Undertale +AU
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その日は初夏にも関わらずひどく暑かった。
昼間からジリジリと湿度が上がってはいたが、それでも魔法で調節された部屋は快適だ。
プレイヤーはいつも通り自室で眠りについた。
だというのに夜中になってプレイヤーは茹だるような熱気に目を覚ました。
暑い。
温度ではない。ひどく水臭い匂いがする。
その時だった。
部屋の窓がひとりでに開いた。
それと共に爽やかな風が肌をくすぐる。
窓には見慣れた影が一つ。
月光を背にして表情はよく見えない。
こちらをじっと見ているのに一言も発しない彼を不審に思いつつ、プレイヤーはその影に声をかけた。
「サンズ?」
影はピクリと動いた。
「なあ。」
何だろう。サンズには違いないのに何だか違和感が拭えない。
プレイヤーは言葉の続きを待った。
「オイラと一緒にうまいものを食いにいかないか?」
「?……イイよ?」
プレイヤーはOKした。
彼に食事に誘われたのは何度かある。
しかしこんな時間にグリルビーズは開いているのだろうか。
それに、
「パピルスは?一緒じゃないの?」
うまいもの、を食べようというのだ。サンズがパピルスを誘わないわけはない。
サンズの影がピクリと動いたのが分かった。
どうしたのだろう?何か言い淀んでいる。躊躇って、いる?
「……いや、今夜のリアルスターは夢の中さ。」
それもそうだ。パピルスは夜寝るのが早いしとても寝付きがいい。
こんな夜中に起きているはずもない。
「だから、今日は二人きりだ。
さあ、夜のデートと洒落込もうぜ。」
サンズが珍しくわざわざデート、と言ったのを少し驚いているその隙にサンズはプレイヤーの手を取り、窓へと身を乗り出した。
あ、と声を発する間もなくサンズの近道の感触がして、
着いたのはウォーターフェル、の入り口だった。
「ここに何かあるの?」
「ああ、しばらく歩くぜ?」
「直接『そこ』に行けばいいんじゃないの?」
近道を使ったのだ、わざわざ手前に来ることはないだろうに。
ましてやサンズは体力がない。
怠けんボーンなスケルトンにしては珍しい。
「あーそうだな。」
ようやく顔が見えたサンズが頬を掻く。
「お前さんと一緒に歩きたかったのさ。」
そう言って彼はプレイヤーの手を取って歩き出した。
きゅ、とソウルが鳴る音がした。
どうしたんだろう、今日のサンズはらしくないことばかり、な気がする。
何だかすごくドキドキする。
他愛のない話をしながら歩を進める。
道中のエコーフラワーはいつもと違ってとても静かだ。
何か言っているのに何を言っているかわからない。
ただサンズの穏やかな声だけが耳をくすぐった。
ウォーターフェルは部屋よりはマシだったがやはり蒸し暑い。
頭がぼうっとする。
中程に来るとサンズは行き止まりの水辺に沿って足場の種を流した。
以前来たことがある、ベンチの場所だ。
あの時は確かキッシュを拾ったんだっけ。
サンズはプレイヤーをベンチに座らせると水に手を突っ込んで網かごのようなものを持ち上げた。
中にはライチのような茶色い実がいくつか入っている。
「オイラここにこれを冷しておいたのさ。」
手渡されたがどうやって剥いたら?いいかわからない。
そもそも剥くんだろうか、それとも齧り付くんだろうか。
触った表面はゴツゴツとしていて、食べられそうにないが。
困っているとサンズがそっと手を差し出してそれをぱかりと割った。
案外簡単に割れるらしい。
その中には黄色がかった実が入っていた。
サンズの指がそれを掬って無言のままプレイヤーの口元に差し出す。
プレイヤーはそっとそれをサンズの指ごと咥えて口の中に入れた。
サンズはびくりと身を震わせたがプレイヤーは口の中のそれに夢中で気付かなかった。
爽やかな酸味と甘い香りが鼻腔をくすぐる。
噛むとしゃくりと音がして、繊維質のようではあるが口の中で容易にしっとりと解れていく。
ああ、なんて甘くて美味しいんだろう!
目を見開いて頬を緩ませるプレイヤーに気を良くしたのか、サンズが次々とそれを剥いてはプレイヤーに差し出す。
プレイヤーは夢中になってそれを味わった。
サンズも途中でいくつか頬張っていた。
何度も差し入れられては口から引き抜かれる彼の指は滑らかで、以前表敬訪問した際にパーティで使われたカトラリーを思い起こした。
確か、ボーンチャイナ、というんだったか。
その国の工芸品で動物の骨を砕いてその滑らかさと白さを引き出していると聞いたがその口当たりと美しさが気に入って、帰り際に1本だけ買い求めた。
それ以来スプーンはこればかりを使っている。
ふ、と笑いをこぼしたところで彼は手を止めた。
ようやく一息つく。
「美味かったか?……まあ、聞くまでもないか。」
プレイヤーは口の中の余韻を逃したくなかったのでただ黙って首を縦にブンブン振った。
「これをアンタに食べさせたかったんだ。気に入ってくれて嬉しいよ。」
ああ、また食べたいくらい美味しかった。
「これでアンタも、」
サンズの声が遠くなる。
体の力が抜けて、瞼が重い。
あれ、サンズ、私、からだが
目を閉じているのにサンズが笑っている気がする。
いつものような笑い方じゃなくて、何だか心底おかしそうに、
高らかに、声が、
サンズの手が私を支えている。
少し冷たくてサラサラしていて、そしてまるで抱きしめるかのようにしっかりと。
ひどく安心する。
それからさっきまであの果実を食べていた口に何か冷たくて硬いものが当たる感じがして、ふわりとあの果実の香りがした。
それを最後にプレイヤーは完全に意識を手放した。
目を覚ますとそこは自分のベッドの上だった。
窓は閉まっていて、当然のことながらサンズはいない。
夢だった?
思わず口に手をやると確かにそこには感触が残っている。
今度サンズに会ったら聞いてみよう。
あれは一体何だったのか。
昼間からジリジリと湿度が上がってはいたが、それでも魔法で調節された部屋は快適だ。
プレイヤーはいつも通り自室で眠りについた。
だというのに夜中になってプレイヤーは茹だるような熱気に目を覚ました。
暑い。
温度ではない。ひどく水臭い匂いがする。
その時だった。
部屋の窓がひとりでに開いた。
それと共に爽やかな風が肌をくすぐる。
窓には見慣れた影が一つ。
月光を背にして表情はよく見えない。
こちらをじっと見ているのに一言も発しない彼を不審に思いつつ、プレイヤーはその影に声をかけた。
「サンズ?」
影はピクリと動いた。
「なあ。」
何だろう。サンズには違いないのに何だか違和感が拭えない。
プレイヤーは言葉の続きを待った。
「オイラと一緒にうまいものを食いにいかないか?」
「?……イイよ?」
プレイヤーはOKした。
彼に食事に誘われたのは何度かある。
しかしこんな時間にグリルビーズは開いているのだろうか。
それに、
「パピルスは?一緒じゃないの?」
うまいもの、を食べようというのだ。サンズがパピルスを誘わないわけはない。
サンズの影がピクリと動いたのが分かった。
どうしたのだろう?何か言い淀んでいる。躊躇って、いる?
「……いや、今夜のリアルスターは夢の中さ。」
それもそうだ。パピルスは夜寝るのが早いしとても寝付きがいい。
こんな夜中に起きているはずもない。
「だから、今日は二人きりだ。
さあ、夜のデートと洒落込もうぜ。」
サンズが珍しくわざわざデート、と言ったのを少し驚いているその隙にサンズはプレイヤーの手を取り、窓へと身を乗り出した。
あ、と声を発する間もなくサンズの近道の感触がして、
着いたのはウォーターフェル、の入り口だった。
「ここに何かあるの?」
「ああ、しばらく歩くぜ?」
「直接『そこ』に行けばいいんじゃないの?」
近道を使ったのだ、わざわざ手前に来ることはないだろうに。
ましてやサンズは体力がない。
怠けんボーンなスケルトンにしては珍しい。
「あーそうだな。」
ようやく顔が見えたサンズが頬を掻く。
「お前さんと一緒に歩きたかったのさ。」
そう言って彼はプレイヤーの手を取って歩き出した。
きゅ、とソウルが鳴る音がした。
どうしたんだろう、今日のサンズはらしくないことばかり、な気がする。
何だかすごくドキドキする。
他愛のない話をしながら歩を進める。
道中のエコーフラワーはいつもと違ってとても静かだ。
何か言っているのに何を言っているかわからない。
ただサンズの穏やかな声だけが耳をくすぐった。
ウォーターフェルは部屋よりはマシだったがやはり蒸し暑い。
頭がぼうっとする。
中程に来るとサンズは行き止まりの水辺に沿って足場の種を流した。
以前来たことがある、ベンチの場所だ。
あの時は確かキッシュを拾ったんだっけ。
サンズはプレイヤーをベンチに座らせると水に手を突っ込んで網かごのようなものを持ち上げた。
中にはライチのような茶色い実がいくつか入っている。
「オイラここにこれを冷しておいたのさ。」
手渡されたがどうやって剥いたら?いいかわからない。
そもそも剥くんだろうか、それとも齧り付くんだろうか。
触った表面はゴツゴツとしていて、食べられそうにないが。
困っているとサンズがそっと手を差し出してそれをぱかりと割った。
案外簡単に割れるらしい。
その中には黄色がかった実が入っていた。
サンズの指がそれを掬って無言のままプレイヤーの口元に差し出す。
プレイヤーはそっとそれをサンズの指ごと咥えて口の中に入れた。
サンズはびくりと身を震わせたがプレイヤーは口の中のそれに夢中で気付かなかった。
爽やかな酸味と甘い香りが鼻腔をくすぐる。
噛むとしゃくりと音がして、繊維質のようではあるが口の中で容易にしっとりと解れていく。
ああ、なんて甘くて美味しいんだろう!
目を見開いて頬を緩ませるプレイヤーに気を良くしたのか、サンズが次々とそれを剥いてはプレイヤーに差し出す。
プレイヤーは夢中になってそれを味わった。
サンズも途中でいくつか頬張っていた。
何度も差し入れられては口から引き抜かれる彼の指は滑らかで、以前表敬訪問した際にパーティで使われたカトラリーを思い起こした。
確か、ボーンチャイナ、というんだったか。
その国の工芸品で動物の骨を砕いてその滑らかさと白さを引き出していると聞いたがその口当たりと美しさが気に入って、帰り際に1本だけ買い求めた。
それ以来スプーンはこればかりを使っている。
ふ、と笑いをこぼしたところで彼は手を止めた。
ようやく一息つく。
「美味かったか?……まあ、聞くまでもないか。」
プレイヤーは口の中の余韻を逃したくなかったのでただ黙って首を縦にブンブン振った。
「これをアンタに食べさせたかったんだ。気に入ってくれて嬉しいよ。」
ああ、また食べたいくらい美味しかった。
「これでアンタも、」
サンズの声が遠くなる。
体の力が抜けて、瞼が重い。
あれ、サンズ、私、からだが
目を閉じているのにサンズが笑っている気がする。
いつものような笑い方じゃなくて、何だか心底おかしそうに、
高らかに、声が、
サンズの手が私を支えている。
少し冷たくてサラサラしていて、そしてまるで抱きしめるかのようにしっかりと。
ひどく安心する。
それからさっきまであの果実を食べていた口に何か冷たくて硬いものが当たる感じがして、ふわりとあの果実の香りがした。
それを最後にプレイヤーは完全に意識を手放した。
目を覚ますとそこは自分のベッドの上だった。
窓は閉まっていて、当然のことながらサンズはいない。
夢だった?
思わず口に手をやると確かにそこには感触が残っている。
今度サンズに会ったら聞いてみよう。
あれは一体何だったのか。