ONE PIECE
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それはちょうど、サクラが意識を取り戻し、別の島で療養を始めてから1か月ほど経ったある日のことだった。
サクラが突然、アジトの夕食の席に現れた。
それは文字通り「出現」だった。
港からの知らせも見張り役からの報告もなく、忽然とドアを開けもせずに夕食の席に現れた。
誰も、もちろん出現した場所に一番近くに座っていたセニョール自身も完全にそこに現れるまで気付かなかった。
皆一斉に息を飲みサクラを見つめ、幾人かは若様を見た。
若様は満足げに頷いている。
サクラが「リグリグの実」を食べたことは当然ファミリーに知らされていた。
状況によってリスクは変化するが、空間と時間を飛べる能力だ、と聞かされているので皆これがそうか、と納得する。
差し迫った時にしか使えない、という代物だったはずだがどうやらサクラはそれをある程度コントロールできるようになったらしかった。
「お帰り、サクラ。」
セニョールが声をかける。
サクラはセニョールへ笑顔を向けた。
ベビー5がぼろぼろと涙を流しながら席を立つ。
サクラがゆっくりと口角を上げて微笑み、両手を広げる。
ほとんど背も変わらぬサクラの腕の中へ、ベビー5が何の躊躇もなく飛び込んだ。
以前のままのサクラだったら吹き飛んでいたはずなのに、彼女はベビー5の体をしっかりと抱きとめる。
ベビー5がささやくような声で「無茶をして。」とだけ聞こえたと思ったらそのあとはもうわあわあという泣き声だけが響いて言葉にならない。
大人たちがその光景をほほえましく見ていたが
おもむろにその傍に近寄ったのはローだった。
「無理すんじゃねえ、ばか。」と言ってベビー5に抱き付かれたままのサクラの頭を軽く小突く。
バッファローは席に座って夕食をほおばりながら元気になって「よかっただすやん。」とにこにこしている。
ジョーラはいつの間にか席を立って近寄っており、感極まったのかベビー5ごとサクラを抱きしめ、頬ずりをしている。
二人とも一瞬眉をひそめたが、顔をくしゃくしゃにして泣き笑いしているジョーラを見て、顔を見合わせ、一緒に笑い合った。
他の大人たちも、穏やかな顔で、時には涙ぐみながらその光景を見守っている。
ただ一人を除いては。
トレーボルが静かに笑っていた。
いや、表情こそは笑っているようだが観察しているだけなのかそれともこれからの算段をつけているのかわかりかねる表情だ。
セニョールはそっと眉をひそめた。
もし、彼女に何かあったら、若様はどうなる。
トレーボルが彼女を不要と判断したら、若様は。
しかしそんなセニョールの心配をよそに、コラソンが何やら所在無げにもじもじし出した。
抱き付いていたジョーラとベビー5がそれに気付き、2人で顔を見合わせる。
ニヤリと笑ってコラソンに見せつけるようにさらにサクラをギュウギュウと抱きしめた。
コラソンがらしくなく焦った表情であわあわと手を動かすのを尻目にジョーラとベビー5はサクラの感触を堪能する。
やがて二人の様子の変化にサクラが気付き、首だけを動かしてぴたりとコラソンと目を合わせる。
コラソンは……恐らくファミリーは初めて見る表情だろうが……はにかむように少し頬を染めていた。
『いいんだ、待ってる。』
コラソンの口がそう形作る。
面白がっていたジョーラとベビー5は大げさにあきれ顔をしながらサクラを解放した。
サクラが改めてゆっくりとコラソンを見つめた。
二人は互いに手を広げ、どちらが先に動いたかわからないほど、まるで呼応したかのように、そして縋りつくように抱きしめあった。
それから二人でおでこをくっつけ合い、涙を浮かべながら再会を喜んでいる。
それは子犬の兄弟がじゃれ合うように無邪気なものに感じられた。
皆がほほえましいその光景を見守る中、セニョールはローが口元を手で押さえ、目をそらし、不自然なほど頬を赤らめていることに気付いた。
その時のセニョールは、ローが何を知り、何に気付き、何を思っていたのかはわからないではなかったが……そっと飲み込むことにした。
ドフラミンゴはしばらく2人の戯れを満足そうに眺め、口元こそは穏やかに微笑んでいたが、やがて口角が下がり、指が膝をトントンと一定のリズムを刻みだし、おもむろに頬杖をついた。
周りの大人と、恐らくローだけはそれに気付いていた。ただ、気付いていることに気付かれないようにそっと見守っていた。
するとコラソンと十分にじゃれ合って満足したのか、サクラが何の前触れもなく、くるっと体ごとドフラミンゴに振り返った。
もちろんサクラと視線が合う頃にはドフラミンゴの口角は上がっていて、先ほどの不機嫌そうな表情は欠片も見当たらない。
「オレが最後かァ?」
ドフラミンゴは椅子からは全く動かず、余裕たっぷりな表情で腕を上げて見せる。
サクラはドフラミンゴの腕の中に飛び込み、文字通り膝の上に飛び乗った。
ドフラミンゴはがっちりとサクラを抱き込んだ。
天を仰ぎ、息を大きく吸う。喜びに全身が震えた。
お互いに言葉は無い。
ディアマンテがピュウッと口笛を吹く。
ベビー5はキャッと声を上げて自らの頬を覆う。
ローはますます頬を赤くしていたが今度はまっすぐ二人を見ていた。
もう、離さない。
そうドフラミンゴの唇が囁くのを、トレーボルは見逃さなかった。
サクラが突然、アジトの夕食の席に現れた。
それは文字通り「出現」だった。
港からの知らせも見張り役からの報告もなく、忽然とドアを開けもせずに夕食の席に現れた。
誰も、もちろん出現した場所に一番近くに座っていたセニョール自身も完全にそこに現れるまで気付かなかった。
皆一斉に息を飲みサクラを見つめ、幾人かは若様を見た。
若様は満足げに頷いている。
サクラが「リグリグの実」を食べたことは当然ファミリーに知らされていた。
状況によってリスクは変化するが、空間と時間を飛べる能力だ、と聞かされているので皆これがそうか、と納得する。
差し迫った時にしか使えない、という代物だったはずだがどうやらサクラはそれをある程度コントロールできるようになったらしかった。
「お帰り、サクラ。」
セニョールが声をかける。
サクラはセニョールへ笑顔を向けた。
ベビー5がぼろぼろと涙を流しながら席を立つ。
サクラがゆっくりと口角を上げて微笑み、両手を広げる。
ほとんど背も変わらぬサクラの腕の中へ、ベビー5が何の躊躇もなく飛び込んだ。
以前のままのサクラだったら吹き飛んでいたはずなのに、彼女はベビー5の体をしっかりと抱きとめる。
ベビー5がささやくような声で「無茶をして。」とだけ聞こえたと思ったらそのあとはもうわあわあという泣き声だけが響いて言葉にならない。
大人たちがその光景をほほえましく見ていたが
おもむろにその傍に近寄ったのはローだった。
「無理すんじゃねえ、ばか。」と言ってベビー5に抱き付かれたままのサクラの頭を軽く小突く。
バッファローは席に座って夕食をほおばりながら元気になって「よかっただすやん。」とにこにこしている。
ジョーラはいつの間にか席を立って近寄っており、感極まったのかベビー5ごとサクラを抱きしめ、頬ずりをしている。
二人とも一瞬眉をひそめたが、顔をくしゃくしゃにして泣き笑いしているジョーラを見て、顔を見合わせ、一緒に笑い合った。
他の大人たちも、穏やかな顔で、時には涙ぐみながらその光景を見守っている。
ただ一人を除いては。
トレーボルが静かに笑っていた。
いや、表情こそは笑っているようだが観察しているだけなのかそれともこれからの算段をつけているのかわかりかねる表情だ。
セニョールはそっと眉をひそめた。
もし、彼女に何かあったら、若様はどうなる。
トレーボルが彼女を不要と判断したら、若様は。
しかしそんなセニョールの心配をよそに、コラソンが何やら所在無げにもじもじし出した。
抱き付いていたジョーラとベビー5がそれに気付き、2人で顔を見合わせる。
ニヤリと笑ってコラソンに見せつけるようにさらにサクラをギュウギュウと抱きしめた。
コラソンがらしくなく焦った表情であわあわと手を動かすのを尻目にジョーラとベビー5はサクラの感触を堪能する。
やがて二人の様子の変化にサクラが気付き、首だけを動かしてぴたりとコラソンと目を合わせる。
コラソンは……恐らくファミリーは初めて見る表情だろうが……はにかむように少し頬を染めていた。
『いいんだ、待ってる。』
コラソンの口がそう形作る。
面白がっていたジョーラとベビー5は大げさにあきれ顔をしながらサクラを解放した。
サクラが改めてゆっくりとコラソンを見つめた。
二人は互いに手を広げ、どちらが先に動いたかわからないほど、まるで呼応したかのように、そして縋りつくように抱きしめあった。
それから二人でおでこをくっつけ合い、涙を浮かべながら再会を喜んでいる。
それは子犬の兄弟がじゃれ合うように無邪気なものに感じられた。
皆がほほえましいその光景を見守る中、セニョールはローが口元を手で押さえ、目をそらし、不自然なほど頬を赤らめていることに気付いた。
その時のセニョールは、ローが何を知り、何に気付き、何を思っていたのかはわからないではなかったが……そっと飲み込むことにした。
ドフラミンゴはしばらく2人の戯れを満足そうに眺め、口元こそは穏やかに微笑んでいたが、やがて口角が下がり、指が膝をトントンと一定のリズムを刻みだし、おもむろに頬杖をついた。
周りの大人と、恐らくローだけはそれに気付いていた。ただ、気付いていることに気付かれないようにそっと見守っていた。
するとコラソンと十分にじゃれ合って満足したのか、サクラが何の前触れもなく、くるっと体ごとドフラミンゴに振り返った。
もちろんサクラと視線が合う頃にはドフラミンゴの口角は上がっていて、先ほどの不機嫌そうな表情は欠片も見当たらない。
「オレが最後かァ?」
ドフラミンゴは椅子からは全く動かず、余裕たっぷりな表情で腕を上げて見せる。
サクラはドフラミンゴの腕の中に飛び込み、文字通り膝の上に飛び乗った。
ドフラミンゴはがっちりとサクラを抱き込んだ。
天を仰ぎ、息を大きく吸う。喜びに全身が震えた。
お互いに言葉は無い。
ディアマンテがピュウッと口笛を吹く。
ベビー5はキャッと声を上げて自らの頬を覆う。
ローはますます頬を赤くしていたが今度はまっすぐ二人を見ていた。
もう、離さない。
そうドフラミンゴの唇が囁くのを、トレーボルは見逃さなかった。