夢で会えたら10
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「不審者??」
それは昼休み。
南野秀一は自分に声を掛けてきた女子生徒の言葉に、読みかけの本を机に置く。
「えぇ、20代の女性の人よ。社会人だと思うんだけど…おそらく昨日警察に捕まった人、その人だと思うの。」
南野秀一は在学中か?と聞いてきた女性がいたらしい。
そして毎日夕方か夜に校門前で誰かを待っていたと思われるその人物は南野秀一狙いだったのだろうとその女子生徒は言う。
「へぇ…。俺は会わなかったし、全然知らなかったよ。」
「生物部って何かと遅くまでやってるものね。その時間帯には帰ってるのよ、きっと。」
「……。」
「とにかく、気をつけてね。南野君。ストーカーだったら怖いわよ?南野君が女性に恨まれる様な事は無いと思うけど、勘違いする女の子はきっと多いんだからね。」
「…優しいんだね、教えてくれてありがとう。」
「え?あ、うん……、あの、南野君、よかったら私今日部活あるし、一緒に帰れるんだけど…あの、カモフラージュでも彼女とかいればあの人も諦めるかもしれないし…えっと…」
にっこり笑う秀一に女子生徒は真っ赤になりながらも、ここぞとばかりに、攻めようとした…が-…
「ありがとう気持ちだけ貰っておくよ。それに俺今日は部活出ない日だから。」
キラキラと微笑む秀一に女子生徒は、それ以上の言葉が出ず、うっと口を紡ぐ。
そして、撃沈して去って行く女生徒の背を見送りながら…
「……うーん、教えた方がいいのかな。」
狐は瞳を細め楽しそうに呟くのだった。
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「酷いわ、本当に酷いと思わない!?おじさん!!!」
その次の日。
屋台では酒を仰ぐ愛音の姿があった。
真っ赤な顔で、おかわり!!とグラスを突き出す彼女。
そこは愛音が昔から通っている屋台だ。
女性の好むようなおしゃれな店、レストラン…も嫌いではないが、彼女の趣向は根っからの「親父」だ。
「でも、それは愛音ちゃんが悪いんじゃねぇのか?誤解されるようなことしてっから。」
屋台の親父は自棄酒をする愛音に苦笑しながらも彼女が差し出すグラスに酒を注ぐ。
「だって仕方ないじゃない…他にどうすればいいかわかんないんだもの…中学校に行くか、高校に行くか…そのどっちかの選択だし、中学校はあの人たち真面目に登校してるのか定かじゃないし……ねぇ、聞いてる!!?」
「聞いてる聞いてる。しかし、珍しいねぇ…愛音ちゃん滅多に酔わねぇのに。」
「酔ってない!!酔ってなんてないんだから!!!ヒックッ…。」
「……。今日は帰って寝たらどうだ?まだ19時だが…今でこの調子だとおっちゃん心配よ?」
「酷い…おじさんまで、ひどい~~!!!私、これから用事あるんだし、寝ないわよ!!」
バンッとグラスを机に叩きつける彼女。
誰が見てもただの酔っ払いである。
「用事?そんなに酔って??」
やめたら?と顔を顰める親父。
「行かなきゃいけない所があるのよ!!さすがにそこでも不審者で捕まったらもう立ち直れないだろうけど…。」
「いや~…そんなに酔ってたら、絶対行かないほうがいいと思うぞ、おっちゃんは。不審者で捕まらなくても保護される可能性だってあるぞ?」
「い~く~の~!!!」
わぁ~と言う愛音に、屋台の親父は困り果てるのだった…
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