Another world 6
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「秀一くんって、本当に女の子みたいだね。」
「……。」
それはある午後の昼下がり、空が、幼馴染である秀一の部屋で一緒に宿題をしている時だった。
小学生低学年のドリルに飽き飽きした彼女が机を挟んだ先に居る宿題をしている彼に放った言葉。
彼は一瞬眉をピクリと動かし顔を上げるも相手にするのが馬鹿らしいのか、直ぐに目の前にある宿題に視線を戻す。
「だってその辺にいる女の子より格段に可愛いじゃない?…でももし秀一君が男の子じゃなかったら中にいる蔵馬君は辛かったのかな。やっぱり女の子好きでしょ?」
「……馬鹿な話するな、気が散る。」
「嘘つき。そんな宿題ちょちょいのちょいのくせして。」
口を尖らせながら言う空にはぁー…と息を着きながら顔を上げる秀一。
その表情には呆れた色が映る。
「……まだ知らないことはある。俺は元妖怪だ。」
「……私、教えてあげようか?」
そう空が言えば、彼女を見て目を丸くする秀一だったが、直ぐに口元にいたずらな笑みが浮かぶ。
「へぇ、ならこれ教えてよ。」
「どれどれ?……え、微分積分!?」
小学生でこんなの習ったか!?
と、驚く彼女に、やっぱり…とやれやれと呆れた瞳を向ける秀一。
「宿題なんてとっくに終わってるよ。今はこれにはまってるんだ、知ってて損はない。」
「……末恐ろしい子。…ごめん、私これ苦手。」
「いいよ、初めから期待してない。」
秀一は再びそれに視線を落とす。
「……。私、暇だなぁ。」
「…隣だし帰れば?」
「ママ置いて帰れないよ。」
一階には空と秀一の母親が仲良くお茶中だ。
「せっかくのママの楽しみ中断して帰れないでしょ?かと言って先戻ったら気にするだろうし。…子供は子供同士仲良く遊ぶものだと思ってるだろうし。うん、よし!!秀一くん遊びましょ?」
「……。」
じろりと、明らかに嫌な顔を向けられる空。
「わかった!ならオジギソウ見せて。魔界の。無理ならなんでもいい。」
「…妖力がまだそこまでない。それにしてもー…」
気が逸れたのか机の隅に教材をずらす秀一。
視線は空に向けられる。
「今だに不思議だよ。俺が君の元いた世界の漫画の登場人物だなんて。」
おぉ、くいついた!!
空は内心ガッツポーズ。
たまにこういった幽白の蔵馬の知識を出すと食いつく。
あまり言いすぎるのは良くないとわかっている空。そして秀一自身もあまりこの件に関して深入りしてはいけないと本能的な所でわかっている。
だが、興味はあるのだ。
「聞きたい?ねぇ、聞きたいでしょ?漫画の貴方の話。」
良くないと分かりながらも話したい事柄も実際にある空。何よりも漫画では分かりづらい彼の心情や考えに、彼女自身も実際興味がある。
「……。聞きたくないわけじゃないけど、俺が知りたい事の予想はだいたいついてるから大丈夫だよ。」
「…なにそれ。」
予想?なんだそれ。と首を傾げる空に秀一はクスリと笑う。
「俺が妖狐•蔵馬としてもう一度生きれるんだろうってこと。」
「………なんで?」
そんな事一度も言ってないぞ。と思い眉を寄せる空。
「君の言動がそれを予想させる。俺はまた蔵馬に戻れるんだろうと、そう思っただけだよ。」
「……魔界に帰りたい??秀一くん。」
「そりゃあね。でもこっちも悪くはない。」
「ふむ。勉強以外で興味あることは?」
「…本当、いきなり話変えるね。…興味、そうだな。」
頬杖をつきじっと空を見る秀一に空は、私?と自身に指を指す。
「君の話は興味深い。君の存在も。」
翡翠が緩やかに細められ形の良い口元は弧を描く。
「…私、秀一くんタイプじゃないんだけど。」
漫画の中の彼ならば別だが。
「安心しなよ、俺もだから。」
ニコリと笑う秀一。
「うわ、口説いといてそれ?傷つくわぁ~。」
(知る限りでは喜多嶋さんだったなぁ、この人の初恋。)
「珍獣に沸く興味と似てるかな、どっちかというと。」
「本当ひどいよね、君って。」
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