Another world 7
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ガンガンと音が聞こえる。
人の話す声、剣の振る音。
八つ手の笑い声も混じった彼らの戦う音が。
真っ暗な廃墟内。
それでも微かな月明かりが道しるべとなってくれる。
喜多嶋さんを近くの壁に凭れさせる。
まさかねぇ。と思い探せば、別室に捕らえられていた彼女には驚いた。
原作の修正力なのだろうか。
記憶も秀一への恋心も消す必要が原作には必要なのだろうか。
ならば八つ手との戦いも結局は勝つのだろう。
何が起こっても。
少し離れた場所で、彼らの戦いを見守る空。
(そういえば、飛影いるんだよね、さっきあまりしっかり見れたなかったしなぁ。。)
そう思いながら、少しだけ近寄ってみる。
(あ、あの黒くて小柄な男の子だ!)
秀一と飛影がコンビネーションを組んだ。原作通りなら、この一撃で決まる!!
そう思った時だった。
ぐしゃりと、何かを踏んだ感触に、本能故かぞくりと背筋が凍る。
(まさか…)
見るなと頭が警告するも、視線は自然と足元の闇に目を向けてしまったのだ。
それはー…
人体の残骸
「ひぃぃ!!」
思わず声が出、すぐさま自身の口元を手で覆うも…遅かった。
目の前に瞬時に迫るのは
血だらけの顔で
三日月のような瞳が欲丸出しでこちらを見つめた八つ手が
大きな真っ赤な口を開けていた
それは一瞬の
ーー違和感。
ばりん!!
「あああぁぁぁぁ!!!!」
腕に思いっきり食いつかれ、骨ごと千切られる。
「空!!!」
瞬時の秀一の攻撃に、八つ手は彼女から離れるが、そのまま崩れる様に地面に倒れこむ空。
(こんな…結末、あるんだ、私に。)
バリバリと自分の腕を食べる八つ手を一気に冷えた体に虚ろな瞳で見ながら彼女の意識は途絶えた。
「なかなかやるな、おまえら。だが、これでお前たちはもう俺には勝てないぜ。」
バリバリと引きちぎった彼女の腕を大きな口で食べていく八つ手。
「空!!くそ!!」
彼女の側に行き、ぐったりと崩れた彼女の体を支えながら、千切られた腕の部分を急いで止血する。
「くくく…あぁ、これは期待していた通りの珍味だ、うまい、うまいっ、!?う、ぐ、ぐはっ!!!な、ぐがぁぁぁぁぁあ!!!」
しかし、突如八つ手が自身の喉元を抑えながら倒れ、地面の上で苦しそうに暴れだす。
「ぐぁぁぁぁあああ!!お、女!!お、おまえ…一体…」
一瞬であった。
泡を吹き足掻く八つ手の首を瞬時に植物の蔦で飛ばす秀一。
そのまま、投げ出された彼女の腕を取る。食いちぎらた腕。
側ではその一瞬の光景に目を見開く飛影。
「飛影!そこにいる女の子を頼む!」
顔面蒼白の意識のない空を担ぎ、秀一は廃墟から出ていく。
「……。」
一瞬で死に絶えた八つ手を見下ろす飛影。
「弱ってるといえど一撃、か。」
確かに二人であそこまで八つ手を追い詰めた。
だが、本来なら殺せてたはずなのだ、と飛影は思っていた。
二人のコンビネーションで確実にやれた!と。
にも関わらず、コンビネーション技で血だらけになるも体力を残している八つ手に力の差を感じていた飛影。
まずいと思った矢先に出てきた少女。
少女の死線に立ち会い本来の強さを発揮したのだろうか。
「…冷酷非道、ね。」
飛影はくすりと笑い、側で寝ている喜多嶋を背負うのだった。
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