夢で会えたら4
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青白い月が下界を照らす
生ぬるい風が男の髪を微かに揺らす
赤い瞳が地面に転がるそれを冷ややかに見下ろせば、先程まで動いていたそれは今では地面に広がる血溜まりの池に浮いている
己が木に凭れかかり仮眠を取っていれば背後から襲ってきた妖怪
剣に付着した血を飛ばすように地面に振ればゆっくりと歩きだす
そろそろか…
そう思いその場に足を止めれば赤い瞳を己の手に向ける
血で真っ赤に染まった手
幼い頃から、物心ついた時からすでに汚れた手
その手を見ながら飛影は瞳を細め
先日の出来事を思い返す-…
『ぎゃぁ!!飛影!!血だらけ!?ま、まさか怪我って、え、違う!!?ならまた…返り血?…うっ、おえ…慣れない、慣れないわ…この血の匂い。平和な世界に生きる私にはありえない世界だものって、飛影どこいくの!!?はぁ?街!?その姿で!?だ、だめだめ、皆逃げちゃうわ!!え…そのほうが好都合?何が?意味わかんない、…はぁ、こっちにおいで。近くに泉があったでしょ?せめてその血洗い流しなさい!!!』
躊躇していたはずの女の手
それが、ここぞとばかりに己の手を掴んだ
離せと睨むもこんな時だけこいつは強気で
『だめよ?第一そんな姿で誰も情報なんて教えてくれないわよ?血だらけの貴方と誰がまともに話せるかっての!?』
行くわよ!!と強く掴んだ手
白くて細くて頼りない、少し力を入れればすぐに折れてしまいそうな-…女の手。
ぐいぐいと引かれる己の手
不意に女の名前を呼べば、女はこちらを見て笑みを浮かべた
『心配しなくても洗うの手伝ってあげるわよ。』
そんな心配などしていないと思うものの
そう満面の笑みを浮かべ言う女に飛影の眉が怪訝そうに寄ったとは言うまでも無い。
血で濡れた手が月明かりで鮮やかな朱を映し出せば、飛影の思考は今に戻る。
揺れる赤い瞳がゆっくりと伏せられる。
感じる気配
風が騒ぎ出せば、もうすぐあれが来ることを伝えてくれる
手から伝わるあの温かな体温
それは決して不快なものではない
だが-…
「…慣れたくないもんだぜ。」
フンッと鼻で笑い自嘲気味に言う言葉とは裏腹に彼は柔らかな笑みを浮かべるのだった。
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