鬼滅の刃
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目の前に広がる光景に煉獄はその開き切った瞳孔をさらに見開いた。
甘露寺は宇髄に抱きかかえられた女性が光り輝くように感じられ、更にはそれを取り返そうと割って入る不死川の様子に心を戦慄かせた。
ああ、なんてことなの、任務終わりに鬼かもしれない女性の見極めをと言われてきただけなのにこんな可愛らしい女性が柱の2人に取り合われている様を見ることが出来るなんて、なんて素敵なのときめくわ。
しかしその甘露寺の思考は煉獄の発した言葉によって強制的に静止させられた。
「なんと!
柱ともあろう者が寄ってたかって彼女に無体を働くとは!」
無体?
甘露寺は改めて目の前の光景を見た。
確かに宇髄さんは彼女を抱きかかえている、彼女は身を委ねている。
それが気に入らないというように不死川さんがその間に割って入ろうとしている。
変わりない。
きゅん、と改めてときめく。
無体、とは考えられないがどうやら煉獄さんにはそう見えているようだ。
表情を窺おうと横を見ようとしたが、甘露時にはそれが叶わなかった。
部屋の空気が一変し、殺気とも取れるようなものに変わっている。
肌にビリビリとした感触が走り、同時に顔が上げられないほどの重みが伝わってくる。
煉獄さんが、怒っている。
「さあ、その手を離せ!風柱不死川実弥、音柱宇髄天元!」
渋々、といった体で宇髄は牡丹を解放した。
よろめく牡丹に不死川は手を出したがそれさえも煉獄に見咎められ、おとなしくそこに座り直す。
解放されたことに安堵しつつ、牡丹は今入ってきた2人を真っ直ぐに見た。
先ほど宇髄が入ってきたときも思ったのだが、こちらの声の大きな男性はさらに派手である。
しかも服装は今まで何度か見た鬼殺隊隊員とさほど変わらないのに本人が派手だ。
獅子のように棚引き輝く金の髪、赤く燃えるような毛先、何より刺さりそうなその眼光がまるで鷹のようだ。
その横には可愛らしい女性が座っているがこちらも、変わった髪色ではあるものの、彼女の雰囲気によく合っていて愛らしい。がしかし不死川さんと同じで前をはだけさせている。
正直目のやり場に困るがきっと彼と同じで柱の人はこういう着方とか決まっているのだろう。
こんなに恐縮している大人しい子が自分の希望でこういう格好をしているとも思えないし。
牡丹は密かに自分を納得させた。
改めて金の髪の男を見る。
瞳孔の開き切った目は相変わらずこちらから視線を外していない。
観察するのでもなく、ただ、真っ直ぐに見る目にいささか、いやかなり居心地が悪い。
しかも先ほどまでとは違い、空気が重い、痛いくらいにピリピリしている。
上官でもなさそうなのに、なんだこの人は。
「名乗りもせずに失敬した。
私は炎柱、煉獄杏寿郎という。君の名前を教えて欲しい。」
言葉が柔らかくなったが相変わらず眼光は厳しい。
痛い、とても痛い。
「牡丹、吉野牡丹と申します。」
名乗り終えて徐に頭を下げる。三つ指ついて、きちんと挨拶を行うのは実に久方ぶりだった。
「吉野?平坂、では無かったか?」
牡丹は顔をあげた。先ほどまで眼光鋭く、逆に無表情だった男が動揺している。
「いえ、それは、平坂はその、旧姓、です。」
旧姓、といっていいかは分からなかった。
嫁入りの時父は非常に切羽詰まった様子だった。
早くお前を平坂から出してやりたい。
何度もそう言っていた。
あの時はついぞまとまらぬ縁談への愚痴と思っていたが、そうでは無かったのだろうか。
両親が亡くなった今、真相は分からない。
離縁されたのだから姓を戻しても構わないのだろうが、なんとなくそのまま名乗っている。
あの男に未練があるわけではない、それだけは断言できる。
「そうか、そうだったな。……すまない、失礼なことを言った。」
牡丹は首を傾げた。この人は、何か知っている?
「では別のことを聞こう。君は鬼無辻無惨を知っているか。」
「キブツジムザン……?それは、何なのですか?」
また部屋に緊張感が走った。
ここにいる皆は知っているものらしい。
牡丹はなんとか思い出そうと口の中でその言葉を繰り返す。
キブツジムザン、キブツジムザン、だめだ、分からない。
「生憎私には心当たりがないようです。
世事に疎くて申し訳ありません。皆が知っているものなのでしょうか?」
「いや、知らないのであればそれで良い。何か知っていればと思っただけだ。」
俺の確認はこれで良いな?と煉獄は皆に声をかける。
何やら呪文のような言葉ではあるが、これも確認の一つだったらしい。
知らぬうちに試されたことに幾らか気分が優れない。
それになんだか疲れてしまった。とても……眠い。
意識がゆらゆらと混濁しそうになった時、とんでもない言葉が耳に飛び込んできた。
「では鬼でないこともわかった事だ。君の面倒は全て俺がみよう!
俺の嫁になってくれないか!」
きゃーと甘露寺が甲高い悲鳴を上げる。
不死川と宇髄はギョッとして煉獄の顔を見た。
どう見てもいつも通りの煉獄であった。
こいつ、まるで世間話の続きのように、立て板に水のようにするすると婚姻の申し込みをしやがった!
宇髄は何事か言いたげな不死川を押しとどめる。
ギラリと睨め付ける不死川をよそに続けて牡丹を見ればなんということか今にも眠りに落ちそうである。これはこれでどうかと思う。
しかしそれでも赤く艶やかな唇は言葉を吐いた。
「謹んで、お断りいたします。」
そして今度こそ彼女は意識を手放した。
甘露寺は宇髄に抱きかかえられた女性が光り輝くように感じられ、更にはそれを取り返そうと割って入る不死川の様子に心を戦慄かせた。
ああ、なんてことなの、任務終わりに鬼かもしれない女性の見極めをと言われてきただけなのにこんな可愛らしい女性が柱の2人に取り合われている様を見ることが出来るなんて、なんて素敵なのときめくわ。
しかしその甘露寺の思考は煉獄の発した言葉によって強制的に静止させられた。
「なんと!
柱ともあろう者が寄ってたかって彼女に無体を働くとは!」
無体?
甘露寺は改めて目の前の光景を見た。
確かに宇髄さんは彼女を抱きかかえている、彼女は身を委ねている。
それが気に入らないというように不死川さんがその間に割って入ろうとしている。
変わりない。
きゅん、と改めてときめく。
無体、とは考えられないがどうやら煉獄さんにはそう見えているようだ。
表情を窺おうと横を見ようとしたが、甘露時にはそれが叶わなかった。
部屋の空気が一変し、殺気とも取れるようなものに変わっている。
肌にビリビリとした感触が走り、同時に顔が上げられないほどの重みが伝わってくる。
煉獄さんが、怒っている。
「さあ、その手を離せ!風柱不死川実弥、音柱宇髄天元!」
渋々、といった体で宇髄は牡丹を解放した。
よろめく牡丹に不死川は手を出したがそれさえも煉獄に見咎められ、おとなしくそこに座り直す。
解放されたことに安堵しつつ、牡丹は今入ってきた2人を真っ直ぐに見た。
先ほど宇髄が入ってきたときも思ったのだが、こちらの声の大きな男性はさらに派手である。
しかも服装は今まで何度か見た鬼殺隊隊員とさほど変わらないのに本人が派手だ。
獅子のように棚引き輝く金の髪、赤く燃えるような毛先、何より刺さりそうなその眼光がまるで鷹のようだ。
その横には可愛らしい女性が座っているがこちらも、変わった髪色ではあるものの、彼女の雰囲気によく合っていて愛らしい。がしかし不死川さんと同じで前をはだけさせている。
正直目のやり場に困るがきっと彼と同じで柱の人はこういう着方とか決まっているのだろう。
こんなに恐縮している大人しい子が自分の希望でこういう格好をしているとも思えないし。
牡丹は密かに自分を納得させた。
改めて金の髪の男を見る。
瞳孔の開き切った目は相変わらずこちらから視線を外していない。
観察するのでもなく、ただ、真っ直ぐに見る目にいささか、いやかなり居心地が悪い。
しかも先ほどまでとは違い、空気が重い、痛いくらいにピリピリしている。
上官でもなさそうなのに、なんだこの人は。
「名乗りもせずに失敬した。
私は炎柱、煉獄杏寿郎という。君の名前を教えて欲しい。」
言葉が柔らかくなったが相変わらず眼光は厳しい。
痛い、とても痛い。
「牡丹、吉野牡丹と申します。」
名乗り終えて徐に頭を下げる。三つ指ついて、きちんと挨拶を行うのは実に久方ぶりだった。
「吉野?平坂、では無かったか?」
牡丹は顔をあげた。先ほどまで眼光鋭く、逆に無表情だった男が動揺している。
「いえ、それは、平坂はその、旧姓、です。」
旧姓、といっていいかは分からなかった。
嫁入りの時父は非常に切羽詰まった様子だった。
早くお前を平坂から出してやりたい。
何度もそう言っていた。
あの時はついぞまとまらぬ縁談への愚痴と思っていたが、そうでは無かったのだろうか。
両親が亡くなった今、真相は分からない。
離縁されたのだから姓を戻しても構わないのだろうが、なんとなくそのまま名乗っている。
あの男に未練があるわけではない、それだけは断言できる。
「そうか、そうだったな。……すまない、失礼なことを言った。」
牡丹は首を傾げた。この人は、何か知っている?
「では別のことを聞こう。君は鬼無辻無惨を知っているか。」
「キブツジムザン……?それは、何なのですか?」
また部屋に緊張感が走った。
ここにいる皆は知っているものらしい。
牡丹はなんとか思い出そうと口の中でその言葉を繰り返す。
キブツジムザン、キブツジムザン、だめだ、分からない。
「生憎私には心当たりがないようです。
世事に疎くて申し訳ありません。皆が知っているものなのでしょうか?」
「いや、知らないのであればそれで良い。何か知っていればと思っただけだ。」
俺の確認はこれで良いな?と煉獄は皆に声をかける。
何やら呪文のような言葉ではあるが、これも確認の一つだったらしい。
知らぬうちに試されたことに幾らか気分が優れない。
それになんだか疲れてしまった。とても……眠い。
意識がゆらゆらと混濁しそうになった時、とんでもない言葉が耳に飛び込んできた。
「では鬼でないこともわかった事だ。君の面倒は全て俺がみよう!
俺の嫁になってくれないか!」
きゃーと甘露寺が甲高い悲鳴を上げる。
不死川と宇髄はギョッとして煉獄の顔を見た。
どう見てもいつも通りの煉獄であった。
こいつ、まるで世間話の続きのように、立て板に水のようにするすると婚姻の申し込みをしやがった!
宇髄は何事か言いたげな不死川を押しとどめる。
ギラリと睨め付ける不死川をよそに続けて牡丹を見ればなんということか今にも眠りに落ちそうである。これはこれでどうかと思う。
しかしそれでも赤く艶やかな唇は言葉を吐いた。
「謹んで、お断りいたします。」
そして今度こそ彼女は意識を手放した。