- Everlasting scar - 永遠の傷跡
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- Everlasting scar Ⅶ -
熱を帯びた翡翠が真っ直ぐに私の瞳を捕らえた
掴まれた肩から感じる力はやはり男の子で
熱い口付けの合間に囁かれる名前
それは驚くほど艶やかで
甘くて
力が入らなくて
ただ状況を把握するのに精一杯でー…
気付けば彼を突き飛ばしていた
あれはー…
「……君、聞いてるのかい?」
現実だったのだろうか。
「浅野君?」
あの秀ちゃんが?
私に??
なんで??
「浅野君、いいかげんにー…」
「うるさいなぁ、今すっごく考え事しててー…って、はっ!!」
オフィス内。
静まり返るその中で一点に注がれる視線。
すぐ側で立ち竦む鬼の様な形相で見下ろす上司を見上げにっこりと笑みを浮かべる。
口元を引きつらせながらー…
「はぁ…」
コポコポと給湯室でカップにコーヒーをそそぐ彼女。
あの後はこってりと叱られた。
そして産休中でいない社員の仕事を嫌がらせの様に押し付けられたのだ。
(今日は残業決定…)
気が重い。
こんな日はまた泳ぎたいものだ。
「あ、今日家庭教師の日だ。」
逃げ出す様に別れてからの家庭授業。
気まずいとは思っていたが、どの道残業ならば断らなければいけない。
(後でメールを送っておかなくちゃ。)
そして、またちゃんと会わなければ…
あれは一体なんだったのか…
いや、理由も聞かず逃げたのは自分だが。
深夜1:00
「あぁ~もうっ、終わらない!!」
机に広がる書類の山。
頭をぐしゃぐしゃと掻き回す彼女の姿がそこにあった。
イジメだ…
これはイジメのなにものでもない。
「終わろう、続きは明日にしよう。」
げっそりした顔で呟けばそそくさと後片付けを済ませオフィスを後にする。
外に出れば異様に明るい様子に空を見上げる。
まん丸の月。
どうやら今日は満月のようだ。
「綺麗だけど、今の私には癒しにはならない。」
はぁ~と深く息をつけばそのまま帰路に向かう…
はずだった。
だが、彼女は少しでもすっきりしたくて向かう先は別の場所だったのだ。
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