夢で会えたら18
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それは日も傾き、学生達が帰路に向かう時刻。
名門校・私立盟王高等学校でもそれは同じだ。
ぞろぞろと生徒達が校門から出て行くその場所に、彼女ー…愛音は居た。
生徒達の自分へ向けられる不審感たっぷりな視線が胸に痛くも、気にしない気にしないと自分に言い聞かせ、目的の人物を探す。
そして数分後、女子生徒達の黄色い声と騒がしくなる周り。
女子生徒に囲まれ困ったように笑いながら美男子が校門から現れる、南野秀一またの名を、妖狐・蔵馬。
「くら、っ…み、南野君!!」
愛音はそんな彼にすかさず声を掛ける。
「…愛音さん。」
目を見開いて驚く彼。
そして向けられる周りの女子の冷ややかな視線。
なにこの女~
おばさんが南野君に何の用?的な目線だ。言わなくてもすごく感じます!
言わせてもらうがまだ決しておばさんではない!!
少なくとも一般的な観点から言えば。
……。
いや…高校生にしてみれば私はおばさんなのか?
だけどー…
「ちょっと相談したいことが…いいかしら?」
(こんな事で尻込んでなんかいられないわ!!)
ーーー
ーーーー…
「どうぞ、粗茶ですが。」
「ど、どうも。」
只今南野家。
誰が聞いているか分からないからとかで、秀一は彼女を自宅に上げた。
落ち着かず周りをキョロキョロ見回す愛音に彼はくすりと笑う。
「ふふ、大したものはありませんよ。」
「いえ…なんだか普通すぎて、普通なんだなぁ、と。」
「まぁ、今は人間として生きていますから。観葉植物の代わりに魔界の植物とか置けないでしょ。」
「確かに。」
不用意に近づいたら危ないだろう。
何も知らない母親なんかは特にそうだ。
そして、本題をどうぞと柔らかく微笑んでくれる彼に、ごくりと唾を飲み込む。
「……あの、すっごく変なことを聞いて良いかしら??」
「なんでも。」
お茶を飲みながら言う彼。
「妖怪の性事情についてなんだけど。」
「!!っ…ごほっ。」
「あ、大丈夫??蔵馬君はほら、妖怪歴長いし…詳しいかなって。」
「いや、内容によりますが……。」
口元をハンカチで拭いながら言う彼に、蔵馬って意外と純情なのか?と思う愛音だったがー…
「襲われでもしましたか?飛影に。」
と、次の瞬間さらりと笑みを浮かべて言う彼にそんな思考は吹き飛ぶ。
「あ、いや、襲うってゆうか…そこまでの事ではないんだけどー…。」
「…キスレベルですか。なかなか意気地がないな彼は。」
ふーんと目を細め面白そうに呟く彼に、やはり蔵馬は蔵馬か…とどこか納得する。長年生きたイケメンさんが経験豊富じゃないわけがない。
「妖怪の性事情も人間と基本は何も変わりませんよ。」
まぁ、中には特異な性質を持つ種族も稀にいますけど。と何やら思い出しながら言う彼。
「…人間と基本的には変わらないって事は…私の感覚でいいのかな。」
「…俺は飛影個人の性事情は知らないので何とも言えませんが、好きな女性に触りたいのはごく普通のことじゃないんですか?」
にこりと笑みを浮かべこちらを見る蔵馬と、愛音のきょとんとした顔。
「……。…うーんとね、あと妖怪って近親相姦とか結構あるもの?動物って親子や兄妹で子を成したりもするし、妖怪もそうゆうのあるのかなぁと。」
「……。」
「??…蔵馬くん?」
「あぁ、すみません。なんだか、話が…えっと、妖怪では確かに近親相姦みたいなものは存在しますよ。獣に近い種族には確かにありますし、両生類も居ますのでそういった面では色んな子孫繁栄方法があります。…ですが、人形が強い妖怪はあまり聞かないですね。」
「…蔵馬くんは?」
蔵馬は元狐ではないのか?
「俺は母親を性対象として見るのは無理です。姉や妹がいても無理でしょうね。」
「……。飛影は、どう思う?」
「彼もそうだと思います。見る限りノーマルだと思いますよ。」
「……。」
むむっと顔を顰め目を瞑り口元に手を添え何やら考える彼女に、蔵馬は「大変だなぁ、飛影も。」と内心思う。
母親か姉代わりのつもりでいたようだか、彼が彼女を母親と思い接していた時期があったのか微妙だ。
あの彼の様子を見るに、家族愛には見えない。
「……ま、まさか、思春期でイライラモヤモヤムラムラしたりしてるのかしら。…近くにいる女がたまたま私だったとか??」
「……。」
「女の子と接する機会ないものね、あの子。年頃だものね…」
ありえる…。と、ぶつぶつと一人呟く内容に蔵馬は心底飛影に同情したと言うまでもない。
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