ONE PIECE
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ドフィ待って!ロシーを殺さないで!
お願い、なんでも言う通りにするからあ
涙交じりの声がする。
子どもの声だ。
お前までそんなことを言うのか。
こいつはお前も裏切ったんだぞ。
しかも、最初から俺たちを騙すつもりでファミリーに入ったんだ、なのに。
お前までそんな顔で、俺を、責めるのか。
「おい、***はここに来させないよう見張らせていたはずだ。
あいつらはどうした。
ここに来るなと言ってあっただろう。」
仕方ねえな、そこまで言うなら。
ドフラミンゴは舌をペロリと出した。
お仕置き、だな?
途端にあたりが白くなる。
海軍の大砲の音が聞こえ、腕の中の小さく柔らかな身体がどんどん遠くなっていく。
ドフラミンゴはゆっくりと目を開けた。
いつもの天井、肌触りの良い寝具。
夢を見ていた、昔の夢だ。
しかし夢はいつも記憶とは違っている。
あんな子供はいなかった。
ローとは違う、ベビー5でもない。
可愛らしい顔をした、可哀想な子供。
自分をドフィと呼ぶほど近しい、子供。
「若様、おはようございます。」
そう、自分を若様とは呼ばない子供……。
ドフラミンゴは鷹揚に起き上がり、声がした方へ顔を向けた。
美しい女が立っている。
クラシカルなメイド服に身を包み、一部の隙もなく、禁欲的な佇まいを見せている。
しかし、わずかに覗く肌からは生気が感じられない。
その滑らかに見える肌は特殊な人工皮膚で覆われ、
優雅に見える動きは球体関節によるものだ。
瞳は閉じられ、滅多に開けることはない。
シュガー自身が自分でもどうやって作り上げたか(笑)というほど精巧な人形。
それが自分の専属メイド、サクラだった。
サクラはドフラミンゴ以外の命令には従わない。
サクラはドフラミンゴの命令でも従わないことがある。
本来であれば命令に従わない人形など即廃棄処分だがドフラミンゴはそんな彼女が気に入っていた。
彼女が命令に従わなかった時は、結果としてその方がドフラミンゴにとって良い方向に行くことが多いからだ。
サクラはどうして人形になり、どうしてドフラミンゴのメイドになったのかわからない。
何せシュガーが食べた悪魔の実、ホビホビの実の能力は触れた相手をおもちゃにし、おもちゃにされた者は世界中の人間、恋人、家族、仲間、敵ですらもその存在が記憶から消される。
それはつまりドフラミンゴの記憶に対しても例外ではなかった。
そしてもう1つ、これはあくまでおもちゃにした直後に限られるがシュガーの契約(命令した事)には絶対逆らえなくなってしまう。
彼女が専属メイドになったのはこの国に来てから間も無い頃だったから、シュガーが不慣れな分、契約が不十分だったのだろう。
何かドフラミンゴにとって不都合があり、彼女を人形にしたのだろうが現在に至るまで彼女がドフラミンゴにとって不快だったことは無い。
あえて言うなれば彼女はとても自分好みであるにも関わらず、所謂夜のお世話が出来ないことが残念であった。
いずれにせよそういう意味でのお人形遊びの趣味はなかったので良かっただろうが。
サクラにはドフラミンゴの隣の部屋が宛てがわれている。
つまりこの国でドフラミンゴの次にいい部屋である。
そしていつでもどんな時もドフラミンゴが呼べば傍に侍る。
それは情事に耽っている時でさえそうである。
そこまで考えてドフラミンゴは昨夜のことを思い出して表情を曇らせた。
その間もサクラはテキパキとドフラミンゴの身支度を整え、本日の予定を復唱している。
サクラはドフラミンゴがどんな女をベッドに連れ込もうとも滅多に表情を変えない。反応しない、嫌がらない。
唯一の例外は……ヴィオラだった。
ドフラミンゴはその時、彼女の苦しみに満ちた反応に驚き過ぎてヤル気が失せ、ヴィオラをそういう意味で抱くことを辞め、代わりと言っては何だが驚きのままに彼女を抱き締め、そのままサクラを同衾させることに成功したのだ。
その夜は随分とよく眠れたので何度かお願いしてみたが現在に至っても断られている。
それからと言うもの取っ替え引っ替えいろんな女を連れ込んだが彼女はこれといって反応が無く、正直ドフラミンゴは面白くなかった。
だと言うのに彼女が昨夜はまた珍しく女を連れ込むことを嫌がったのだ。
ドフラミンゴは歓喜した。
前回とは違い、ファミリーとも全く関係のない女である。
それなりの容姿と体型なので連れ込んだだけの商売女だ。
ただ、以前と違って苦しそうではなく、見るのも嫌だという風だったので、喜びを抑えてドフラミンゴは尋ねた。
「どうした、サクラ。俺がこの女を抱いちゃいけない理由があるのか?」
お前ににとって、というのを抑えて尋ねたのだが、その返答を聞いてドフラミンゴはこの上なく落胆した。
「その方の品のない爪が気に入りません。」
「は?」
爪?
女は長く爪を伸ばしていたが真っ赤に塗られ、綺麗に手入れされている。
女が焦ったように手を隠したところでドフラミンゴも気が付いた。
「ああ、俺も案外間抜けだったなあ。」
言葉が終わる頃には女は窓の外に放り出されていて、悲鳴を残して姿を消した。
「あら、お掃除が大変ですこと。……どこの方か確認しなくても良かったのですか。」
「構わねえよ、店から辿れば目星は付く。掃除はネズミかトカゲにやらせればいい。」
だから、とドフラミンゴは素早くサクラに身を寄せた。
サクラは驚くでもなくドフラミンゴを見上げる。
珍しく瞼を上げ、こちらを見ている。
深く碧い海のような色のガラス玉が意思を持っているのが感じられ、吸い込まれそうだ。
思わず唇を寄せたドフラミンゴにそっと手で押し返してサクラは拒んだ。
「いけません。」
再び閉じられ、伏せられた顔からは表情が窺えない。
「何だツレねえなあ。慰めてもくれねえのか?」
さらにグッと力を込めて抱き寄せ、腰を押し付けるが身を委ねる気配は無い。
「ささ、眠るまで一緒にいてあげますからお休みなさい。」
まるで子どもをあやすように、ホットミルクを差し出さんばかりの甘く優しい声に興が削がれる。
さらには一人でベッドに入らされ、あまつさえ布団の上からトントンとあやされたせいで子守メイドかと不満をこぼしたにも関わらず、意に解さないサクラの声を聞きながらドフラミンゴは眠りについてしまったのだ。
あの時彼女は何と言っていたのだろうか。
一緒に寝てくれないのかと言った自分に、彼女は。
「若様、聞いていらっしゃいますか。」
不満ではなく、苛立ちでもなく、確認でしか無い言葉にハッとする。
「ああ、で、なんだ?」
その反応をもって初めて彼女は呆れたように確からしく溜息を吐いた。
無論人形なので呼吸などしていないのだが。
「メラメラの実が、見つかりましたよ。」
お願い、なんでも言う通りにするからあ
涙交じりの声がする。
子どもの声だ。
お前までそんなことを言うのか。
こいつはお前も裏切ったんだぞ。
しかも、最初から俺たちを騙すつもりでファミリーに入ったんだ、なのに。
お前までそんな顔で、俺を、責めるのか。
「おい、***はここに来させないよう見張らせていたはずだ。
あいつらはどうした。
ここに来るなと言ってあっただろう。」
仕方ねえな、そこまで言うなら。
ドフラミンゴは舌をペロリと出した。
お仕置き、だな?
途端にあたりが白くなる。
海軍の大砲の音が聞こえ、腕の中の小さく柔らかな身体がどんどん遠くなっていく。
ドフラミンゴはゆっくりと目を開けた。
いつもの天井、肌触りの良い寝具。
夢を見ていた、昔の夢だ。
しかし夢はいつも記憶とは違っている。
あんな子供はいなかった。
ローとは違う、ベビー5でもない。
可愛らしい顔をした、可哀想な子供。
自分をドフィと呼ぶほど近しい、子供。
「若様、おはようございます。」
そう、自分を若様とは呼ばない子供……。
ドフラミンゴは鷹揚に起き上がり、声がした方へ顔を向けた。
美しい女が立っている。
クラシカルなメイド服に身を包み、一部の隙もなく、禁欲的な佇まいを見せている。
しかし、わずかに覗く肌からは生気が感じられない。
その滑らかに見える肌は特殊な人工皮膚で覆われ、
優雅に見える動きは球体関節によるものだ。
瞳は閉じられ、滅多に開けることはない。
シュガー自身が自分でもどうやって作り上げたか(笑)というほど精巧な人形。
それが自分の専属メイド、サクラだった。
サクラはドフラミンゴ以外の命令には従わない。
サクラはドフラミンゴの命令でも従わないことがある。
本来であれば命令に従わない人形など即廃棄処分だがドフラミンゴはそんな彼女が気に入っていた。
彼女が命令に従わなかった時は、結果としてその方がドフラミンゴにとって良い方向に行くことが多いからだ。
サクラはどうして人形になり、どうしてドフラミンゴのメイドになったのかわからない。
何せシュガーが食べた悪魔の実、ホビホビの実の能力は触れた相手をおもちゃにし、おもちゃにされた者は世界中の人間、恋人、家族、仲間、敵ですらもその存在が記憶から消される。
それはつまりドフラミンゴの記憶に対しても例外ではなかった。
そしてもう1つ、これはあくまでおもちゃにした直後に限られるがシュガーの契約(命令した事)には絶対逆らえなくなってしまう。
彼女が専属メイドになったのはこの国に来てから間も無い頃だったから、シュガーが不慣れな分、契約が不十分だったのだろう。
何かドフラミンゴにとって不都合があり、彼女を人形にしたのだろうが現在に至るまで彼女がドフラミンゴにとって不快だったことは無い。
あえて言うなれば彼女はとても自分好みであるにも関わらず、所謂夜のお世話が出来ないことが残念であった。
いずれにせよそういう意味でのお人形遊びの趣味はなかったので良かっただろうが。
サクラにはドフラミンゴの隣の部屋が宛てがわれている。
つまりこの国でドフラミンゴの次にいい部屋である。
そしていつでもどんな時もドフラミンゴが呼べば傍に侍る。
それは情事に耽っている時でさえそうである。
そこまで考えてドフラミンゴは昨夜のことを思い出して表情を曇らせた。
その間もサクラはテキパキとドフラミンゴの身支度を整え、本日の予定を復唱している。
サクラはドフラミンゴがどんな女をベッドに連れ込もうとも滅多に表情を変えない。反応しない、嫌がらない。
唯一の例外は……ヴィオラだった。
ドフラミンゴはその時、彼女の苦しみに満ちた反応に驚き過ぎてヤル気が失せ、ヴィオラをそういう意味で抱くことを辞め、代わりと言っては何だが驚きのままに彼女を抱き締め、そのままサクラを同衾させることに成功したのだ。
その夜は随分とよく眠れたので何度かお願いしてみたが現在に至っても断られている。
それからと言うもの取っ替え引っ替えいろんな女を連れ込んだが彼女はこれといって反応が無く、正直ドフラミンゴは面白くなかった。
だと言うのに彼女が昨夜はまた珍しく女を連れ込むことを嫌がったのだ。
ドフラミンゴは歓喜した。
前回とは違い、ファミリーとも全く関係のない女である。
それなりの容姿と体型なので連れ込んだだけの商売女だ。
ただ、以前と違って苦しそうではなく、見るのも嫌だという風だったので、喜びを抑えてドフラミンゴは尋ねた。
「どうした、サクラ。俺がこの女を抱いちゃいけない理由があるのか?」
お前ににとって、というのを抑えて尋ねたのだが、その返答を聞いてドフラミンゴはこの上なく落胆した。
「その方の品のない爪が気に入りません。」
「は?」
爪?
女は長く爪を伸ばしていたが真っ赤に塗られ、綺麗に手入れされている。
女が焦ったように手を隠したところでドフラミンゴも気が付いた。
「ああ、俺も案外間抜けだったなあ。」
言葉が終わる頃には女は窓の外に放り出されていて、悲鳴を残して姿を消した。
「あら、お掃除が大変ですこと。……どこの方か確認しなくても良かったのですか。」
「構わねえよ、店から辿れば目星は付く。掃除はネズミかトカゲにやらせればいい。」
だから、とドフラミンゴは素早くサクラに身を寄せた。
サクラは驚くでもなくドフラミンゴを見上げる。
珍しく瞼を上げ、こちらを見ている。
深く碧い海のような色のガラス玉が意思を持っているのが感じられ、吸い込まれそうだ。
思わず唇を寄せたドフラミンゴにそっと手で押し返してサクラは拒んだ。
「いけません。」
再び閉じられ、伏せられた顔からは表情が窺えない。
「何だツレねえなあ。慰めてもくれねえのか?」
さらにグッと力を込めて抱き寄せ、腰を押し付けるが身を委ねる気配は無い。
「ささ、眠るまで一緒にいてあげますからお休みなさい。」
まるで子どもをあやすように、ホットミルクを差し出さんばかりの甘く優しい声に興が削がれる。
さらには一人でベッドに入らされ、あまつさえ布団の上からトントンとあやされたせいで子守メイドかと不満をこぼしたにも関わらず、意に解さないサクラの声を聞きながらドフラミンゴは眠りについてしまったのだ。
あの時彼女は何と言っていたのだろうか。
一緒に寝てくれないのかと言った自分に、彼女は。
「若様、聞いていらっしゃいますか。」
不満ではなく、苛立ちでもなく、確認でしか無い言葉にハッとする。
「ああ、で、なんだ?」
その反応をもって初めて彼女は呆れたように確からしく溜息を吐いた。
無論人形なので呼吸などしていないのだが。
「メラメラの実が、見つかりましたよ。」
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