Another world 5
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それは小学校の帰り道だった。
「秀一君、秀一君、ちょっとちょっと。」
ぴかぴか新品の黄色い帽子とこれまた新品である背丈に合わない大きな赤いランドセルを背負う女の子は先に歩く自分を後ろから呼び止めた。
帰る方角が同じ為、自然と一緒に帰る事になりかれこれ半年ほど。
無駄なおしゃべりも子供の様にはしゃぐ事のない精神年齢が高い彼女は用事がなければただ普通に後ろをついてくるのが普通だ。一人で帰れるという彼女だが、見た目は小学生低学年。ぴかぴかの一年生であり母親達の目もある為放って帰れない。
呼び止められ振り変えれば、彼女はただじっとフェンス越しに隣に流れる川を見ていた。それなりに広い深い川であるそこは危険防止の為道なりにフェンスが張ってある。
「…どうかした?」
「あれ、なに??」
じーっと彼女が見つめる先にあるのは…
目を見開く。
気付かなければよかったものを…
「…厄介だな、空見えるんだね。」
「……、あ、やぱそうゆう系のもの??あちゃぁ。」
眉を寄せ口を歪める彼女を見て、わかっていたのかと息を着く。
流れる川からひょっこりと出ている頭。
長い黒髪は川の流れと関係なしに周りに広がり、その中心から出る青白い顔の女は確実にこちらをじっと見ていた。無表情で。
ー…空を。
ぞくり。
「…っ、来い!!空!!」
何故今まで何も感じなかったのか。
一気にソレから膨れ上がる殺気に彼女の腕を引き走り出す。
「えっ、ちょっ、えぇ~!!」
危機感のない声。
蔵馬だったら、ちょちょいのちょいでしょ!!と叫ぶ彼女の言葉など無視だ。
幼い自分にはまだ使い切れない。
走りながらも後ろを見れば先程の女がずぶ濡れのまま宙に浮きながら追いかけてくる。
焦る俺とは裏腹に、うわぁ~と叫ぶ彼女に、やはり危機感がない。
追いつかれたら悪くて殺されるかよくても憑かれる。空がだ。
なんとか撒けるか?
そう思った時だった。
彼女を掴んでいた手に別の力がかかると同時に手から抜ける感覚。
「!!!何して!!」
空が自ら自分の手から離れたのだ。正確に言えば突き放された。
反動で後ろに転倒する彼女に、足を止めて戻ろうとする。
彼女の後ろから獲物を喰らおうと今にも襲いかかろうとする女。
それはまるでスローモーションだった。
ー…起き上がった彼女がこちらを見てふわりと微笑んだ。
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