夢で会えたら5
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それから数日-…
時雨の家にて。
(最近本当に滞在時間が延びてきたなぁ…)
キッチンでは、はぁ…と息をつきながらも、フライパンを片手に野菜を炒める愛音の姿があった。
棚に置かれた見たこともない調味料。それでも数日経てばなんとなく使い道はわかる様になってきた彼女。それを野菜にふりかけ味を整えていく。
(…今日で5日目とは…なかなか長いなぁ。)
どんどん伸びてくる滞在時間。
この世界に馴染めば馴染むほどそれは長くなっている様な気さえする。
ガタンッ
背後の音に彼女が振り返ればそこには壁に手をつき自身を支える飛影の姿。
額に巻かれた包帯。
浮かぶ汗…
微かに荒い息遣い
「…飛影、だいじょー…」
火を消し彼の側に行けば、伸ばした手が払われる。
「…大丈夫だ。気にするな。」
「……。」
彼のプライドだと分かっている。
手を差し伸べられたくないのだと…
己の選んだ道故に他人の助けなど借りたくはないのだろう…
ー…患者にすぐ死なれては困る。
俺がお前に剣術を教えてやる。
時雨は飛影の手術後彼にそう言った…
そしてー…
ー…赤子同然の妖気となれば自分一人も守れまい。それがどういう意味かわかるか?飛影。
その時、飛影が微かにこちらに視線を向けたような気がした。
それから始まった時雨の剣術訓練。自己流で基礎がない飛影にとっては初めはイラついている様に見えたもののさすが飲み込みが早いのか数日経てば時雨の剣に対抗できるほどの成長の早さ。
しかし、妖気がまだ養えていない為、どうも疲れやすいらしい…
「…飯。」
どさりと椅子に腰掛けだらりと体を後ろに傾ける彼。
「無理、しないでね。」
彼一人ならばおそらくもう出て行ったかもしれない。
時雨曰く、「あの男にはどこまでも驚かさせられる」と関心していた程だ。
だから…
おそらくまだここにいる理由はー…
「おい、飯はまだか。俺はもう腹が減った。」
横暴だなぁ
でもー…
「はいはい、もう少し待ってね。すぐ出来るから。」
きっと私のためなんだろう…
申し訳ない気持ちと嬉しい気持ち。
不器用ながらも彼の優しさは本当に胸にじんとくる。
その後、さっと作った中華丼を彼の前のテーブルに置き、コップを取りに行こうと踵を返す愛音だったが、不意にがしりと手首を掴まれる。
「……この手の痣は何だ?」
掴まれた手に向けられる赤い瞳
視線が捕らえるのは、手にある赤い痣たちだ。
「…キッチンの使い方が私の世界のと違うから…ちょっと火傷しちゃって。」
へらっと笑う愛音に、彼の眉がピクリと動く。
そして手を引こうとするものの、彼が離す気配がない。
「…飛影?」
「…気をつけろ。」
しかし、ふいっと顔を背け彼は手を開放する。
それに愛音はホッと息をつきながらも、そそくさとキッチンへ戻っていくのだった。
そんな彼女の後姿を赤い瞳が細くなり見据えていること等知らずに…
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