夢で会えたら11
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倒れるその体を受け止める。
知っているはずのそれは氷の様に冷たい、まるで石。
倒れる寸前に彼女の体から抜けた青い魂を彼はしっかりと見ていた。
「!!…愛音…おいっ…」
飛影は一体何が起こったのか分からなかった、しかし次の男の言葉で悟る。
「あ~あ、言っちゃったね。「あ」と「つ」と「い」を続けて言うとどんな形でも魂をぬかれちゃうんだよ、僕のテリトリーでは。…それにしてもなんで俺が君の事ちびって言うのわかったのかな…。はは。」
海藤の手の上で揺れる澄んだ青い玉。
否、魂。
赤い瞳が見開く。
ゆっくりと彼女の体と魂を交互に見た。
ー…なんだ、これは。
冷たく硬い彼女の身体。
彼女の瞳は見開いたまま
そして、口元は自分を呼んで笑ったままの緩んだそれ。
「飛影…」
しゃがみ込み彼女を抱えたままの飛影に蔵馬は声を落とす。
背を向けたままの無言の彼に、蔵馬はそのまま瞳を細めた。
彼の背からゆらゆらと湧き上がる妖気。…殺気。
「飛影…分かってると思いますが…」
「あぁ、…大丈夫だ。」
低い低い声。
何が大丈夫なのか。
溢れ出る殺気は妖気が入り混じりいくら力が無意味なこの空間でも禍々しいものだった。それでも冷静な怒りだと…、それが蔵馬を少し安心させた。
「飛影、ここは俺に任せてもらえますか?」
それでも、言っておかなければならなかった。
ここでは一番自分が適任だと蔵馬自身分かっていた、飛影の様子から無茶はしないと思っているものの、今の彼には何が引き金になるかは分からないからだ。
「あぁ。」
だが、振り向く事はしない。
「……。」
その後、海籐の言葉のルールを改めて目のあたりにしたそれぞれだったが、言わずとも桑原、ぼたんがその後、呆気なく海籐の手中におさまった。
気を付けていたにも関わらず。
愛音の犠牲が何かを変えることはなかった。
…しかし、言うなれば飛影だけがその後、海籐の挑発に一度も乗ることなく、蔵馬と海籐の勝負の行く末を見届けた事だった。
ー…そこだけは原作と変わる。
それを後で知るのはただ一人、彼女だけだが。
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