Another world 7
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優しい翡翠の瞳が彼女を見つめていた
彼女の質問に答えるその甘いマスクはさらに柔らかさを増す…
あっま~~い!!!
街中でたまたま出会った同級生の二人。
同じ場所にいるはずなのに、なぜか一人取り残された気になる私。
私はあなたの恋、精一杯応援します!!
彼の隣で思わず鼻息が荒くなる私だった。
「可愛いーね、喜多嶋さん。」
親に頼まれたお遣いも無事済み、帰路に向かう私と秀一君。
「良い人だし。飴くれたし。」
口の中のイチゴ味の飴を転がしながら、隣でスーパーの袋を持つ赤毛の幼馴染に視線を向ける。
「…そうだね。」
ふと影を帯びた翡翠の瞳。
あらら。
「妖怪とか人間とか関係ないと思うよ?」
「何が?」
「好きなんでしょ?」
「……。」
「違うの?」
分かってて言う私ってば性格悪いなぁ。
「…それも知ってるって?」
怪訝そうに眉を顰める秀一君。
「いや、見ててわかる。」
本当は知っているけど、知らなくても気付くよ。
幼馴染、腐れ縁なめんなよー!
というか、あの感じはあちらもすでに彼にホの字。
頬赤くして嬉しそうに話してたし…
それにしてもー…
「蔵馬の好みって幅広かったりするの?大人の女性が好みとかではないんだね。」
「…こればかりは年相応な感覚だよ、俺は秀一でもある。混ざってる所はあるからね。」
「ふぅん。よくわかんないなぁ~私は前の記憶がある分……好みはやはり好青年だわ。ダンディなおじさまでもいいかも。てか、秀一君認めちゃってる!!」
「……。」
「いいわね~青春だね~。」
「発言が年寄りくさい。」
はぁ、と息を付かれ「さっさと帰るよ、母さんたちが心配してる。」とこの話は終わりとばかりにさっさと歩いていく彼。
自分の側に居たら危険だから遠ざけるのは、分かるけど…
「……人なんていつ死ぬかわかんないんだよ、秀一君。」
私は会いたくても会えない人がいるから。前世の記憶持ちは少々辛い…
「寿命だって妖怪の君たちより遥かに短い。…あ、そういえば秀一君は人間だから人間の寿命になるの?それともー…」
多弁になり気付く。
前からじとっとこちらを睨む機嫌の悪そうな彼を。
冷え冷えとした目が恐い。
「……。もしかして寿命長い?」
だけど気になる。
「……。」
「秀一君?」
「多分ね。まだ成長過程だからなんとも言えないけど。」
不機嫌ながらも律儀に答えてくれるんだね。
「おばさまどうするの?」
「なんで空に全部言わないといけないの?」
ざっくり!!
きました、もうこれ以上入るなということですね。そりゃ、そうですよね。
謝ろうと口を開こうとした時だったー…
「君だってそうだろ。」
その言葉に思わず目を見開く。
再び私に背を向け帰路に足を進める秀一君。
…聞かれたくない事だったと分かっていた。
今の彼は母親を悲しませる事に罪悪感を感じないわけがない。賢い彼が先のことを考えないはずがない…
だから喜多嶋さんも遠ざける。
彼は…優しいのだ。
「本当にごめんなさい。秀一君。出過ぎました、一番貴方が分かってること、ずけずけと。」
そして、同時に思うこと…
『君だってそうだろ?』
たまたま言っただけの言葉、なのだろうか。
それとも勘の良い彼の事だ。何か勘付いた??
ー…いや、わかるはずないか。
それにしても、やっぱりー…
彼の背を見て思う。
母に愛を感じた様に、他人にも…「彼女」にも愛を伝えられたらいいのに。
背負い込むのは真面目な秀一の性格か、元の蔵馬の性質か…
まぁ、見守るか。
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