守るための手段とは 智司夢
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「ねえ、知ってるんでしょ。教えて」
「え!あ、…えーっと。なんて言うか。今は、その。…アンタとは会いたくないそーだ」
開久の下校時間、校門前にて片桐智司の後輩である通称ニワトリを捕まえた私が目を見開く。
「え、…ッ、な、どうしてッ?」
込み上げて来る不安に、目を瞬かせた。
涙を堪える私にギョッとするニワトリが、アワアワしながら確認するように周辺を見渡すと
「…実は智司さん、こないだの一件で今両腕骨折してんだわ。なんでも美和子には面倒かけたくないとかで、今は距離を置いてるらしいぜ」
申し訳なさそうな雰囲気で、そう耳打った。
「…え、骨折!?」
予期せぬ事実に衝撃を受ける。
然し、それと同時に込み上げて来たのは
「ああ、だからよ。今はそっとして…」
「智司と会わせて。」
憤りとも言える感情が、私の声を震わせた。
「え、…いや。その…」
守る為の手段とは
青蘭に通う私と、開久の智司は恋人同士だ。
付き合った当初、強く止められていたのに、一刻も早く会いたいという想いを抑えられなくなった私が開久まで来てしまった事がある。
案の定、開久の生徒達に絡まれてしまった。
直ぐに智司が助けてくれたものの、今まで見た事のない、それは凄まじく悍ましい形相で
「此処には二度と来るんじゃねーぞ」
そう脅すようにして私に言って聞かせた。
それ以来、決まって青蘭まで迎えに来てくれていたのに、何故かそれがパタリと無くなった。
開久に訪ねに行こうかと何度も思ったけど、彼にキツく止められていた為、行けなかった。
こうして何の音沙汰もないまま、約一ヶ月。
流石に居ても立っても居られなくなった私が今日こうして開久まで足を運び、唯一の知り合いであるニワトリから事情を聞いて愕然とした。
何でも智司は卒業する為の補習期間中にも関わらず、(ニワトリが事の発端の?)身内と一悶着があったらしく両腕を骨折する重傷を追う。
その後、行方を晦ましていた智司が突然姿を現すと学校に何日か出席した後、卒業したとか。
詰まり彼はもう開久を去った後だというのだ。
正直、男同士の喧嘩というのはよくわからないから、基本的に私が口を出すことはしない。
だけど、心配しない日なんて無かった。
あくまで黙認しているだけだから、心の底からいってらっしゃいなんて言えるわけがない。
その代わり現状を知る事で安心も出来た。
だから両腕を骨折したという事実よりも、何も知らされないまま、わからないまま放置されている事の方が余程、私にとっては心の負担だ。
会えないなら仕方ないけど、避けてるって。
なによ、完治するまで会わないつもりなの。
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