Another world 7
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あの馬鹿が!
秀一はとにかく急いでいた。
幼馴染の母が必死の形相で「うちの子知らない!?」と家に来た時は一気に体温が下がった。
彼女は常に真面目だ。実をいえば面倒事を嫌う為、そう動いている節もある。親に心配をかけない、も彼女からすれば当たり前の事だが、それも面倒事なく穏便に過ごしたいから、だろう。
だから、逆にこういった状況は焦る。
ー…面倒事に巻き込まれた可能性が高くなるのだ。
ーーー
ーーー……
(本当にばかだなぁ、私って。)
自由の効かない体。
心の中で自分に心底呆れる。
先ほどまで目の前にいた八つ手は客が来たと嬉しそうに言いながら部屋から出ていった。
(客って、秀一君と飛影かな?…外、真っ暗だしお母さん発信で、秀一君心配して来てくれたんだろうか。喜多嶋さんは…大丈夫だろうか。)
ここに少女の姿がない時点で、無事ななだろうか?
……もしかして、別の部屋にいるとか??
(縄…解けないかなぁ。……??ん?…緩んでる??)
ーー…静かだな。
そう秀一は思っていた。
廃墟ビル内には壊れたマネキンと、それとは別のモノが所々に散乱している。
「育ちの悪いヤローだ。人形に混じって喰い残しがそこら中に転がっているぜ。」
隣では出会って間もない妖怪、飛影がそう呟く。
ー…心臓に悪いな。
思った瞬間だった。
『貴様らもすぐ、そうなる。』
背後から響く声と妖気に体が反射的に振り下ろされた拳を避けた。
八つ手だ。
八つ手は強い。
今の俺よりは…確実に。
だが、今はそんなことよりも空の安否が気になる。
「貴様もしつこい奴だ。」
八つ手が飛影を見て笑いながら言う。
「もう一度だけきく、貴様が食った氷女の名前を言え。」
「さあなぁ、なんて言ったかな…くくく」
「……。」
八つ手の余裕の笑みからは彼女の無事を測ることが難しい。
「…彼女は、どこだ?」
低く呟いた俺の声に、八つ手はにんまりと笑う。
「ほぉ、あの子の知り合いか?あれはなかなかお目にかかれない珍味だったなぁ~。」
ぞわりと体中の毛穴が開く感覚に一気に血が冷える。
「ま、さか…」
「これなーんだ?」
八つ手が手に掲げた物体に息が止まる。
ーー…子供の、腕。
「き、さまー!!!!」
秀一と飛影が同時に飛びかかる。
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