鬼滅の刃 短編
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頭の天辺から爪先まで、舐るほど愛してくれませんか
赤い唇からその言葉がこぼれるのを耳にして全身の血が沸騰するかと思った。
そのまま頭に血が上り、世界が暗転した。
そのあとは何か柔らかな微睡に包まれた感触のままに暫く揺蕩い、もがきつつもようやく意識が浮上した。
最初に目に入ったのは彼女の顔。
彼女はスウスウと安らかな寝息を立てて眠っている。
その透き通る様な白い肌も、長い睫毛も、少し苦手だと思っていた赤い唇もすぐ目の前にあった。
先ほどまできちんとまとめられていた髪は乱れている。
しかもあろうことか肌襦袢姿である。
着込まれていた隊服はどこに行ったのか、とそこまで考えて同じ布団が自分にかけられていることに気付いた。
同衾している。
慌てて身を捩って起き上がろうとしたがなぜか身体が動かない。
玄弥は慌てた。
自分は気を失ったとばかり思っていたがもしや彼女と、その、そういうことをしてしまったのだろうか。
覚えがない。なんて勿体の無いことを?!
いやいやそうじゃ無い。
玄弥は頭を振るが首すらも動かない。
勿体の無いとは何事だ。そうではなくて自分は意識のないまま彼女に無体を働いたかもしれないのだ。
何とかしないと。
しかしやはりどうしても身体が動かない。
バタバタと蠢く玄弥に気付いたのか、彼女の瞼がゆっくりと持ち上がっていく。
まずい、いや、何がまずいのかはわからないがとにかく何か自分がしてしまったのであれば謝らないと。
玄弥はゴクリと息を呑んだ。彼女に詰られることを覚悟したのだ。
しかし彼女は目を合わせるなり、ふわりと微笑んだ。
「ああ、起きてしまったの?足りなかった?」
足りなかった?何、が?
玄弥が口を開こうとしたが口から出たのはふやふやとした曖昧な音だけだった。
戸惑う彼に構うことなく彼女は自身の肌襦袢の合わせに手を差し込み、あろうことかその豊かな乳房を片方出した。
今まで服の上からでもその大きさはわからなくも無かったが実際に目にしたそれはさらに大きく白く輝いていて、その先に淡く色づいたそれはこちらを誘うかの様に見えた。
玄弥はそれをしっかり見てしまったが何とか目を瞑り、徐に近づくそれを少しばかり動く手足をばたつかせて抵抗した。
「どうしたの?おっぱいでは無かった?」
彼女は玄弥の脇に手を差し入れ、ぐいと持ち上げる。
「おむつかしら?」
そうっと目を開ければ自分の股座に顔を埋める彼女が見える。
玄弥は自分の顔に熱が集まるのを感じだが、同時に常の自身の身体ではないことにも気付いた。
手足も身体も小さく頼りなく、確かにおむつをはめられている。
え?
玄弥は慌てた。
自分は赤子になっている。
声を出すがふえふえとした頼りない音しか出せず、彼女は首を傾げるばかりである。
何とかしなくてはと思うのにそれでも眼下には豊かな双丘のうちの片方が出されており、どうしてもそちらに目が行ってしまう。
彼女はにっこりと笑った。
「やっぱりおっぱいじゃない。」
確信を持った彼女は赤子になった玄弥の体を抱え直し、目の前にその色づいた先を差し出した。
自分の唇にそれが触れた時、何とも言えない甘い香りがして、玄弥は衝動的に吸い付いた。
迸る液体はこの上なく甘く、口いっぱいに頬張ってまだ余りあるその大きさは両手で触れてもずっしりとした重さと暖かさと柔らかさを備え、玄弥は我を忘れて吸い続けた。
もっともっとと乳房を揉み込む手は止まらない。
「上手になったわねえ。」
彼女は愛おしげにこちらを見ている。
こうなる前に見ていたいつもの彼女より柔和な笑顔、それに女性らしい丸みを帯びた体つきだった。
頭がぼうっとする、いつもの彼女って、何だったか。
「牡丹、入るぜぇ。」
「あら、実弥さん。」
玄弥の体がびくりと跳ねた。
兄ちゃん、の声、だ。
「なんか泣き声が聞こえたからよオ。」
少し気遣わしげな優しい声、あの時兄ちゃんが出て行ってから久しく聞いていない声だった。
「うん、ちょっと寝ぼけてたみたいだけど、お腹が空いていたみたいよ。」
彼女の声に愛おしさが混じるのがわかった。
彼女は兄ちゃんを名前では呼ばない。
不死川様、風柱様としか呼んでない。
「そうかあ。」
兄ちゃんが彼女の肩にそっと手を置く。
彼女を見る兄ちゃんの目はひどく優しい。
でも兄ちゃんはいつもはこんなふうに彼女を見ない。
もっとギラギラとした、ひと時も逸らさない様な強い視線を向けている。
ではいま、いまは「いつ」なんだろう。
ふと兄ちゃんがおれを見た。
「玄……弥?」
ちゅぽん。
おれは吸い付くのを辞めた。
兄ちゃんは探る様な目で見ている。
「そうねえ、玄弥くんにも似ているかもねえ、兄弟だもの。」
彼女は呑気に呟いている。
ああおれは今きっと、先のことを見ているんだ。
ああ、兄ちゃんはようやく幸せになったんだな。
おれは何だか嬉しくなって目をまん丸くしてこちらを見続ける兄ちゃんを感じながら目を閉じた。
良かった、幸せな兄ちゃんを見られて。
本当にその時はそう思ったんだ。
意識が浮上した。
揺蕩い、もがきつつも柔らかな感触が微睡とともに自分の頭を包み込んでいる。
着込まれた隊服と盛り上がった双丘。
その奥にはらりと一筋乱れた髪。
朱い唇が弧を描き、長い睫毛が大きな瞳に影を落とし、薄暗い中で透き通る様な肌が白く輝いて見える。
「ああ、目が覚めましたね。足りました?」
どきん、胸が跳ねる。
淡く色づいたそれが脳裏に浮かぶ。
目の前に広がる双丘を包む隊服が寛げられるはずもないのに。
声を出そうにも音にはならず、ただ吐息が漏れるばかり。
彼女は首を傾げた。そうだ。伝わるはずはない。
頭をそっと膝枕から座布団に下ろされ、体を動かそうにも身動ぎもできない。
「風柱様がいらしたので少し出てきますね。……もう少し休んでいらっしゃい。」
立ち上がろうとする彼女の手をとっさに掴む。
「お腹すいた?それとも寝ぼけてる?」
彼女は笑った。
そうだ。
吸いつきたい貪りたい舐りたい
その朱い唇も甘い匂いをさせるそれも何もかも、全部。
しかしハクハクと口だけが呼吸を欲しているかの様に形作るのに言葉が出ない。
おれは、
「おい、もう起きてんだろぉ。……行くぞ。」
「はあい。」
部屋の外から聞こえる声とそれに応えた彼女の声に、掴んだ手から力が抜ける。
彼女は後でね、と囁くとひらひらと手を振って部屋を出て行った。
兄ちゃんが幸せならそれで良かった。
そう思ったんだ、本当にその時は。
胸の奥が少しだけ痛むのは、気が付かなかったことにした。
赤い唇からその言葉がこぼれるのを耳にして全身の血が沸騰するかと思った。
そのまま頭に血が上り、世界が暗転した。
そのあとは何か柔らかな微睡に包まれた感触のままに暫く揺蕩い、もがきつつもようやく意識が浮上した。
最初に目に入ったのは彼女の顔。
彼女はスウスウと安らかな寝息を立てて眠っている。
その透き通る様な白い肌も、長い睫毛も、少し苦手だと思っていた赤い唇もすぐ目の前にあった。
先ほどまできちんとまとめられていた髪は乱れている。
しかもあろうことか肌襦袢姿である。
着込まれていた隊服はどこに行ったのか、とそこまで考えて同じ布団が自分にかけられていることに気付いた。
同衾している。
慌てて身を捩って起き上がろうとしたがなぜか身体が動かない。
玄弥は慌てた。
自分は気を失ったとばかり思っていたがもしや彼女と、その、そういうことをしてしまったのだろうか。
覚えがない。なんて勿体の無いことを?!
いやいやそうじゃ無い。
玄弥は頭を振るが首すらも動かない。
勿体の無いとは何事だ。そうではなくて自分は意識のないまま彼女に無体を働いたかもしれないのだ。
何とかしないと。
しかしやはりどうしても身体が動かない。
バタバタと蠢く玄弥に気付いたのか、彼女の瞼がゆっくりと持ち上がっていく。
まずい、いや、何がまずいのかはわからないがとにかく何か自分がしてしまったのであれば謝らないと。
玄弥はゴクリと息を呑んだ。彼女に詰られることを覚悟したのだ。
しかし彼女は目を合わせるなり、ふわりと微笑んだ。
「ああ、起きてしまったの?足りなかった?」
足りなかった?何、が?
玄弥が口を開こうとしたが口から出たのはふやふやとした曖昧な音だけだった。
戸惑う彼に構うことなく彼女は自身の肌襦袢の合わせに手を差し込み、あろうことかその豊かな乳房を片方出した。
今まで服の上からでもその大きさはわからなくも無かったが実際に目にしたそれはさらに大きく白く輝いていて、その先に淡く色づいたそれはこちらを誘うかの様に見えた。
玄弥はそれをしっかり見てしまったが何とか目を瞑り、徐に近づくそれを少しばかり動く手足をばたつかせて抵抗した。
「どうしたの?おっぱいでは無かった?」
彼女は玄弥の脇に手を差し入れ、ぐいと持ち上げる。
「おむつかしら?」
そうっと目を開ければ自分の股座に顔を埋める彼女が見える。
玄弥は自分の顔に熱が集まるのを感じだが、同時に常の自身の身体ではないことにも気付いた。
手足も身体も小さく頼りなく、確かにおむつをはめられている。
え?
玄弥は慌てた。
自分は赤子になっている。
声を出すがふえふえとした頼りない音しか出せず、彼女は首を傾げるばかりである。
何とかしなくてはと思うのにそれでも眼下には豊かな双丘のうちの片方が出されており、どうしてもそちらに目が行ってしまう。
彼女はにっこりと笑った。
「やっぱりおっぱいじゃない。」
確信を持った彼女は赤子になった玄弥の体を抱え直し、目の前にその色づいた先を差し出した。
自分の唇にそれが触れた時、何とも言えない甘い香りがして、玄弥は衝動的に吸い付いた。
迸る液体はこの上なく甘く、口いっぱいに頬張ってまだ余りあるその大きさは両手で触れてもずっしりとした重さと暖かさと柔らかさを備え、玄弥は我を忘れて吸い続けた。
もっともっとと乳房を揉み込む手は止まらない。
「上手になったわねえ。」
彼女は愛おしげにこちらを見ている。
こうなる前に見ていたいつもの彼女より柔和な笑顔、それに女性らしい丸みを帯びた体つきだった。
頭がぼうっとする、いつもの彼女って、何だったか。
「牡丹、入るぜぇ。」
「あら、実弥さん。」
玄弥の体がびくりと跳ねた。
兄ちゃん、の声、だ。
「なんか泣き声が聞こえたからよオ。」
少し気遣わしげな優しい声、あの時兄ちゃんが出て行ってから久しく聞いていない声だった。
「うん、ちょっと寝ぼけてたみたいだけど、お腹が空いていたみたいよ。」
彼女の声に愛おしさが混じるのがわかった。
彼女は兄ちゃんを名前では呼ばない。
不死川様、風柱様としか呼んでない。
「そうかあ。」
兄ちゃんが彼女の肩にそっと手を置く。
彼女を見る兄ちゃんの目はひどく優しい。
でも兄ちゃんはいつもはこんなふうに彼女を見ない。
もっとギラギラとした、ひと時も逸らさない様な強い視線を向けている。
ではいま、いまは「いつ」なんだろう。
ふと兄ちゃんがおれを見た。
「玄……弥?」
ちゅぽん。
おれは吸い付くのを辞めた。
兄ちゃんは探る様な目で見ている。
「そうねえ、玄弥くんにも似ているかもねえ、兄弟だもの。」
彼女は呑気に呟いている。
ああおれは今きっと、先のことを見ているんだ。
ああ、兄ちゃんはようやく幸せになったんだな。
おれは何だか嬉しくなって目をまん丸くしてこちらを見続ける兄ちゃんを感じながら目を閉じた。
良かった、幸せな兄ちゃんを見られて。
本当にその時はそう思ったんだ。
意識が浮上した。
揺蕩い、もがきつつも柔らかな感触が微睡とともに自分の頭を包み込んでいる。
着込まれた隊服と盛り上がった双丘。
その奥にはらりと一筋乱れた髪。
朱い唇が弧を描き、長い睫毛が大きな瞳に影を落とし、薄暗い中で透き通る様な肌が白く輝いて見える。
「ああ、目が覚めましたね。足りました?」
どきん、胸が跳ねる。
淡く色づいたそれが脳裏に浮かぶ。
目の前に広がる双丘を包む隊服が寛げられるはずもないのに。
声を出そうにも音にはならず、ただ吐息が漏れるばかり。
彼女は首を傾げた。そうだ。伝わるはずはない。
頭をそっと膝枕から座布団に下ろされ、体を動かそうにも身動ぎもできない。
「風柱様がいらしたので少し出てきますね。……もう少し休んでいらっしゃい。」
立ち上がろうとする彼女の手をとっさに掴む。
「お腹すいた?それとも寝ぼけてる?」
彼女は笑った。
そうだ。
吸いつきたい貪りたい舐りたい
その朱い唇も甘い匂いをさせるそれも何もかも、全部。
しかしハクハクと口だけが呼吸を欲しているかの様に形作るのに言葉が出ない。
おれは、
「おい、もう起きてんだろぉ。……行くぞ。」
「はあい。」
部屋の外から聞こえる声とそれに応えた彼女の声に、掴んだ手から力が抜ける。
彼女は後でね、と囁くとひらひらと手を振って部屋を出て行った。
兄ちゃんが幸せならそれで良かった。
そう思ったんだ、本当にその時は。
胸の奥が少しだけ痛むのは、気が付かなかったことにした。