- Everlasting scar - 永遠の傷跡
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- Everlasting scar Ⅷ -
ゆらゆらと水面が揺れる
映し出される満月
まるで別世界のように水は彼女を誘う
触れる水は心地よく
人間が羊水に包まれ育つ理由がよく分かる
なのに、なぜ時に水は生命を脅かすのだろうか
生まれる前まで包んでくれた水は生まれれば脅威に変わる
だが感触が好きな自分はやはり何があっても嫌いになる事はない
それでも一時期は怯えた時期もあったのだ。
『ごめん、栄子…ごめん。』
抱きしめながら何度も自分に謝っていた幼い男の子。
あなたのせいではないと何回いっても聞いてはくれなかった。
青ざめ今にも泣きそうに震えていた彼の様子は今でも忘れない。
「あんなに、頼りなかったのに…いつからあんなに男の子になったんだろう。」
そっと水に足から入れば心地よいその感触に瞳を閉じる。
ー…やっときた…
「??…誰?」
(今、どこからか声がした?)
肩まで水に浸かればそのまま身をすくめる。
ー…時は満ちた
ゆらりと水面が動いた様な気がした
「!!」
そして次の瞬間、足を掴まれる感触に水の中に引きずり込まれる。
(な、なにこれ!!)
口から大量の水が入り込む
肺が苦しい
息が出来ない
ごぼごぼと口から気体が上がっていく。
引きずられるそれを蹴ろうが足掻こうがどんどん奥に引っ張られて行く。
意識が朦朧として来る
ー…これは俺のつけた傷だな
よく俺の前に現れてくれた…
(何を、いってるの?この傷は木で…)
ー…唾をつけといた甲斐があった
こんなにも美味しそうに育つとは…
(意味が…わからない、これは…何?)
足元に映る真っ黒な物体。
(この傷は-…)
記憶が曖昧に浮かび上がる。
溺れていた幼なじみ。
確かに私は水面で暴れていた幼なじみを助けに行った。
遠くで何かを叫ぶ彼に助けを求めてると思っていた。
彼が気を失う瞬間に肩から背中にかけて鋭い衝撃と痛みを感じた。
でもただただ私は必死だったんだ。
彼が死んでしまったらどうしよう。
頭の中はそれだけで私は必死に彼を引っ張り岸に戻ったんだ。
正直、自分の傷などどうでもよかった。
必死だったから…
ー…霊力が低い幼い人間に俺の姿は見えない、それだけ。今はあの時と違いはっきり見えるだろう??
怯えろ、怖がれ
そうすればお前の霊力はさらに上がる…
(…秀ちゃんー…)
彼女はただ上に浮かぶ月に手を伸ばしたー…
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