Undertale +AU
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今日は良い日だ。
鳥は歌い、花は咲き乱れ、温泉に入るには最高の日だった。
しかしアンダインは目の前の男に対して烈火の如く怒りを顕にしている。
それはそうだろう、ここは女湯であり、自分のみならず、大事なパートナーとズッ友が共にいたのだから。
アンダインは乱入して来た男を見下ろしていた。
男はアンダインの魔法の槍でぐるぐる巻にされている。
アンダインは自身の槍を突き刺す以外に使ったことはない。
咄嗟に拘束で済ませたのは男がアンダインにとって旧知の間柄であり、戦闘の性質を互いに熟知していたからである。
大惨事とならなかったのは不幸中の幸いであった。
そしてアンダインは後ろにいる彼の兄……こちらを直視しないよう眼を背けつつもここから決して離れない男を睨みつけた。
相変わらずヘラヘラしていて感情が読めないやつだ。
しかしその視線の先には、先ほど倒れたフリスクがいた。
フリスクはある日行方不明になった。
皆が一生懸命に探したがこの世界のどこにもその痕跡が無かった。
最後に一緒にいたのはサンズだが彼が彼女を見失い、忽然と姿を消したのだ。
誘拐も考慮に入れ、緘口令を敷き、極秘に調査を進めていたがいなくなった時と同じようにふと、なんの前触れもなく皆の前に戻ってきたのだ。
いなくなった時と服装は違っていたし、その首筋と指に大きな怪我をしていた。
アンダインが悲鳴をあげたほどの酷い怪我だったが、周りのモンスターは冷静だった。
フリスクは何も覚えていなかった。
幸い命に別状はなかったがその傷があまりにも特殊だったせいでアルフィーとサンズが一生懸命に調べていたのだ。
戻ってきたからもフリスクは時折、何か空を見ては涙を流すようになり、理由を聞いても首を振って分からないと繰り返すようになった。
その心労を察して女王が我々4名とこの温泉宿に行くように指示した。
フリスクが何を気に病んでいたのかは分からない。
それでも彼女との付き合いが長い我々は彼女の癒しとなるはずだった。
まずは温泉に浸かろうと宿自慢の露天風呂に入ってすぐのことだ。
彼女の傷が目に入った。
発見された直後にはそれなりに派手だったが今ではほとんど分からない。
首筋と左手の薬指に誰かの歯形と魔法、そして少なくはないソウルの気配を帯びた傷だった。
誰かが彼女のソウルに食い込むほどの傷を負わせた。
しかもおそらくそれは、モンスター。
モンスターが彼女に危害を加えることは有り得ない。
しかし今、その傷跡はアンダインがよく知る者達のものと酷似していた。
「あいつらか?」
アンダインは問う。
フリスクは首を傾げてこちらを見ている。
「あいつらがお前にこんな、傷を?」
「違う!」
フリスクは即座に答えた。
「彼らはこんなこと、しない!」
それは本当だろう、しかし全部が本当とは思えなかった。
「だってその食い込んだソウルは何だ?
あいつらそのものではないか。
そんな傷、余程の強い想いを抱かねば、」
そこまで詰め寄ったところで、
フリスクが倒れた。
アンダインはチラリと先ほど倒れたフリスクとその手当てを終えたアルフィーに視線をやった。
まだ赤みはあるもののフリスクの顔色は落ち着いている。
アルフィーも驚いただろうにテキパキと処置をしてくれたおかげだろう。
アンダインは男……パピルスに視線を戻した。
フリスクが倒れた時、アンダインとアルフィーはその名前を呼んだ。
その直後、パピルスは垣根を飛び越えて女湯に飛び込んできたのだ。
「さて、言い逃れはあるか?」
聞くものが聞けばそれは死刑宣告のようだっただろう。
地の底に這うようなその声を物ともせず、パピルスは高らかに宣言した。
「プレイヤーが大変な時はオレ様がそばにいたいのだ!
いつでもどんな時も何よりも先に!
だから体が勝手に動いた!
決してやましい気持ちなど無い!」
確かにパピルスは素直で良いヤツだ。
その言葉に嘘偽りは微塵もないだろう。
……何故自分が最初に彼女のそばにいたいと思うのかは本人も分かっていないのだろうが。
アンダインはそっと溜息をついた
「で、一緒に飛び込んで来たサンズは?ん?」
今度は声音こそ柔らかいが胡乱な目で彼を見やった。
どうせ答えは分かっている。
「オレは……オイラはただ、パピルスを止めようと思って……。」
まあそれも本当だろう。
だがその如何にも見ましたバッチリ見ました目に焼き付けましたという隠し切れないニヤケ顔とホネなのに赤く?染まった顔は隠し切れていないがな!
アンダインは今度こそ深い、深〜い溜息をついた。
アルフィーは見た。
行方不明になっていたフリスクが帰って来た。
消えた時とは違う服を纏い、指や首筋に僅かな傷が付いていて、少しやつれたようにも見えるが命に別状はない。
余程動揺したのかアンダインが珍しく悲鳴を上げた。
一度懐に入れれば情の厚いアンダインのことだ、少しの傷も許せなかったのだろう。
アズゴア王も青ざめてオロオロしていた。
やはり「娘」についた傷は少しでも心配したのだろう。傷の手当てをせねばと二人でかなり狼狽えていた。
少し落ち着いてからフリスクに今までどこにいたか聞いても要領を得ない言葉ばかりだ。
サンズはポツリとこことは違う世界に行っていた、と言っていた。
異世界の存在を示すのは、その傷だという。
指と首筋の傷は見た目にはほとんどわからない程度のかすり傷だが、どうにも奇妙な点があった。
これが何故か、魔法の残り香のような物が残っているのだ。
彼女のソウルに食い込むように、痕を残すように、ソウルの一部を明け渡すようについた傷だった。
つまりは人間にできる事ではない。
要はモンスターというソウルと魔法で成り立っている存在でないとつけられない傷だった。
彼女に対してかなりの思い入れがあるモンスターが残した傷と言う仮説が成り立つ。
それを解明したのは、……サンズだった。
サンズは一人ぶつぶつと独り言を繰り返し、唐突に叫んだ。
「オレじゃない、クソッ、オレじゃない!」
その時彼の瞳がシアンの光を漏らしたのを見た。
彼が感情を顕にしたのを見たのはそれが初めてだった。
どうやら首筋の傷はオレであってオレではない誰かがつけたものらしい。
そして指の、しかもご丁寧に左手の薬指に付けられた傷はパピルスではないパピルスのつけたものらしい。
さて、この何もかも諦めた男はどう動くのだろう。
アルフィーは隣でため息をつく恋人を気遣いながらもちょっとだけ、ほんのちょっとだけ微笑んだ。
本日の部屋割は一応男女別に分かれているが、気を遣う性質の彼女のことである。私達のことを思ってきっと骨兄弟の部屋に行くことだろう。
アルフィーの妄想は止まらない。
鳥は歌い、花は咲き乱れ、温泉に入るには最高の日だった。
しかしアンダインは目の前の男に対して烈火の如く怒りを顕にしている。
それはそうだろう、ここは女湯であり、自分のみならず、大事なパートナーとズッ友が共にいたのだから。
アンダインは乱入して来た男を見下ろしていた。
男はアンダインの魔法の槍でぐるぐる巻にされている。
アンダインは自身の槍を突き刺す以外に使ったことはない。
咄嗟に拘束で済ませたのは男がアンダインにとって旧知の間柄であり、戦闘の性質を互いに熟知していたからである。
大惨事とならなかったのは不幸中の幸いであった。
そしてアンダインは後ろにいる彼の兄……こちらを直視しないよう眼を背けつつもここから決して離れない男を睨みつけた。
相変わらずヘラヘラしていて感情が読めないやつだ。
しかしその視線の先には、先ほど倒れたフリスクがいた。
フリスクはある日行方不明になった。
皆が一生懸命に探したがこの世界のどこにもその痕跡が無かった。
最後に一緒にいたのはサンズだが彼が彼女を見失い、忽然と姿を消したのだ。
誘拐も考慮に入れ、緘口令を敷き、極秘に調査を進めていたがいなくなった時と同じようにふと、なんの前触れもなく皆の前に戻ってきたのだ。
いなくなった時と服装は違っていたし、その首筋と指に大きな怪我をしていた。
アンダインが悲鳴をあげたほどの酷い怪我だったが、周りのモンスターは冷静だった。
フリスクは何も覚えていなかった。
幸い命に別状はなかったがその傷があまりにも特殊だったせいでアルフィーとサンズが一生懸命に調べていたのだ。
戻ってきたからもフリスクは時折、何か空を見ては涙を流すようになり、理由を聞いても首を振って分からないと繰り返すようになった。
その心労を察して女王が我々4名とこの温泉宿に行くように指示した。
フリスクが何を気に病んでいたのかは分からない。
それでも彼女との付き合いが長い我々は彼女の癒しとなるはずだった。
まずは温泉に浸かろうと宿自慢の露天風呂に入ってすぐのことだ。
彼女の傷が目に入った。
発見された直後にはそれなりに派手だったが今ではほとんど分からない。
首筋と左手の薬指に誰かの歯形と魔法、そして少なくはないソウルの気配を帯びた傷だった。
誰かが彼女のソウルに食い込むほどの傷を負わせた。
しかもおそらくそれは、モンスター。
モンスターが彼女に危害を加えることは有り得ない。
しかし今、その傷跡はアンダインがよく知る者達のものと酷似していた。
「あいつらか?」
アンダインは問う。
フリスクは首を傾げてこちらを見ている。
「あいつらがお前にこんな、傷を?」
「違う!」
フリスクは即座に答えた。
「彼らはこんなこと、しない!」
それは本当だろう、しかし全部が本当とは思えなかった。
「だってその食い込んだソウルは何だ?
あいつらそのものではないか。
そんな傷、余程の強い想いを抱かねば、」
そこまで詰め寄ったところで、
フリスクが倒れた。
アンダインはチラリと先ほど倒れたフリスクとその手当てを終えたアルフィーに視線をやった。
まだ赤みはあるもののフリスクの顔色は落ち着いている。
アルフィーも驚いただろうにテキパキと処置をしてくれたおかげだろう。
アンダインは男……パピルスに視線を戻した。
フリスクが倒れた時、アンダインとアルフィーはその名前を呼んだ。
その直後、パピルスは垣根を飛び越えて女湯に飛び込んできたのだ。
「さて、言い逃れはあるか?」
聞くものが聞けばそれは死刑宣告のようだっただろう。
地の底に這うようなその声を物ともせず、パピルスは高らかに宣言した。
「プレイヤーが大変な時はオレ様がそばにいたいのだ!
いつでもどんな時も何よりも先に!
だから体が勝手に動いた!
決してやましい気持ちなど無い!」
確かにパピルスは素直で良いヤツだ。
その言葉に嘘偽りは微塵もないだろう。
……何故自分が最初に彼女のそばにいたいと思うのかは本人も分かっていないのだろうが。
アンダインはそっと溜息をついた
「で、一緒に飛び込んで来たサンズは?ん?」
今度は声音こそ柔らかいが胡乱な目で彼を見やった。
どうせ答えは分かっている。
「オレは……オイラはただ、パピルスを止めようと思って……。」
まあそれも本当だろう。
だがその如何にも見ましたバッチリ見ました目に焼き付けましたという隠し切れないニヤケ顔とホネなのに赤く?染まった顔は隠し切れていないがな!
アンダインは今度こそ深い、深〜い溜息をついた。
アルフィーは見た。
行方不明になっていたフリスクが帰って来た。
消えた時とは違う服を纏い、指や首筋に僅かな傷が付いていて、少しやつれたようにも見えるが命に別状はない。
余程動揺したのかアンダインが珍しく悲鳴を上げた。
一度懐に入れれば情の厚いアンダインのことだ、少しの傷も許せなかったのだろう。
アズゴア王も青ざめてオロオロしていた。
やはり「娘」についた傷は少しでも心配したのだろう。傷の手当てをせねばと二人でかなり狼狽えていた。
少し落ち着いてからフリスクに今までどこにいたか聞いても要領を得ない言葉ばかりだ。
サンズはポツリとこことは違う世界に行っていた、と言っていた。
異世界の存在を示すのは、その傷だという。
指と首筋の傷は見た目にはほとんどわからない程度のかすり傷だが、どうにも奇妙な点があった。
これが何故か、魔法の残り香のような物が残っているのだ。
彼女のソウルに食い込むように、痕を残すように、ソウルの一部を明け渡すようについた傷だった。
つまりは人間にできる事ではない。
要はモンスターというソウルと魔法で成り立っている存在でないとつけられない傷だった。
彼女に対してかなりの思い入れがあるモンスターが残した傷と言う仮説が成り立つ。
それを解明したのは、……サンズだった。
サンズは一人ぶつぶつと独り言を繰り返し、唐突に叫んだ。
「オレじゃない、クソッ、オレじゃない!」
その時彼の瞳がシアンの光を漏らしたのを見た。
彼が感情を顕にしたのを見たのはそれが初めてだった。
どうやら首筋の傷はオレであってオレではない誰かがつけたものらしい。
そして指の、しかもご丁寧に左手の薬指に付けられた傷はパピルスではないパピルスのつけたものらしい。
さて、この何もかも諦めた男はどう動くのだろう。
アルフィーは隣でため息をつく恋人を気遣いながらもちょっとだけ、ほんのちょっとだけ微笑んだ。
本日の部屋割は一応男女別に分かれているが、気を遣う性質の彼女のことである。私達のことを思ってきっと骨兄弟の部屋に行くことだろう。
アルフィーの妄想は止まらない。