夢で会えたら19
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原作での泉水との戦いは
皆必死だった。
幽助が死んだ後の戦いは、蔵馬も飛影も桑原も一時は死を覚悟していた。
幽助が魔族大覚醒をして、魔族として生まれ変わったから泉水に勝てた。
もし幽助が覚醒しなかったら?
覚醒しても彼らの戦いに間に合わなかったら?
そんな事を考えるのは間違っているだろうか。今まで通り、シナリオ通り物語は進むのだろうか。
物語…
今の私は「物語」として考えられるの?
泉水の意思の篭った瞳が頭から離れない。
- 飛影 side -
馬鹿だ馬鹿だとは思っていた
だがー…
なぜ今
このタイミングで…
「…せいきょういく、だと?」
こんな馬鹿げた事を俺が教えられる必要があるんだ??
「ずっと教えてないから事柄だったから。それに飛影、あんまりそうゆうこと知らなさそうだし。」
はい、じゃぁ3ページ開いて。と言いながら机を挟んだ向かいに座る女。
目の前にあるのは薄っぺらい「良い子の性教育」と書かれた本。
まじか、こいつー…!!
「愛音、俺には必要ないー…」
「必要です!!絶対!!!」
なんだ?一体。
…まさか俺の夢の中でも覗かれて、なわけないな。
それにそんな芸当が出来るならこいつはここで俺とこうして話してられるはずがない。
「読むよ~、まずこの本を読むにあたってー…」
何度夢で目の前の女を犯したかしれないのだから
今でも風呂上がりのこいつの香りに頭の芯が痺れて面倒な位だ
早く切り上げたいぜ
「こら、聞いてるの?」
「聞いてる聞いてる。」
もうっと口を尖らせ、再び読み始める女。
紅も何も引いていない桜色の唇。
接吻をしたことさえこいつにとったらただそれだけの事、なのだろうか。
…それとも、だからこそ性教育なんぞ教えられる羽目になったのだろうか。
ー…あぁ、後者だな。接吻で焦ったか。勘違いも甚だしいが、まぁいい。
「ということはね、飛影。男性が女性の体に興味を持つのはごくごく自然な事なの。あ、欠伸するな、こら!」
「…愛音、忘れてるのか分からんが俺は妖怪だ。人間の性教育なんぞ興味がないし関係ないぞ?」
「で、でも本質は同じでー…」
「種族や育ち型でそんなのまちまちだぜ。魔界は基本が弱肉強食なんだ。人間の様にルールなんかないぜ?」
「で、でも近親相姦とか、母親とそうゆうのとかはやっぱおかしいでー…あっ、いや…。」
「……。」
やっぱりか。
「…あるぜ?動物に近い種族だっているんだ。兄弟だろうが親だろうが子を成す奴らはいる。」
「で、でも、飛影は違うでしょ?ノーマル、でしょ?」
探るように恐る恐る聞くその姿に、胸の奥に黒い何かがどろりと流れた様な気がした。
その心地よさに自然と笑みさえ浮かぶ。
ー…しばらくなかった感覚、だな。
否、あったが、ずっと見ない様にしていた感覚。
…あぁ、まずいな、苛つきもここまでくると理性に作用するのか。
- 愛音 side -
気になる事は他にあるのは確か。
泉水との事を彼に伝えたら良いものか悩む。
話しても話さなくてもシナリオは無事に進むと思いたい
思いたい、がー…
『俺が神になる』
泉水の意思の篭る瞳が頭から離れないのだ。
だからか、出来ることからしていこう。
そう思った。
蔵馬である南野秀一に飛影にちゃんと聞いてみては?とは言われたが、いざとなると怖い。
どういったつもりで?
答えを彼の口から聞けば、その後の関係性にも影響が出ないだろうか。
ここは、さりげなく勘違いだ、とか別方向に持っていき気付かせるのが良いのでは…と思い、性教育の勉強を彼に教えようと思ったのだが。
「うーん…方向性変えなくちゃいけないなぁ。…これは飛影の人生が…って、え?どこいくの!?飛影!!」
愛音の視界に入ったのは今にもベランダから外に出て行こうとする飛影。
「いや、何いきなり逃げようとしてるのよ、飛影!!」
ぐいっと彼の服を後ろから掴んだ
その瞬間
逆にその手首を掴まれ引かれ
赤い二つの眼光がしっかりと私を捕らえた
「いい加減にしろ。」
低く発せられた声に、ぎらりと光るそれに背筋がぞくりとした
危機感
思わず身を引くも、彼は強引に手首を引く
やばいと思った
何かが彼の逆鱗に触れた
予感がした
思わず俯く
今顔を上げたらきっと引っ張られるー…
だめだ。
「ご、ごめん。怒らないで、私何かダメな事言ったんだよね、落ち着いてほしい。」
見たら捕えられる
赤い瞳にー…
「とりあえず手を離して…」
へらっと笑いながら言葉を紡げばさらに腕を引かれ、顎を掴まれ強引に顔を上げられる
「お前を母親だと思った事などない。」
「!!」
笑わせるなとばかりの口調に、嘲笑うような笑み。
そして彼の視線が唇に落ち、緩やかに近づいた。
「す!!」
「…なんだ??」
今にも唇に触れそうな距離で、不機嫌そうな声が漏れる。
「好きなの!?私のこと!」
言ってしまった。
近くにいる女が自分だから、ただの勘違いではないのかとも思うが、ここまで行動されたら、もう何がなんだか。
関係が壊れる云々気にしてられん。
彼は一瞬赤い瞳を見開くもすぐに呆れたように瞳を細める。
そして
「好きだと言ったら俺を受け入れるのか?」
え?!聞き返すの??
まさかやりたいだけ!?
「う、受け入れるっていうのは、ど、どういう事かな?て」
やりたいだけ?
やりたいだけなの!?
落ち着いて飛影!!!
「飛影、あのね、なんでも順序っていうものがあるわけよ。最近の貴方の行動はおかしー…」
「好きだ。」
「そうそう、なんか焦ってるというかなんというか…って、え!?」
「お前に触りたくて仕方ない。」
呆気に取られる。
まさかの彼からの衝撃の告白。
開いた口がしばらくそのまま一時停止。
「欲しいと思ったのはお前がはじめてだ。」
真っ赤な熱の孕んだ真剣味を帯びた瞳が直視する。
まじで!?
いつから??
いやいや。冷静になれ、私。
「そ、それって今とりあえずやりたいとか、そういう一時的なものじゃなくて?」
「今だけなら他で済む。」
「……、は??」
「お前は俺を馬鹿にしてるのか?」
ぐいっと掴まれた顎を再び上げられる。
「まっ…」
「待たん。」
て!!!
「なんでも順序ってもんがあるでしょう!!馬鹿飛影!!」
彼の胸を両手で押し返しながら叫んだ。
ー…あぁ、私は今きっと真っ赤な顔してる。思わず俯く。
「私は、貴方の事好きだけど、現段階では異性だとかそういう対象ではないの!わかる?私は貴方の事、男性として見てないの。」
わからない。
ドキドキあたふたさせられるのは確かだが、それは彼が雄化した時だけだ。
恋愛感情云々ではない、きっと。
「だから!!」
「くくっー…」
「え、何笑ってー…」
振動が彼の押した胸板から伝わり顔を上げればくつくつと笑う男が目に入る。
「ま、まさか、からかって…!!」
「馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、ここまでとは。」
「はぁ??」
喧嘩売ってるのか、この子は。
すると、彼の赤い瞳がギロリとこちらを見据えた。
「鼻っからお前の俺への見方など知っている。今更ー…」
そう今更ー…
そう言う彼の瞳が揺れた、悲しげに。
それに思わず息を呑んだ。
だからか、重なり合った視線に、目の前に迫っていた赤に気付くのに遅れたのだ。
ーー
ーーー…
悩むのにも飽きた
あいつの様子に、態度に左右されるのももうやめだ
ただでさえ思考が読めないこれの何を気にしろというか
昔から自分を母のように言ってくるこいつに抱いてた別の感情
幼い頃はそれが何か分からなかった
今でも名を付けろと言われたから正直分からない
好きか嫌いかなどそんな程度の感情でもないが
わかる事が増えたのは事実
自分から触れたいと思うのは初めてだ
笑顔を見れば胸が温かくなるのも
泣かしてやりたいと思うのも
自分だけを見れば良いと思うのも
こいつは知らない
俺が今日、何を知っているか
蔵馬に会っていた事も
あの男に会っていた事も知っている
事情も内容もわかってる
わかっているが、腹がたつ
男の家にやすやす上がり、泉水と笑って話すこいつに…
危機感が足りないと腹が立ったんだ
それでも
今は忘れてやろうと思った
大人しくしてやろうと思ってたんだー…
刺激さえしなければよかったんだ
俺の中に踏み込むことさえしなければ
茶番もしばらくは付き合えたかもしれない
だが
もう無理だ
「ひ、ぇ…」
口付けの合間に漏れる女の声
壁に女の両腕を押し付け、男は女の声を唇ごと深く食らう
何度も何度も
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