一章
夢小説設定
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「包帯ぐらい巻くよ」
「ああ悪い」
話している永倉さんを横目に街に出ていて勝手に乱闘騒ぎを起こして怪我をした牛山の手当てをする。
「積丹の海岸でまた死体が見つかった」
「またですか」
「斧で頭を叩き割られていた」
「確か前は刃物で首を掻き切られていたんですよね」
「そうだ。子押されたのはニシン漁の出稼ぎ労働者だ。例の男の仕業か?」
「終わったよ」
「ありがとうな。例の男、辺見和雄か…日本各地を放浪しながら百人以上も殺してきた殺人鬼だ」
「それ、捕まえるのがちょっと面倒臭い奴なんじゃないの……?」
「その通りだ。奴が自慢しているのを聞いたことがある。同じ場所に留まらず、常に移動して殺すのが捕まりにくくなるコツだと」
狂人の頭の中は読めない。
どんな脳みそをしていればそんなことを人に自慢できるんだろう。
「金塊が目的じゃなく脱獄した奴らはすぐに殺すべきだった。二瓶鉄造みたいなやつも厄介だが、辺見和雄はもはや行動が読めん」
包帯を巻き終えた私は座布団に座り永倉さんが淹れてくれたお茶を飲みながら煎餅に手を伸ばす。
――オフッ
「犬の鳴き声?」
「犬が迷い込んだようだな」
「……迷い犬ですか、厄介ですね」
ぱり、と煎餅を食べたとき、牛山がダイナミックに窓を突き破って外に出た。
「元気ですね」
「あれは元気がありすぎる」
「ふは、確かに、困りものですね」
外が静かになって割れた窓から顔を覗かせる。
「牛山、額に釘刺さったまんま喋るんじゃないよ」
「あー……」
「早く中入んなさい。土方さんも、外は冷えるでしょう」
私たちのもとにやってきたのは白石由竹という入れ墨の囚人らしい。
侵入してきたとはいえ鼻血を垂らしたままなのは少々可哀想だと思い、鼻血を拭ってやる。
「目を覚ましそう」
土方さんに報告しに行こう。
目を覚ました白石は当然のことだが土方さんと牛山の近くに座らされる。
私はというと土方さんたちの方には行きたくないが、話の聞こえるところにはいたいので、永倉さんの向かいでお茶を飲む。
「どうする?白石……」
「オメーの入れ墨を移させるんならとりあえず殺さねえって言ってんだ。実際こうして俺とジジイは手を組めてる。躊躇う必要があるか?」
「まさかとは思うけれど、一人で第七師団に渡り合うつもりなの?それは無謀すぎやしない?」
「他に仲間がいるんだな?」
「不死身の杉元、という男がいる」
杉元の話を聞き終えた土方さんは白石に問う。
「他に刺青人皮を持っているのか?」
一瞬の沈黙の末、白石が出した答えは
「持ってない」
だった。それが本当なのか違うのかはわからないが持ってないというのなら変に深追いをすることはない。
白石の入れ墨の写しを取り、白石は帰された。
「脱獄王……」
「あいつは一種の妖怪だよ」
「妖怪ですか。次は普通に話してみたいな」
「なんだ?惚れたか?」
「まさか、単に興味があるだけだよ。友達になりたいかも?」
そう言って笑う私に牛山は呆れたように笑っていた。
「ああ悪い」
話している永倉さんを横目に街に出ていて勝手に乱闘騒ぎを起こして怪我をした牛山の手当てをする。
「積丹の海岸でまた死体が見つかった」
「またですか」
「斧で頭を叩き割られていた」
「確か前は刃物で首を掻き切られていたんですよね」
「そうだ。子押されたのはニシン漁の出稼ぎ労働者だ。例の男の仕業か?」
「終わったよ」
「ありがとうな。例の男、辺見和雄か…日本各地を放浪しながら百人以上も殺してきた殺人鬼だ」
「それ、捕まえるのがちょっと面倒臭い奴なんじゃないの……?」
「その通りだ。奴が自慢しているのを聞いたことがある。同じ場所に留まらず、常に移動して殺すのが捕まりにくくなるコツだと」
狂人の頭の中は読めない。
どんな脳みそをしていればそんなことを人に自慢できるんだろう。
「金塊が目的じゃなく脱獄した奴らはすぐに殺すべきだった。二瓶鉄造みたいなやつも厄介だが、辺見和雄はもはや行動が読めん」
包帯を巻き終えた私は座布団に座り永倉さんが淹れてくれたお茶を飲みながら煎餅に手を伸ばす。
――オフッ
「犬の鳴き声?」
「犬が迷い込んだようだな」
「……迷い犬ですか、厄介ですね」
ぱり、と煎餅を食べたとき、牛山がダイナミックに窓を突き破って外に出た。
「元気ですね」
「あれは元気がありすぎる」
「ふは、確かに、困りものですね」
外が静かになって割れた窓から顔を覗かせる。
「牛山、額に釘刺さったまんま喋るんじゃないよ」
「あー……」
「早く中入んなさい。土方さんも、外は冷えるでしょう」
私たちのもとにやってきたのは白石由竹という入れ墨の囚人らしい。
侵入してきたとはいえ鼻血を垂らしたままなのは少々可哀想だと思い、鼻血を拭ってやる。
「目を覚ましそう」
土方さんに報告しに行こう。
目を覚ました白石は当然のことだが土方さんと牛山の近くに座らされる。
私はというと土方さんたちの方には行きたくないが、話の聞こえるところにはいたいので、永倉さんの向かいでお茶を飲む。
「どうする?白石……」
「オメーの入れ墨を移させるんならとりあえず殺さねえって言ってんだ。実際こうして俺とジジイは手を組めてる。躊躇う必要があるか?」
「まさかとは思うけれど、一人で第七師団に渡り合うつもりなの?それは無謀すぎやしない?」
「他に仲間がいるんだな?」
「不死身の杉元、という男がいる」
杉元の話を聞き終えた土方さんは白石に問う。
「他に刺青人皮を持っているのか?」
一瞬の沈黙の末、白石が出した答えは
「持ってない」
だった。それが本当なのか違うのかはわからないが持ってないというのなら変に深追いをすることはない。
白石の入れ墨の写しを取り、白石は帰された。
「脱獄王……」
「あいつは一種の妖怪だよ」
「妖怪ですか。次は普通に話してみたいな」
「なんだ?惚れたか?」
「まさか、単に興味があるだけだよ。友達になりたいかも?」
そう言って笑う私に牛山は呆れたように笑っていた。