夢で会えたら13
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…なんだと?」
今しがた目の前の赤ん坊、否閻魔大王の息子、コエンマの言葉に飛影は顔を顰めた。
馬鹿な事を言うな、と一睨みするもコエンマの表情は固い。
そして、飛影が来た時にすでにその場に居た蔵馬。
コエンマが自分より先に蔵馬に話を通していたのだろう。
蔵馬は腕を組み壁に凭れしばらく二人の様子を見ていたが沈黙が流れればゆっくりと顔を上げ口を開く。
「心当たりは、あるんでしょう?飛影。」
『お主の知り合いの愛音という娘、この世界の住人ではないな?』
コエンマからの衝撃の言葉。
確かに不思議な女には違いない。
女が住んでいる世界の書物に自分達の事が書かれていると、先の事を知っていると言っていた女。
だが、あいつは今この世界の人間界にいるのだ。
意味の分からない状況に飛影の表情はさらに険しくなる。
「…邪眼で探しても見つからなかった…。違いますか?」
蔵馬が真っ直ぐにこちらを見て呟く一言に思わず眉が寄る。
そう、それはどんなに思い込もうとしても裏切られる事実を現す。
何らかの方法で邪眼を遮断する手段を持つか
ー…この世界の生き物ではないということだ。
「言い方を変えよう。愛音という人物は今は存在する。」
「…今、だと?分かる様に説明しろ。」
コエンマの勿体ぶる言い方に若干苛つきを覚える飛影。
「あぁ。霊界で管理している人類の管理表に名前も人物もある。…蔵馬は知っているだろうが、管理表は我々が作るものではない。生を受けた時に自ずとその人間の生態全てが記載される極秘表だ。」
「……。」
「…今は彼女のデータがある。だが、以前は確かになかった…数ヶ月前まではな。」
「…管理表にあるなら、問題ないだろう。お前たち霊界の見落としじゃないのか?」
「それはない。毎日生死を管理している霊界だ。そこは胸を張っていうぞ!!…本来、この世界の住人ではないものが我が物顔でこの世界に馴染もうとすることは、理を曲げることなのだ。だが、今回はー…」
この世界が「娘」を受け入れている様な気さえするのだ。
霊界の極秘とされる管理表の記載がそれを物語っているとコエンマは言う。
「……。」
「この世界にただイレギュラーの存在として来たか。それこそ周りを巻き込み、あたかも自分がそこにいたかのように、わしらに錯覚を起こさせて来たー…」
「コエンマ。」
狐の声が響く。狐は顔を動かさず飛影に視線をやる。
それにコエンマはハッと静かに佇む男に目を向けた。
「いや、飛影。例えばの話だ。どうも初めての例だからな。…お主の知り合いだと知って色々聞きたかっただけなんじゃ。」
「ふん、悪意があるかないか、か?」
馬鹿馬鹿しい。
あいつが何を企んでそんな事をするんだ?
思わず面白くて笑ってしまう。
「…あいつはただの特異体質な女なだけだ。俺が幼い頃から時々俺の側にだけ現れる奴だった。本人も自覚なしだ。…悪意なんかあるわけがない。」
「…君の側にだけ?それもまた不可解だな。…飛影、今は邪眼で彼女を確認できますか?」
蔵馬が顎に手を当てこちらを見る。
「……。」
「やらないんですか?今は管理表に記載されてるんです。出来なければそれこそおかしい。」
「分かった…。」
飛影は双方の赤い瞳を伏せ、額の邪眼を薄く開ける。
が、次の瞬間ー…
ガバッと額を抑えしゃがみ込む彼に蔵馬は驚き「どうした!?」と近づくがー……
伏せた彼の顔を見て、一瞬パチクリと瞳を瞬かせれるものの、ゆっくりと口元が緩む。
「見えた様でよかったですね。飛影。」
そしてニッコリ。
「な、なんだ!?どうしたんじゃ、飛影!!」
コエンマも駆け寄ろうとするも飛影に手を出され止められる。
そして片方の手で顔を抑える飛影に、コエンマも瞳をパチクリ。
「……若いのぉ。飛影。」
目を細め笑みを浮かべるコエンマの目の前にはただただ顔を真っ赤にした飛影がいるのだった。
「「入浴中(お風呂)だったか。(でしたか。)」」
と笑う二人だった。
.