Another world 3
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「空、こっちおいで。」
赤毛の少年は満面の笑みを浮かべ両手を広げる。
秀一の家のリビング。
母親達は側のテーブルでお茶を飲みながら「仲良しねぇ。」と微笑んで私達を見ている。
「空、抱っこしてあげるよ。おいで。」
なかなか動かない私に再び優しく微笑みかける狐様。
目が笑ってないんですけど…
渋々と、やっと覚えたハイハイを披露する。
ぎこちなくもしっかりと彼に向かう。
本当に赤ちゃんって不便。
なんとか彼の元まで行けば、彼は良く出来ました。と頭を撫で笑みを浮かべれば私を抱き上げた。
……腹黒くても、子供の体温と柔らかさは心地よい。
母親程の安心感や安定力はなくとも、不思議と力が抜けていくのはどうしてだろうか。
「空~眠いの?」
さみしい口元をごまかす様に自然と指を加える。
虚ろになる視界に、柔らかい少年の声と、優しい揺れ。
本当に親の前だと仮面が分厚いな…と思い目を閉じようとすればー…
「まだ寝るなよ、お前が寝たら俺が母さん達の餌食になる。」
と耳元で低い声で小さく呟かれ、一気に目が覚めた。
「あ、起きたの、空。寝ていいんだよ?」
そして優しい声色。もちろん母親達に聞こえる声で。
ー…ないな、こいつ。
心底楽しそうに瞳を細め見下ろすこの少年の皮を被った性悪狐に腹が立つ。
舐めるなよ、姉さんを。
「ふぇっー…」
「え?」
「ふぇぇ~ん!!おぎゃゃぁ~!!!」
「ちょ、空…!」
「ぎゃぁ~ん!!」
いきなり泣き喚く私に一瞬驚くも焦る彼。
そして、わんわん泣く私だがちらりと彼を見れば、やっと気付く。
「お前ー…」
「ぎゃ~ん!!!」
「あらあらあら、ごめんね、秀一君。ほら、空いらっしゃい。」
様子を見兼ねた母親が私を抱こうと手を伸ばす。
がー…
「まぁ、空ったら、秀一君を離さないわ。あぁ!!ごめんなさいね、涎と鼻水が…!」
引き離そうと私を引っ張るも離してなるものかと、彼の服に捕まり挙句涎と鼻水で汚れた顔を擦り付ける。
なんて力が強いのこの子。と引き剥がそうと奮闘する母親にいやいやと首を振る私。
そして、そんな私達のやりとりを見ていた秀一ママは、にっこりと優しい笑みを浮かべこう言った。
「いいのよいいのよ。どうせ子供の服なんて汚れてなんぼなんだし、空ちゃん秀一の事酷く気に入ってくれてるみたいだし。…秀一もいい機会だわ、空ちゃんのオムツ替えてあげたら?」
「「!!」」
固まる狐と私。
だが、それも一瞬だった。
涙が止まらない、再び激しく泣く自分に排便をして気持ちが悪かったのだとその時に理解した。
赤ん坊故、涙腺は確かに弱いが泣く理由はちゃんとあるらしい。
嘘泣きが本当になるとは。
「オムツ替えるのもいい経験じゃないかしら?秀一やってみたら??」
「…そうだね、母さん。」
にっこり笑う彼。
しかし、くるりと顔を戻し私を見る顔は、酷く不機嫌そうだ。
なんで俺が。
みたいな顔。
こっちだって精神年齢はずーっと上だ。
母親に処理してもらうにはなんとか慣れたがー…
男の子といえど異性。
そして、彼は私の本来の年齢も知っている。
恥ずかしいな、まじで。
まさか知らぬ少年に股を開ける事になろうとは。
嫌がらせもお互いほどほどにしないと面倒になるのだと、幼い二人は思ったのだった。
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