引っ越すその前に 中野夢
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あーあ、折角一緒に寝たかったのに。
誠は隅の方へいったっきりで、いつも通り愛想がない。
「……誠、寝ちゃった?」
今夜は月が出ていないせいか電気を消すと随分室内が真っ暗だった。
当然、暗闇に慣れていない目が使い物になるわけもなく、キョロキョロと無駄に泳がざるを得無い。
無音の空気がとても冷たくて、近くに居るはずの誠がやけに遠く感じた。
寝付いたら直ぐに明日が来てしまう。
それがとても寂しかった。
「……ねえ、こっちに来てよ」
視線で誠を探してみるが慣れきってない目で何か見えるわけでもなく、室内に私の声が響いただけ。
ただ少し距離があっても微かに聞こえてくる浅い呼吸のお陰で、彼が起きている事だけは把握できた。
「……」
起きてるなら無視しなくてもいいじゃんか。
予想通りと言えばそう。何の返事も無くただ時間だけが過ぎ去っていく。
なんて勿体無い時間なんだろう。
皮肉にも荷造りされた段ボール箱からは、カチカチと時計が私達の時間を急かすように鳴っていた。
「おーい、まことー!」
少しでも長く一緒に近くに居たいから。諦めないぞ、私はしつこいのだ。
そして今更だけど暗い所が怖い。オマケに誠の事が好きだから是非とも一緒に寝てもらいたい。
「どうせ寝てないんでしょうー?そんなとこだと風邪引いちゃうよー!風邪ひいたらしんどいぞー!もう看病してやれないぞー!看病した事ないけどー」
「ウルッセーな、オイ!!」
オメーのせいで寝れやしねーよ。そう付け加ると気怠そうに私がいる布団の中へ潜り込んできた。
ーー……え、ぇえ!!ちょっと待ってよ!
や、マァ…呼んだよ?そりゃ呼んだけど……思ったより随分早く、そしてスムーズに来た事に驚いた。
だって誠の事だから……なんなら最悪こっちに来ないことも予想していたのに。
少なくとも、もう少し粘るつもりだったのに。
突然過ぎて思わず固まってしまった。
望んではいたものの実際隣に来られると、想像以上に心臓の音が速まっていて煩かった。
背中合わせになった今、意識しすぎて動けないでいる私は一体どうしたものかと頭をフル回転させる。
