Undertale +AU
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スケルトンはキスが出来ないとは何だったのか。
プレイヤーはたった今自分にキスした目の前のスケルトンを見つめた。
彼が無理矢理にしたわけではない。する直前に律儀にも自身に承諾を取り、よく分からないまま曖昧な返事をしたのは自分だった。
でも、自分たちはこんなキスをする間柄では無かった筈だ。
理由を問おうとして息を呑む。
だって目の前の彼は今までに見たことのないような表情をしていたから。
嫌じゃなかった。それどころかもっと、
そんな思いを抱え、プレイヤーは彼をじっと見つめた。
パピルスの場合
スケルトンはクチビルがないからキスは出来ない
そう言ったのは確かに自分だった。
ニンゲンを捕まえようとした時に口説かれて、柄にもなく舞い上がって、デートに至った結果、そう口にしたのは確かに自分だった。
口説かれている間、自分には髪があり、耳があり、肌があるような気さえしていた。
まるで人間になったつもりだった。
オレ様スケルトンなのに。
デートの途中でパスタを差し出し、ニンゲンが食べてくれた時、喜びは頂点に達した。
でもじゃあ次は、と図書館で借りたデートマニュアルを思い出し、オレ様は気付いてしまったのだ。
オレ様、スケルトンだ。唇が、ない。
だからこれ以上彼女とそういうことは出来ない。
オレ様は失意のまま、ニンゲンにそう告げるしかなかった。
あっけに取られたような彼女の顔を今でも覚えている。
彼女をその気にさせておいて振るなんて、オレ様は悪いモンスターだ。
でもその後プレイヤーと親友になって、地上に出てもっと仲良くなって、とても嬉しかったけど、きっとキスをする関係にはならないだろうと、そう思っていた。
だけどある日、サンズと笑い合うプレイヤーがとても眩しく見えて、サンズから頬にリップ音つきのキスを受けてくすぐったそうに身を捩る彼女を見て、自身に衝撃が走った。
オレ様が思い違いをしていたことに気が付いたのだ。
そういえばサンズはトロンボーンが吹ける。
あの楽器は唇を震わせないと吹けない楽器なんだそうだ。
そうなるとスケルトンにも唇が「ある」ことになる。
人間と全く同じというわけではないだろうが、「ある」のだ。
そういえばサンズには舌もある。
スケルトンには必要がない唇と舌をサンズはなぜ持っているのだろう。
それはもしかしたら先ほど目にした光景に答えがあるのかも知れなかった。
でもいくら考えても答えが出ず、プレイヤーの横顔を見ていたら先程の言葉が口をついて出てしまった。
キスをしてもよいか?
そう聞いてプレイヤーが いいよ、と少なくとも肯定の返事をしたので夢中でそのくちびると自分のそれを、……正確には歯をくっつけた。
彼女はえ?という言葉を漏らして目を丸くしたままこちらを見ている。
少し開いた彼女の唇が赤く濡れている。
ああ、もっと、もっとしたいんだが、どうすればいい?
サンズの場合
キスしてもいいか?
そう聞いたのはオレだった。
プレイヤーはテレビに夢中になっていて、こちらのいうことをあまり聞いていないのは承知の上だった。
地下に降りた彼女をずっと観察してきて、何度も他のモンスターを口説くのを見た。
もちろん自分の弟の時も。
舞い上がったパピルスが耳の後ろにボーンコロン、トマトソース、METAブランドのイケメンクリーム、アニメパウダー、イケメンジュース、モテモテスライム、ビューティヨーグルトを塗ったことは確認した。
彼女がほねこうげきを必死で避け……切れずに捕まって横抱きでうちのガレージに寝かされるところまでしっかりと見た。
三回目には友達になって、あまつさえデートして、一時はどうなるかと思ったが二人は恋人にはならずに終わった。
彼女も本気ではなかったのだろうと思っていたが、意外と落ち込んでいる姿に罪悪感を覚え、居た堪れず、まあ、オイラは兄貴だし?と思って罪滅ぼしのつもりでグリルビーズに誘った。
その後も何度かモンスターと遭遇していたが一度も武器を振り上げることは無かった。
何度かロードの気配を感じたが自身でロードしたと言うよりはおそらく彼女が“死”を迎えたので強制的に巻き戻ってしまったのだろうと感じられた。
プレイヤーはただひたすら前を向いていた。
その姿を審判する立場だったオレは、ただひたすら観察した。
その時は気付いていなかったが、気付きたくなかったがもう目が離せなかった。
地上に出て、他の人間を知る機会があったが、プレイヤーのような人間ばかりでは無かった。
たしかに彼女はトクベツだった。
時間が巻き戻ることはなくなり、少しずつではあるが地上でもモンスターが認められるようになって、それでも彼女は変わらなかった。
パピルスはマスコットとして、そして料理(パスタ)研究家として忙しくなり、腕を上げ、オレもモンスターの持つエネルギー研究について請われて親交に一役買って出るようになった。
親善大使としてその小さな身体を人間社会から俺たちを守る盾にして頑張るプレイヤーの役に立ちたかった。
オレたちは前よりもずっと仲良くなった。
大事な友達だった。
頬に親愛のキスをしたことは何度かある。
リップ音を立てているのにプレイヤーは疑問に思った風ではなかった。
くすぐったそうに身を捩り、笑っていた。
嫌がられてはいないことに気を良くして、許されるあらゆる場所にキスをした。
頬だけではなく、髪におでこにまぶたに鼻に。
オレはといえば彼女の唇から目が離せなかったくせにな。
だから今、初めてプレイヤーの唇にキスをした。
目を丸くした彼女は、今までのキスの意味が単なる友人のそれではないことに気付いたのだろう。
さあ、どうしてくれる?
fellサンズの場合
雪の上で、ソファの上で、ボスの料理を手伝っている後ろから、プレイヤーのつむじはよく見えた。
オレはそこにキスをするのが好きだった。
最初こそ歯列をぶつけて彼女に嫌がられ、逃げ回られていたのも今ではいい思い出だ。
ついにはリップ音を鳴らせるようになって、プレイヤーが怪訝そうな顔でこちらを見下ろしたのを覚えている。
だが今回のは予想外だったのだろう。
あの時よりももっと胡乱な目でこちらを見ている。
オレはニヤリと口元を歪めた。
なあ、もっとイイだろう?
1歩近づくとプレイヤーはさらに1歩後ずさった。
友人のキスじゃない、それがようやく分かったか。
おや?オレが初めてを奪っちまったか?
ニヤニヤしながらそう言うと、意外なことにプレイヤーは照れたり怒ったりすることなく、考え込みだした。
初めて……じゃねえってことか。
オレは歯噛みした。
相手は誰だ。ボス……じゃあねえな。
なんせこの間アルフィーから押し付けられた地上の恋愛本をオレが読んでいたら、何も言わずにチラチラとこちらを見るものだから、笑いを抑え切れずにわざとリビングに置いてやったら夢中で手にとって、それがまあ、前半はともかく後半はオトナの本だったものだからそれまで夢中になって読み漁っていたのをそう言うシーンで放り投げるくらい奥手だもんな。
あっちのパピルスでもないだろうから、となると……ああ、オレ、か?
オレは何だか悔しくなって、もっとしてやりたくなった。
そんな“オレ”のことなんざ、上書きしてやる。
fellパピルス(ボス・エッジ)の場合
プレイヤーが怯えているように見える。
なぜだ。
我輩の気持ちも知っているはずだ。
プレイヤーが人間であることが他のモンスターにばれて、一気にニューホームを共に駆け抜け、バリアを壊して地上に出た。
その時はもう、モンスターは今まで経験したことのないプレイヤーの奇行を受けていて、皆プレイヤーに骨抜きだったから、我輩は誰にも抜け駆けされるわけにはいかなかった。
光り輝く満月が辺りを照らす中、地上の人間がほとんど滅んでいるのを知って落ち込むプレイヤーの手を取った。
我輩はプレイヤーの前に跪き、その甲に口付け、プレイヤーと未来永劫共にある事を誓ったのだ。
なかなか進展しない間柄に苛立ちを覚えていたことは隠せないが、それでも紳士として承諾は得たはずだ。
いーよと言う気を許した言葉にどれだけ心が踊ったか知れない。
何を間違えてしまったのだろう。
プレイヤーとの関係が進展しないのは我輩が人間の儀礼や作法に則っていないかも知れないと思い、恥を忍んで愚兄に借りた人間用の本には破廉恥なことしか載っていなかった。
……いや、全部というわけでは無かったか。
まず気持ちを打ち明け、愛の告白をし、交際の承諾を。
ん?
我輩、気持ちを打ち明けたのはグリルビーズで飲んで酔っている時ではなかったか。
エッジは血の気が引く思いがした。スケルトンだから血はないはずだが。
いやしかし!愛の告白は地上に出た時にきちんとしたはずだ。
そして交際の承諾は、承諾は?
プレイヤーはあの時ありがとうとは言った。
だが!お付き合いしますとは言っていないではないか。
なんという失態、このパピルス、一生の不覚。
穴があったら入りたい!
その時彼は見ていなかった。
顔を覆い、身を捩っている彼の向かい側で、ジリジリと距離を詰める、
プレイヤーの姿を。
プレイヤーはたった今自分にキスした目の前のスケルトンを見つめた。
彼が無理矢理にしたわけではない。する直前に律儀にも自身に承諾を取り、よく分からないまま曖昧な返事をしたのは自分だった。
でも、自分たちはこんなキスをする間柄では無かった筈だ。
理由を問おうとして息を呑む。
だって目の前の彼は今までに見たことのないような表情をしていたから。
嫌じゃなかった。それどころかもっと、
そんな思いを抱え、プレイヤーは彼をじっと見つめた。
パピルスの場合
スケルトンはクチビルがないからキスは出来ない
そう言ったのは確かに自分だった。
ニンゲンを捕まえようとした時に口説かれて、柄にもなく舞い上がって、デートに至った結果、そう口にしたのは確かに自分だった。
口説かれている間、自分には髪があり、耳があり、肌があるような気さえしていた。
まるで人間になったつもりだった。
オレ様スケルトンなのに。
デートの途中でパスタを差し出し、ニンゲンが食べてくれた時、喜びは頂点に達した。
でもじゃあ次は、と図書館で借りたデートマニュアルを思い出し、オレ様は気付いてしまったのだ。
オレ様、スケルトンだ。唇が、ない。
だからこれ以上彼女とそういうことは出来ない。
オレ様は失意のまま、ニンゲンにそう告げるしかなかった。
あっけに取られたような彼女の顔を今でも覚えている。
彼女をその気にさせておいて振るなんて、オレ様は悪いモンスターだ。
でもその後プレイヤーと親友になって、地上に出てもっと仲良くなって、とても嬉しかったけど、きっとキスをする関係にはならないだろうと、そう思っていた。
だけどある日、サンズと笑い合うプレイヤーがとても眩しく見えて、サンズから頬にリップ音つきのキスを受けてくすぐったそうに身を捩る彼女を見て、自身に衝撃が走った。
オレ様が思い違いをしていたことに気が付いたのだ。
そういえばサンズはトロンボーンが吹ける。
あの楽器は唇を震わせないと吹けない楽器なんだそうだ。
そうなるとスケルトンにも唇が「ある」ことになる。
人間と全く同じというわけではないだろうが、「ある」のだ。
そういえばサンズには舌もある。
スケルトンには必要がない唇と舌をサンズはなぜ持っているのだろう。
それはもしかしたら先ほど目にした光景に答えがあるのかも知れなかった。
でもいくら考えても答えが出ず、プレイヤーの横顔を見ていたら先程の言葉が口をついて出てしまった。
キスをしてもよいか?
そう聞いてプレイヤーが いいよ、と少なくとも肯定の返事をしたので夢中でそのくちびると自分のそれを、……正確には歯をくっつけた。
彼女はえ?という言葉を漏らして目を丸くしたままこちらを見ている。
少し開いた彼女の唇が赤く濡れている。
ああ、もっと、もっとしたいんだが、どうすればいい?
サンズの場合
キスしてもいいか?
そう聞いたのはオレだった。
プレイヤーはテレビに夢中になっていて、こちらのいうことをあまり聞いていないのは承知の上だった。
地下に降りた彼女をずっと観察してきて、何度も他のモンスターを口説くのを見た。
もちろん自分の弟の時も。
舞い上がったパピルスが耳の後ろにボーンコロン、トマトソース、METAブランドのイケメンクリーム、アニメパウダー、イケメンジュース、モテモテスライム、ビューティヨーグルトを塗ったことは確認した。
彼女がほねこうげきを必死で避け……切れずに捕まって横抱きでうちのガレージに寝かされるところまでしっかりと見た。
三回目には友達になって、あまつさえデートして、一時はどうなるかと思ったが二人は恋人にはならずに終わった。
彼女も本気ではなかったのだろうと思っていたが、意外と落ち込んでいる姿に罪悪感を覚え、居た堪れず、まあ、オイラは兄貴だし?と思って罪滅ぼしのつもりでグリルビーズに誘った。
その後も何度かモンスターと遭遇していたが一度も武器を振り上げることは無かった。
何度かロードの気配を感じたが自身でロードしたと言うよりはおそらく彼女が“死”を迎えたので強制的に巻き戻ってしまったのだろうと感じられた。
プレイヤーはただひたすら前を向いていた。
その姿を審判する立場だったオレは、ただひたすら観察した。
その時は気付いていなかったが、気付きたくなかったがもう目が離せなかった。
地上に出て、他の人間を知る機会があったが、プレイヤーのような人間ばかりでは無かった。
たしかに彼女はトクベツだった。
時間が巻き戻ることはなくなり、少しずつではあるが地上でもモンスターが認められるようになって、それでも彼女は変わらなかった。
パピルスはマスコットとして、そして料理(パスタ)研究家として忙しくなり、腕を上げ、オレもモンスターの持つエネルギー研究について請われて親交に一役買って出るようになった。
親善大使としてその小さな身体を人間社会から俺たちを守る盾にして頑張るプレイヤーの役に立ちたかった。
オレたちは前よりもずっと仲良くなった。
大事な友達だった。
頬に親愛のキスをしたことは何度かある。
リップ音を立てているのにプレイヤーは疑問に思った風ではなかった。
くすぐったそうに身を捩り、笑っていた。
嫌がられてはいないことに気を良くして、許されるあらゆる場所にキスをした。
頬だけではなく、髪におでこにまぶたに鼻に。
オレはといえば彼女の唇から目が離せなかったくせにな。
だから今、初めてプレイヤーの唇にキスをした。
目を丸くした彼女は、今までのキスの意味が単なる友人のそれではないことに気付いたのだろう。
さあ、どうしてくれる?
fellサンズの場合
雪の上で、ソファの上で、ボスの料理を手伝っている後ろから、プレイヤーのつむじはよく見えた。
オレはそこにキスをするのが好きだった。
最初こそ歯列をぶつけて彼女に嫌がられ、逃げ回られていたのも今ではいい思い出だ。
ついにはリップ音を鳴らせるようになって、プレイヤーが怪訝そうな顔でこちらを見下ろしたのを覚えている。
だが今回のは予想外だったのだろう。
あの時よりももっと胡乱な目でこちらを見ている。
オレはニヤリと口元を歪めた。
なあ、もっとイイだろう?
1歩近づくとプレイヤーはさらに1歩後ずさった。
友人のキスじゃない、それがようやく分かったか。
おや?オレが初めてを奪っちまったか?
ニヤニヤしながらそう言うと、意外なことにプレイヤーは照れたり怒ったりすることなく、考え込みだした。
初めて……じゃねえってことか。
オレは歯噛みした。
相手は誰だ。ボス……じゃあねえな。
なんせこの間アルフィーから押し付けられた地上の恋愛本をオレが読んでいたら、何も言わずにチラチラとこちらを見るものだから、笑いを抑え切れずにわざとリビングに置いてやったら夢中で手にとって、それがまあ、前半はともかく後半はオトナの本だったものだからそれまで夢中になって読み漁っていたのをそう言うシーンで放り投げるくらい奥手だもんな。
あっちのパピルスでもないだろうから、となると……ああ、オレ、か?
オレは何だか悔しくなって、もっとしてやりたくなった。
そんな“オレ”のことなんざ、上書きしてやる。
fellパピルス(ボス・エッジ)の場合
プレイヤーが怯えているように見える。
なぜだ。
我輩の気持ちも知っているはずだ。
プレイヤーが人間であることが他のモンスターにばれて、一気にニューホームを共に駆け抜け、バリアを壊して地上に出た。
その時はもう、モンスターは今まで経験したことのないプレイヤーの奇行を受けていて、皆プレイヤーに骨抜きだったから、我輩は誰にも抜け駆けされるわけにはいかなかった。
光り輝く満月が辺りを照らす中、地上の人間がほとんど滅んでいるのを知って落ち込むプレイヤーの手を取った。
我輩はプレイヤーの前に跪き、その甲に口付け、プレイヤーと未来永劫共にある事を誓ったのだ。
なかなか進展しない間柄に苛立ちを覚えていたことは隠せないが、それでも紳士として承諾は得たはずだ。
いーよと言う気を許した言葉にどれだけ心が踊ったか知れない。
何を間違えてしまったのだろう。
プレイヤーとの関係が進展しないのは我輩が人間の儀礼や作法に則っていないかも知れないと思い、恥を忍んで愚兄に借りた人間用の本には破廉恥なことしか載っていなかった。
……いや、全部というわけでは無かったか。
まず気持ちを打ち明け、愛の告白をし、交際の承諾を。
ん?
我輩、気持ちを打ち明けたのはグリルビーズで飲んで酔っている時ではなかったか。
エッジは血の気が引く思いがした。スケルトンだから血はないはずだが。
いやしかし!愛の告白は地上に出た時にきちんとしたはずだ。
そして交際の承諾は、承諾は?
プレイヤーはあの時ありがとうとは言った。
だが!お付き合いしますとは言っていないではないか。
なんという失態、このパピルス、一生の不覚。
穴があったら入りたい!
その時彼は見ていなかった。
顔を覆い、身を捩っている彼の向かい側で、ジリジリと距離を詰める、
プレイヤーの姿を。