夢で会えたら6
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疲れた…
本当に疲れた…
寝床に倒れこむ様に身を投げ出す愛音。
汗だくで、傷だらけの身体
シャワーを浴びたくともすでに限界を超えた身体は思考とは裏腹に動く気配がない
あぁ、明日シーツと枕カバー洗わなくちゃ…
などと惚けた頭で考える
寝床に鉛の様に沈んで行く身体
愛音はそのまま瞳を閉じた
ーー…
ーーーー…
ゆるりと彼女の部屋の戸が開く
そこに立つのは黒ずくめの少年
彼女が仰向けに寝こけるベットに近づけば、眉をかすかに寄せ赤い瞳を細めれば静かに見下ろす
「…貴様、いつ帰る…」
怪訝そうに、それでいてどこか焦りの色を乗せた赤い瞳。
かれこれ彼女が最後にこちらに来てから一ヶ月が経とうとしていた。
こんなにも長期間こちらにいるなど初めてだ。
まさかこのままこちらにずっといるのではないだろうか。
まるで己を放って帰るなど出来ないとでも言われている様だ。
汚れた衣服。
そして、彼女の顔にあるいくつもの擦り傷が飛影の目にはいる。
「早く帰れ。」
そうすれば…
安心なのか?
俺は。
自問自答する。
赤の他人を心配するなどらしくない。
最近では飛影の方が慣れてきたのか寝ずとも普通に過ごせる様になってきていた。
もともと才能もセンスもある少年。妖力が赤子同然と退化したとしても補えるだけのものは元から持っている。
だからこそ上達も早い。
今までは飛影が寝ている間に隠れて鍛錬をしていた愛音。
最近では隠しきれてもいない。
隠せてると思っているのは本人だけだ。
日に日に増す傷跡に飛影が気付かないわけもなく、本人は化粧で隠せていると思っているから驚きだ。
一時は暴露してやろうかと考えた飛影だったが
『お主の足を引っ張りたくないらしいぞ』
時雨から聞いた言葉
どこかでわかっていた愛音の気持ち
守ってやると明確な約束などしていない
だが、共にいる時点で言葉はなくとも飛影はそのつもりだったのだ
ー…お前が強くなる必要がなぜある。
イライラするぜ…
俺自身に
自分の弱さに
力のなさに
彼女の伏せた瞳に長い睫毛が少年の目に入る。
白い肌。
頬に掛かる猫毛の柔らかそうな髪。
「……。」
…早く、帰ればいい。
ゆっくりと伸びる少年の手。
それが女の頬に触れる。
滑らかな感触に暖かな体温
微かに伝わる静かな呼吸
じくじくと身体の奥から熱が這い上がる
同時に湧き上がる意味の分からない苛立ち
早く…帰れ。
頭の奥で警報が鳴る
それは日に日に大きくなっていく
彼は眉を寄せ、きつく瞳を伏せた。
まるで彼女を視界から消す様に。
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