一章
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札幌に着き、札幌世界ホテルというところに泊まることにした。
「いらっしゃいませお客様、女将の家永……と申します」
「なるほど、いい女だ」
「お部屋はどうされますか?」
「……二部屋お願いします」
「承知いたしました。お部屋ご案内致します。札幌へは観光ですか?」
「えぇまぁ、そんな感じです」
「女将は…未亡人だって?」
女将は数秒黙った後、このホテルは主人の形見なのだと言った。
どうも言葉の節々に嘘を感じる。気のせいであってほしい。
「何年か前まで老夫婦が経営してたと聞いたが?」
「………主人の両親です」
「女将、知りも可愛いが声が小鳥のさえずりのように可愛らしい。一晩中囁かれたい」
牛山は通常運転でもはや安心すら感じる。
「食事はお済みですか?近所の美味しい洋食屋をご紹介しますけど……」
「俺らは小樽から来たんだ。洋食屋は小樽にもある」
「では珍しいところで支那人の料理店などどうですか?少し怪しげですが、彼らの考え方はとても興味深いです」
それから女将は“同物同地”という話をした。
目が悪ければ目を食べ、心臓が悪ければ心臓を。
牛山曰く同じ話をしていた老人がいたという。まさか、いや、流石に考えが飛躍しすぎだろうか…?
「同物同地、本当に効果はあるんですか?」
「効果は抜群ですよ、お客様」
「そうなんですね」
部屋に通される。ベッドは一つだけだがなかなかに広いいい宿だ。
一人ベッドに寝転がり深く呼吸をする。
――ドンッ
「……牛山、女将にもう手を出したのかな」
小さくため息をつくとしたん方から若い男の声が聞こえた。
新たな宿泊客だろうか。
ベッドでうつらうつらしていると部屋の扉をとんとんと叩かれる。
「あれ、牛山…どうしたの?」
「飯にでも行こうと思ってな、来るか?」
「うん。お腹空いてるから行く」
くるる、と小さくお腹が鳴る。
階段を下りるとアイヌの格好をした男と少女が二人いた。
男と少女は牛山を見るなりこんな言葉を零した。
「シンナキサㇻ」
「シンナキサㇻ」
「なに?」
「アイヌ語、よね?」
二人揃って首を傾げていると後ろから軍帽をかぶった、顔に大きな傷のある男が降りてきた。
「それは柔道耳ってやつだ。俺は体質なのかそんな耳にはならなかったよ」
「ほう、心得があるのかね?」
牛山がそう言うなり二人が互いの襟首を掴む。
頼むからこのままおっぱじめるのだけはやめてほしいのだけど……
「このままでは殺し合いになる。こんなに強い奴は初めてだぜ。気に入った、奢ってやる!飲みに行こう」
洋食屋に向かう途中牛山に小声で話しかける。
「あの軍帽の男、そんなに強いの?」
「ああ、かなりな」
「やっぱり戦争を生き残った人たちはそれだけ強いってことなの?」
「だろうな」
少女と楽し気に話す男からは牛山と殺し合いに発展するほどの強さは感じられなかった。
洋食屋に入り、エゾシカ肉のライスカレーを人数分頼む。
「いただきます」
少しして牛山がサッポロビール飲み比べ勝負だと店員に次々持ってくるよう言った。
私も酒は嫌いじゃないから嗜む程度に少しずつ飲んだ。
酔いが回った人間は何を言うか、はたまた何をしでかすかわからない。
「知ってるか?札幌のビール工場を作った村橋久成っていうお侍さんはな……箱館戦争で土方歳三と戦った新政府軍の軍艦だった」
「牛山、飲みすぎ」
「土方の野郎、戦争に負けたのは悔しいが奴の作ったビールは美味いってよ」
こんの酔っぱらいが。
私はやめろ、という意味を込めてテーブルの下で牛山の足を強めに蹴る。
牛山にとっては子供が撫でたような攻撃だろうから遠慮はしない。
「土方歳三が?」
「もしも生きてりゃそう言うだろうなって話よ…ガハハ」
「ごめんなさいね、酔っぱらっちゃっておかしくなってるわ」
「んふふ、酒はそうなるのが怖いよねぇ」
軍帽の男がとろんとした眼で私の方を見た。あんたも酔いが回ってるじゃない、と言ってやりたかったが会って少ししか経っていないのでやめた。
全員ものの見事に出来上がっちゃってる…。
「あれ?アシㇼパさん?」
「ああ?」
女の子までガラ悪くなっちゃって。というかこの子はお酒を飲んで大丈夫なの?
アイヌの成人は早いのかな……。
完全に目が据わってしまっている少女が牛山の額のコブを取り外そうとガシリと掴む。
「ふぬぬぬっ、みんな手伝え」
「コラコラ、とれないよ。こぶとり爺さんじゃないんだから」
どう止めろって言うんだ。もう知らないぞ。
私は再びコップに入った酒を飲む。
「お嬢ちゃんいい女になりな。男を選ぶときは…チンポだ」
「ブフッ」
突然隣の人間がそんなことを口走るものだから驚いて酒を吹き出してしまった。
しかも私に言うならまだしもこんな小さい少女に言うなんて、ビール瓶で殴ってやろうか。
「チンポは海で見たけどぉ、なんか…フフ」
「男は寒いと縮むんだよ?伸びたり縮んだりするの、知ってる?アシㇼパさん」
「大きさの話じゃないぜ~?その男のチンポが“紳士”かどうか、抱かせて見極めろって話よ」
「そのとーり!」
「もう嫌この酔っぱらいたち」
「よしっ帰るぞっ、チンポ講座終わり!女将が部屋で俺を待っている!」
「先生ごちそうサマー」
絶対私は男性器で男を決めてやんない。
「いらっしゃいませお客様、女将の家永……と申します」
「なるほど、いい女だ」
「お部屋はどうされますか?」
「……二部屋お願いします」
「承知いたしました。お部屋ご案内致します。札幌へは観光ですか?」
「えぇまぁ、そんな感じです」
「女将は…未亡人だって?」
女将は数秒黙った後、このホテルは主人の形見なのだと言った。
どうも言葉の節々に嘘を感じる。気のせいであってほしい。
「何年か前まで老夫婦が経営してたと聞いたが?」
「………主人の両親です」
「女将、知りも可愛いが声が小鳥のさえずりのように可愛らしい。一晩中囁かれたい」
牛山は通常運転でもはや安心すら感じる。
「食事はお済みですか?近所の美味しい洋食屋をご紹介しますけど……」
「俺らは小樽から来たんだ。洋食屋は小樽にもある」
「では珍しいところで支那人の料理店などどうですか?少し怪しげですが、彼らの考え方はとても興味深いです」
それから女将は“同物同地”という話をした。
目が悪ければ目を食べ、心臓が悪ければ心臓を。
牛山曰く同じ話をしていた老人がいたという。まさか、いや、流石に考えが飛躍しすぎだろうか…?
「同物同地、本当に効果はあるんですか?」
「効果は抜群ですよ、お客様」
「そうなんですね」
部屋に通される。ベッドは一つだけだがなかなかに広いいい宿だ。
一人ベッドに寝転がり深く呼吸をする。
――ドンッ
「……牛山、女将にもう手を出したのかな」
小さくため息をつくとしたん方から若い男の声が聞こえた。
新たな宿泊客だろうか。
ベッドでうつらうつらしていると部屋の扉をとんとんと叩かれる。
「あれ、牛山…どうしたの?」
「飯にでも行こうと思ってな、来るか?」
「うん。お腹空いてるから行く」
くるる、と小さくお腹が鳴る。
階段を下りるとアイヌの格好をした男と少女が二人いた。
男と少女は牛山を見るなりこんな言葉を零した。
「シンナキサㇻ」
「シンナキサㇻ」
「なに?」
「アイヌ語、よね?」
二人揃って首を傾げていると後ろから軍帽をかぶった、顔に大きな傷のある男が降りてきた。
「それは柔道耳ってやつだ。俺は体質なのかそんな耳にはならなかったよ」
「ほう、心得があるのかね?」
牛山がそう言うなり二人が互いの襟首を掴む。
頼むからこのままおっぱじめるのだけはやめてほしいのだけど……
「このままでは殺し合いになる。こんなに強い奴は初めてだぜ。気に入った、奢ってやる!飲みに行こう」
洋食屋に向かう途中牛山に小声で話しかける。
「あの軍帽の男、そんなに強いの?」
「ああ、かなりな」
「やっぱり戦争を生き残った人たちはそれだけ強いってことなの?」
「だろうな」
少女と楽し気に話す男からは牛山と殺し合いに発展するほどの強さは感じられなかった。
洋食屋に入り、エゾシカ肉のライスカレーを人数分頼む。
「いただきます」
少しして牛山がサッポロビール飲み比べ勝負だと店員に次々持ってくるよう言った。
私も酒は嫌いじゃないから嗜む程度に少しずつ飲んだ。
酔いが回った人間は何を言うか、はたまた何をしでかすかわからない。
「知ってるか?札幌のビール工場を作った村橋久成っていうお侍さんはな……箱館戦争で土方歳三と戦った新政府軍の軍艦だった」
「牛山、飲みすぎ」
「土方の野郎、戦争に負けたのは悔しいが奴の作ったビールは美味いってよ」
こんの酔っぱらいが。
私はやめろ、という意味を込めてテーブルの下で牛山の足を強めに蹴る。
牛山にとっては子供が撫でたような攻撃だろうから遠慮はしない。
「土方歳三が?」
「もしも生きてりゃそう言うだろうなって話よ…ガハハ」
「ごめんなさいね、酔っぱらっちゃっておかしくなってるわ」
「んふふ、酒はそうなるのが怖いよねぇ」
軍帽の男がとろんとした眼で私の方を見た。あんたも酔いが回ってるじゃない、と言ってやりたかったが会って少ししか経っていないのでやめた。
全員ものの見事に出来上がっちゃってる…。
「あれ?アシㇼパさん?」
「ああ?」
女の子までガラ悪くなっちゃって。というかこの子はお酒を飲んで大丈夫なの?
アイヌの成人は早いのかな……。
完全に目が据わってしまっている少女が牛山の額のコブを取り外そうとガシリと掴む。
「ふぬぬぬっ、みんな手伝え」
「コラコラ、とれないよ。こぶとり爺さんじゃないんだから」
どう止めろって言うんだ。もう知らないぞ。
私は再びコップに入った酒を飲む。
「お嬢ちゃんいい女になりな。男を選ぶときは…チンポだ」
「ブフッ」
突然隣の人間がそんなことを口走るものだから驚いて酒を吹き出してしまった。
しかも私に言うならまだしもこんな小さい少女に言うなんて、ビール瓶で殴ってやろうか。
「チンポは海で見たけどぉ、なんか…フフ」
「男は寒いと縮むんだよ?伸びたり縮んだりするの、知ってる?アシㇼパさん」
「大きさの話じゃないぜ~?その男のチンポが“紳士”かどうか、抱かせて見極めろって話よ」
「そのとーり!」
「もう嫌この酔っぱらいたち」
「よしっ帰るぞっ、チンポ講座終わり!女将が部屋で俺を待っている!」
「先生ごちそうサマー」
絶対私は男性器で男を決めてやんない。