夢で会えたら17
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ー 愛音 ー
最近おかしいと思う
漆黒の髪から滴る水
見慣れたはずの半裸
「……なんだ?」
赤い瞳がじとりとこちらを見る。
「はっ!いえ、なにも!!」
180度頭を回し再びTVを見る。
そもそも180度回転してお風呂上がりの彼を穴が空きそうな程見る私は変態ではないかと思う。
年下だ、年下。いや、息子だ、息子。
私は彼の母親代わりだ、母親。
なのにー…
どかりと隣に座る飛影。
香る石鹸の香り。
あぁ、良い香り…
たまに我慢出来なくて抱きついていたけど…
今はつらい。
しかし、プシュッと缶ビールを開ける音で、はっとする。
「あぁ!!一人で始める気ね?私入ってくるから二本目は待ってて?」
「…早くしろ。」
冷えたビールが目に入れば愛音の思考は一気に切り替わるのだった。
ー 飛影 ー
最近、愛音の様子がおかしい。
缶ビールを飲みながら風呂に入った愛音をTVを見ながら待つ。
先日、幽助の家でちょっとからかってやろうとした時からだ。
いや、仕置と称してからかうつもりが少しマジになったからか?
愛音がどこかよそよそしい。
避けられている?
いや、そういうわけではないな。
俺の様子を伺っているのか、どこか空気がピンっと張り詰める様な時がある。
まぁ、いい。
冷蔵庫を開け適当につまみになりそうなものを探す。
多少は晩酌の準備をしておこうと台所で支度をしていればフローラルの香りが近付いてきた。
「あ、飛影ありがとう。カマボコあったのね。確か、チーズとかスルメもあった様な…えっとー…あったあった。」
近くの棚から探していた物を見つければ満面の笑みを向けてくる。
ー…やはり、気のせいか。
そして俺は二本目、愛音は一本目のビールで乾杯。
ビールは嫌いじゃない。
はじめこそ苦かったがすぐに慣れた。
「さぁ、何見ようか。この前の漫才見る?それともー…」
「……。」
「ん?…どうかした??」
「いや。」
心なしかソファに座る二人の距離が遠い気がするのは、気のせいか??
少し寄れば少し離れる愛音。
……やはり、警戒されているのだろうか。
「お前が昨日見逃したドラマとやらでいい。俺は酒とつまみがあれば問題ない。」
「あら、まじで?ならお言葉に甘えてっと。」
スルメを加えながらリモコンで操作すればドラマとやらが始まる。
なんでも仕事に明け暮れるキャリアウーマンの恋愛ドラマだそうだ。三十路の恋人のいない仕事一筋の女が、新入社員の若い男性社員と恋愛をしていくという、そんなドラマ。
よく愛音はこれを見ながら「所詮ドラマよね~…」と冷めた感じで言う割にはラブシーンではきゃぁ!!とクッションに顔を埋め喜んでいたのを思い出す。
俺が呆れた目で見れば「女はいくつになってもときめいていたいの!」とか言われた。
そして、今回もラブシーンが始まった、らしい。
愛音がクッションを引っ張り抱えた様子からそれが分かる。
「出た、壁どん。」
「…??」
「う~ん、実際されたらちょっとムカつきそう…。」
かべどん?
TVを見れば男が女を壁に追いやり壁に手を付き女を見下ろしていた。
「…これは何をしているんだ?」
逃がさない様に囲うのか?
「おそらく最近草食男子が多い中、肉食男子を欲しがる女子の一つの理想図なのかと。どこかで、激しく求められ追い詰められたい心理なのかと。ちなみに床の場合は床どんよ。」
淡々と言いながらも視線はTVに釘付けだ。
「……。」
「はっ!?まさか、飛影は床どん!?床どん派なの!??」
目をかっと見開いてこちらを見る愛音。
……なんなんだ、一体。
「…知るか、変な言葉ばかりならべやがって。……蔵馬あたりならさらっとやりそうな事だがな。」
あれは気障だが基本サマになる男だ。
ふと思った事が口から出る。
「え?…あ、蔵馬君ならキュンキュンするかも。スマートにいつの間にか優しく追い詰めてくれそう。…押し倒すとか乱暴な事はしなさそうだし。」
と、頬に手を当てどこか遠くを見ながらうっとりしだす愛音。
そして「やっぱり人によるのかしら。」と呟く。
ー…こいつの中の蔵馬は一体どうなってるんだ?
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