばいっそ、このおれが。
ドフラミンゴは出来るだけゆっくりと動いた。
[#dc=1#]の小さな頭を左手で支えると手の中にすっぽりと収まる。
右手で顎を少し掬い上げ、親指で押さえると、血のように赤く艶やかな唇が自然と突き出された。
ああたまらねえ
今までどれだけ触れたかったか喰らいつきたかったか噛みつきたかったか貪りたかったか
「若様?」
サクラの声が耳をくすぐる。
ああ、今までどれだけ違う種類の声を上げさせたかったか変えたかったか掠れさせたかったか
サクラの手がドフラミンゴの腕に触れ、自身の肌が泡立つ。
ああ、これも全部全部おれのおれだけのものだ
ゆっくりと顔を近づける。
サクラの眼が、深い色を湛えて揺らめいている。
ドフラミンゴが一瞬ひるむと少し細められ、それがゆっくりと閉じられていった。
「ドフィ。」
ああ、もう、我慢出来ねえ
もうどうなっても構わなかった、ずっと、ずっと我慢してきたのだ、だから。
ぽふ
自身の髪に[#dc=1#]の手が乗せられる。
大丈夫、大丈夫だから。
柔らかく、小さな手がそこにあった。
俺が今何をしようとしていたか、知っていて、知らないでいて
優しく慰めるお前の手
ドフラミンゴはひどく泣きたくなってその小さな体に顔を埋める。
大きな大人の男が小さな女の子に縋り付く様はさぞ滑稽であろう。
だとしても、やはり、
やっぱりこいつには敵わねえ。
サクラがむくりと起き上がると同時にドフラミンゴはベッドの上に上がって正面に膝をつき、彼女の顎を持ち上げた。
「わかっていたんだろう。」
唐突にドフラミンゴは尋ねた。
サングラスの奥の瞳はサクラをまっすぐに射抜いている。
「怖い顔。」
ピキっとドフラミンゴの顔に青筋が走るのを見て、サクラはやれやれと首を振り、口を開いた。
「わかっていたわ。大丈夫だって。」
「そうじゃねえ。」
ドフラミンゴは大げさにため息を付いて見せ、先ほどより幾分力を抜いて今度は親指でサクラの唇の輪郭をそっとなぞる。
殴られたのだろう、少し唇が切れている。
サクラはそれを意に介さず小首を傾げたが、そのままドフラミンゴの言葉を待っている。
「もし……服を仕立てなかったら。」
「ベビー5が壊れちゃう。」
まるで何を聞かれるのかわかっているかのように間髪入れずにサクラが答えた。
ピクリとドフラミンゴは片眉を上げる。
問答は続く。
「ローを拘束前に、最初に逃がしたら。」
「その場で殺された。」
ふるり、ドフラミンゴの身体が揺れる。
「ローが最初に別のファミリーに報告し、おれに……気付かれなかったら。」
声が震えている。
「あなたはこの世を手に入れていたかもしれないのに、それは少し残念だったわね。」
サクラはコロコロと笑った。
ドフラミンゴはハッと息を呑む。
サクラはゆったりと言葉を続けた。
「大丈夫、最初でなければいいの。」
違う、そうじゃねェ、今そんなことを聞きたいわけじゃねェ。
お前は、お前はどうなっていた?
そしてお前は何回、この運命を、
繰り返した?
しかしそれは言葉にならない。
もの言いたげなドフラミンゴを見て、まるで歌うようにサクラが言葉を紡ぐ。
その男が何をしようとしているのかはわからなかったがベビーが泣くのが嫌だった
その男が何をしようがどうでもよかったがバッファローの手がちぎれるのが嫌だった
だから間に合ってよかったわ
サクラは自分の身に何が起こり、どうなってしまうのかなどまるで知らぬと言わんばかりに花が綻ぶように笑った。
それにしても、とそこで初めて眉を顰め、口元を手の甲で覆う。
よその人間はひどい悪臭がするものね
うちのファミリーは皆いい匂いがするのに
これは2度とごめんだわ
その身から甘い香りを漂わせ、変わらずに微笑むサクラ、おれの、おれだけの綺麗な綺麗なサクラ。
お前はわかっていない。
お前のような子どもに対してさえその悪臭よりもひどい行為を思い描くものがいることを。
それを実行しようとする輩がいることを。
ああ、でもそれが何かお前にはわからないんだな。
ドクン
ドフラミンゴの中で目まぐるしく血が蠢く。
ドクン
やがて中心に集まっていく。
ドクン
ずきずきと痛むように、ドクドクと流れるように。
ならばいっそ、このおれが。
ドフラミンゴは出来るだけゆっくりと動いた。
[#dc=1#]の小さな頭を左手で支えると手の中にすっぽりと収まる。
右手で顎を少し掬い上げ、親指で押さえると、血のように赤く艶やかな唇が自然と突き出された。
ああたまらねえ
今までどれだけ触れたかったか喰らいつきたかったか噛みつきたかったか貪りたかったか
「若様?」
サクラの声が耳をくすぐる。
ああ、今までどれだけ違う種類の声を上げさせたかったか変えたかったか掠れさせたかったか
サクラの手がドフラミンゴの腕に触れ、自身の肌が泡立つ。
ああ、これも全部全部おれのおれだけのものだ
ゆっくりと顔を近づける。
サクラの眼が、深い色を湛えて揺らめいている。
ドフラミンゴが一瞬ひるむと少し細められ、それがゆっくりと閉じられていった。
「ドフィ。」
ああ、もう、我慢出来ねえ
もうどうなっても構わなかった、ずっと、ずっと我慢してきたのだ、だから。
ぽふ
自身の髪に[#dc=1#]の手が乗せられる。
大丈夫、大丈夫だから。
柔らかく、小さな手がそこにあった。
俺が今何をしようとしていたか、知っていて、知らないでいて
優しく慰めるお前の手
ドフラミンゴはひどく泣きたくなってその小さな体に顔を埋める。
大きな大人の男が小さな女の子に縋り付く様はさぞ滑稽であろう。
だとしても、やはり、
やっぱりこいつには敵わねえ。