Another world 2
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「秀一君、ちょっと空見といてくれる?おばさん達買い物行ってくるから。」
それはある昼間。
仲良くなった彼の母親と私の母はよく互いの家を行き来するようになった。
そして、今日は二人で夕食の買出しに行くという。
まだ生後5ヶ月程の私と、四歳の彼を残し我ら母達は出かけた。
無用心だな…
普通親ならば心配するだろう…と思うものの、実年齢が高い私に妖狐・蔵馬である秀一はきっとそこらの子供からすれば酷く扱いやすいに違いない。
ある意味子供らしくないといえばいいのか。
泣かない喚かない…
聞き分けの良い子供。
「これで遊ぼうか空ちゃん。」
翡翠の瞳をこちらに向け子供用の玩具を私に渡す彼を、指を加えたままじっと見る。
「気に入らない?じゃぁ、こっちにする??」
-…正直ずっとむずむずしていた。
両親には言えない。
どこか情が移るというのか、悲しむ顔は見たくないから赤ん坊の振りをしていた。
それでも初めは母乳にかなりの抵抗があったとは言うまでも無い。
だが、食欲に勝てるわけも泣く最後は手を伸ばしていたのだが。
だが…
彼は違う。
もしかしたら自分がここにいる意味も答えも持っているのではないのだろうか、とどこかで思っていた。
記憶がある時点でこちらからすればかなり困りものなのだ。
だからずっと様子を見ていた。
彼は自分が異質だと分かれば攻撃をするかもしれない。
だが、殺されたら殺されたでそれが答えなのかもしれないと思っていた、だって私は異質なのだから。
「みなみのしゅういちくん…」
声帯がまだ発達途中なのか片言だが、なんとか言えた。
「え?」
それに、彼は驚いた様に翡翠の可愛い瞳を見開く。
「ようこ、くらま。」
その瞬間、翡翠の瞳が鋭くなりぶわっと背筋が寒くなる。
殺気-…
あぁ、やっぱりそういう結末なのだろうか。
「なんで?その名を?」
それでも彼はやはり冷静だ。
「はなしをきいてもらえる?それともころす?」
「……。」
私は殺されても仕方が無いと思っていた。
この時分の彼はまだ母親の愛情も不確かできっとそれ自体を信じていなかったから。
きっと冷酷で残忍なままに違いないと…。
だけど…
「わかった、話を聞こう。」
無駄な殺生はしないらしい。
というか子供相手にそんな気にもなれないのか。
そして-…
私と彼ら達の話はここから始まる。
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