夢で会えたら1
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ただ普通に眠りに着いた。
一人暮らしにもそろそろなれた頃…
毎日の様に仕事を終え、毎日の様に夕飯を作って、満腹になるとゆっくりとお風呂に浸かって…
温まったら温まったついでにお酒をちょっと飲んで寝る。
それが日課…
だから別になにも変わった事なんてしてない。
いつもと同じだ…
なのに-…
「…夢だ、よね…」
ぽそりと呟く私は今目の前の光景に腰を抜かしている。
目の前には、たった今襲ってきた異形の形をした物達が重なるようにして倒れている。
そして、それから溢れ出るのは真っ赤な血。
彼らを囲うように血の池が見る見るうちに広がり、私の足元まで広がってくる。
「こ、腰…私の腰…」
それに触れたくなくて避け様にも体が動かない。
そして、後ろから聞こえるのはため息、咄嗟に振り返る私の腕をそれは引き上げる。
「きゃぁ!!こ、殺さないで!!!」
喚く私に一回り小さな彼は「うるさい。」と一喝し、引かれる反動で血の海とは逆の方向へ投げられる。
地面に叩きつけられ、声にならない声を上げる。
「いったぁ…」
その痛みで体に感覚が戻る。
ぶつけた頭を擦りながら、なんで夢なのにこんなに痛いのだろうか…と思うものの今はそれどころではない。
背後から近づく足音に、体が再び強張る。
ゆっくりと振り返った先に見える真っ黒なマントに身を包んだまだ5歳位の黒髪の男の子。
向けられた真っ赤な瞳と、薄く笑うそれにぞくりと背筋が凍りつく。
「せっかく嬲り殺してやろうと思ってたのに、とんだ邪魔が入ったな…。」
「……!!!!」
つい先程の事だった。
気が付けば私は彼の目の前に立っていた。
そうパジャマ姿で…
こちらを見つめる驚いた表情と見開く赤い瞳-…まだ小さな男の子。
見通しの良い月明かりがかかる綺麗な草原。
その明かりで彼の頬がきらきらと輝いているのに気が付いた。
…泣いている?
赤い瞳から落ちる雫。
彼が見つめていたと思われる小さな石…
彼は私の姿に一瞬呆気にとられてしまうものの、気が付いたのかその石をすばやく胸元に仕舞うと一気に顔つきが変わる。
幼い表情にはありえない修羅の宿ったそれ。
視線を逸らさないまま薄く笑い、背に掲げた剣を取り出す仕草-…
そして-…
身の危険を感じた私は-…
「み、見てない!!!見てないから!!!!私、あなたが泣いていた所なんて絶対見てないから!!!」
逃げた先で、異形の形をした者達に襲われ、このざまだ。
形的に彼に助けてもらったものの、結局殺されそうになっている。
笑えない…
夢でも怖すぎる!!!
「貴様…」
彼は目を細め眉を寄せる。
こんなにも幼い少年に怯えるのも仕方ない。
彼は私の目の前で大きなそれらもばったばったとなぎ倒したのだから。
しかも結構派手に…
「夢なら覚めて~!!!!!」
「夢じゃないから安心しろ。」
不敵に笑い剣が振る。
最後に見たのは彼の子供らしからぬ妖艶な笑みだった。
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