杏「要、頼んだぞ。」

要「カァー」



御館様への手紙を持って飛ぶ要



杏「さて。」



見届けたあと

りんを見つめる杏寿郎

日が昇れば、きっと灰となってしまう



杏「日が当たらない所へ寝かせねば」



出来るだけ、日が照らないよう
工夫し布団の上にりんを寝かせる



『ん〜、、むにゃ、、、』



ぐっすり眠るりん

そんな仕草にくすっと笑みを漏らす杏寿郎

ふと、頭を撫でてしまい



杏「はっ、、(この子は鬼だ、、何してるんだ俺は)」



本来なら首を切って殺さねばならない

自分の感情に戸惑いながらも

部屋の端で腰を下ろし目を閉じる杏寿郎



『ん、、、ここは、、』



ぱちッと目を開け

部屋の周りを見渡すりん



杏「起きたか？」

『うん、、ん〜、、、』



杏寿郎の言葉に反応し

背伸びと欠伸をするりん

警戒心が無さすぎる



杏「(よく、生き残っていたものだ、、)
今日は君を御館様の所へ連れて行く！

その前に服を着ねばな！」



確か、この辺にと

タンスを開け探る



杏「、、、お！これだ！」



杏寿郎の手には
薄いラベンダー色の浴衣があった



杏「前に俺の友が勝手に置いていった物だ！
きっと君に似合うだろ！」



その友とは

天元の事である



『、、、？』



りんに渡すが

相変わらずな反応に
浴衣を手にし、着させる杏寿郎であった



『、、、動きにくい、、』



ムスッとするりん



杏「あのままでは駄目だ！
きっとすぐに慣れるから我慢しなさい。」

『、、解った。』



むくれたまま頷くりんの頭に手を乗せ
似合ってるぞと言う杏寿郎

嬉しそうな顔をするりん

頭を撫でられるのが好きらしい



杏「少し窮屈かもしれんが、この中へ入っててくれ。
日に当たれないのだろ？」

『(こくっ』



杏寿郎の言葉に頷くりん

箱の中へと入るのであった



杏「少しばかりの辛抱だ！」



杏寿郎はそう言うと走り出した

なるべくりんが辛くないよう

出来るだけ静かに向かうのであった



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